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著…ブライアン・サイクス 訳…大野晶子『アダムの呪い』

 Y染色体を巡る世界地図を描くかのような本。

 ある意味、ホラー小説よりも怖いです。

 著者は言います。

 この本では、男性が持つDNAを糾弾するつもりだ、と。

 男性は精力的且つ粗暴な傾向があり、戦争を引き起こしもするが、そのイメージとは裏腹に男性のDNAは衰えつつある。

 ヒトのオスが絶滅の危機に晒されていることは間違いない、…と。

 なかなかにゾッとする内容ですよね。

 この本では、著者の前作『イヴの7人の娘たち』の内容にも触れながら、

 ●男性による所有・権力・戦争・略奪といった歴史

 ●胎児の性別が決まるまでの過程

 などが考察されています。

 わたしは特に、父親と母親からそっくりコピーされたDNAがお互いに組み合わさって変化していく様子を「抱擁」と呼ぶ著者のセンスが素敵だなと思いました。

 その抱擁によって、胎児は「男」と「女」に大きく分かれます。

 両生具有の人や、性別が無い人も存在しますが、ほとんどの人はこの二つに分かれます。

 男性は「アダムの呪い」を受けているけれど、女性は女性ゆえの受難に苦しむことも、この本の中で触れられています。

 生まれることも、生み出すことも、なんて不思議なことなのだろう…と、この本を読むと改めて気づかされます。


 〈こういう方におすすめ〉
 自分を構成するDNAに興味がある方。

 〈読書所要時間の目安〉
 3時間前後くらい。

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