著…中野京子『怖い絵のひみつ。「怖い絵」スペシャルブック』
こんばんは。
美しいけれど美しいだけじゃない、ちょっと怖いストーリーを持つ絵を見てみたい!という方におすすめの本をご紹介します。
『怖い絵』シリーズの要点がコンパクトにまとめられています。
「レディ・ジェーン・グレイの処刑」「処刑台に連行されるマリー・アントワネット」「ポンペイ最後の日」「不幸な家族(自殺)」などの名画をカラーで見られます。
時代背景や神話に造詣が深い中野先生による、格調高さと読みやすさを両立した解説文も楽しめます。
わたしは昔から『怖い絵』シリーズが好きで、その日の気分でお気に入りの怖い絵が変わるのですが、今日は「オデュッセウスとセイレーン」に見惚れました。
セイレーンたちの正面の姿は描かれていないのですが、かえってその後ろ姿が磁器のような美しさや艶やかさを強調し、「正面はどんな姿なのか見てみたい!」という欲望も刺激します。
きっと船乗りたちはそうやってセイレーンに魅了され、喰い殺されてしまうのでしょうね…。
なんて危険な美しさ!
それにしても、この本を読んでいると、怖いのは絵よりも生きている人間だなぁ…とつくづく思います。
たとえば、「パリの銅版画:死体公示所」の解説によると、
というのだから、死はある種の娯楽の一つだったのだな、いや、もしかしたら現代でも…? と背筋がゾクゾクッとしました。
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