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著…新保信長『字が汚い!』

 字にまつわる悲喜こもごもについて書かれた本。

 著者が某大物漫画家あてに手書きの手紙を書いて誠意を見せようと思い、意気揚々と便箋に文章を書いてはみたものの、自分の字の拙さに絶望した…という冒頭のエピソードにわたしはとても共感しました。

 著者は丁寧に、心を込めて、時間をかけて書いたはず。

 なのに、出来上がった手紙に綴られた字はなぜか子どもっぽい…。

 ショックですよね。

 そういうガッカリ体験を、わたしもこれまでに何度もしています。

 わたしも「せめて綺麗な字が書ければ美人とまではいかなくても美人風にはなれるかも」という下心のもと、ボールペン字の練習を頑張っているのですが…。

 なかなか美文字に到達出来ず、自分の手書きのメモを他人に渡す時、なんだか恥ずかしいのです。

 「いったい何がいけなかったのか。きちんとした大人っぽい字が書ける人と、そうでない人との違いはどこにあるのか」
(単行本版P16から引用)

 という著者の嘆きに共感を覚えながらこの本を読んでいくと、時代が移り変わると共に人々の字の傾向も変化していくことも考察されていて、興味深いです。

 また、著者がわたしと全く同じボールペン字の練習帳に取り組み、


 ※ちなみにこちらです
 『30日できれいな字が書けるペン字練習帳』


 「あああああああああ、いいいいいいいいい、ううううううううう、えええええええええ……って、もう自分でも何書いてるのか、わからなくなってくる」
 「〝ぬ〟ってこんな字だっけ?」
 (P48から引用)

 と、著者がわたしと全く同じ感想を抱いたことにとても親近感を覚えました。

 まさにゲシュタルト崩壊!

 あなたはわたしか!?

 いや、もう本当に、字に酔いますよね…。

 まるで車酔いや船酔いみたいに。

 著者は「正しい字」や「美しい字」というよりも「いい感じの字」を目指しているそうなので、わたしも自分にとっての「いい感じの字」を模索しようと思います。

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