著…太宰治 絵…紗久楽さわ『葉桜と魔笛』
主人公の妹はまだ18歳。
それなのに、重い病にかかってしまいました。
医者から宣告されたのは、余命100日以内。
主人公も父も、痩せ衰えて力を失っていく妹を、ただ黙って見ていることしか出来ません。
妹も、自分がもう永くないことを悟っている様子。
それがまた主人公を一層辛くさせます。
そんな中、主人公は妹を元気づけようと、優しい嘘をつきます。
妹はそんな姉の優しさを察して、美しく微笑しながら、
と悲痛な思いを吐露します。
きっとそんな姉妹の会話を聴いていたのでしょう。
父もまたその嘘に合わせた優しい嘘をつきます。
…太宰治がこの作品を書いてから随分長い月日が経ちましたが、今もなお人々は病に伏します。
まだ生きていたいのに。
死にたくなんて無いのに。
愛する人たちとお別れしないといけない。
周りの人々も苦しみます。
代わってあげたいし、治してあげたいのに、どうすることも出来ないから…。
いつかもっと多くの病や怪我を治せるようになったら良いのに…と、わたしはこの『葉桜と魔笛』を読む度に切望します。
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