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著…吉岡乾 イラスト…西淑『なくなりそうな世界のことば』

 世界のポピュラーな言語は、たとえば英語、中国語、スペイン語ですよね。

 他に、ヒンディー語、アラビア語、フランス語といったものもありますよね。

 こうした言葉を自分自身は話せなくても、なんとなく「ああいう言語だな」とイメージが湧くと思います。

 では、「ブリヤート語」「トゥバ語」「ラマホロット語」と聞いたら、パッとイメージが湧きますか?

 残念ながら、わたしは湧きませんでした。

 こうした言語の担い手も減りつつあるようです。

 この本は、こうした珍しい言語の中から「そのことばらしい」単語を選んでまとめた本です。

 気取らない感じのイラストも添えられているので、絵本のような感覚で読めます。


 たとえば、「アヤクチョ・ケチュア語」では、農作物が豊富に実っている様子を「ルルン」と言うそうです。

 まずでルンルン♪と喜んでいるみたいで可愛らしいですよね。

 また、「ウェールズ語」では、もう帰れない場所に帰りたいという気持ちを「ヒライス」と言うそうです。

 帰れない…というのは切ない感情ですよね。

 帰りたい場所はまだあるけれども帰れない事情があるのか?

 それとも場所そのものが失くなってしまったのか…?

 それを想像すると、まるで遠い遠い異国の地の人と心が繋がって、その寂しさに寄り添っているかのような気分になります。

 また、「ヘレロ語」では、遠く離れていても気持ちはいつも通じ合うという感覚を「ヴェヴァラサナ」と言うそうです。

 なんて素敵な言葉…!

 遠くにいる大切な人に向けて「ヴェヴァラサナ」と呟いてみたくなりますね。

 たとえそれが大切な人の耳に届かなかったとしても…。

 心がどこかで繋がっていることを祈りながら…。

 そして、わたしは最後に紹介されている「大アンダマン混成語」の「マラミク」という言葉にもドキッとしました。

 まるでこの本のタイトルに掛けたかのように、この言葉を一番最後に持ってきたのが素敵。




 〈こういう方におすすめ〉
 見たことも聞いたこともない世界の少数言語に関心がある方。

 〈読書所要時間の目安〉
 1時間くらい。

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