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一人ラーメンに浸るだけの話|2023年12月の日記

来週までにどうしても手土産を用意する必要があり、子供達を託して一人で出かけた。すぐに帰るから、と半ば無理やり家を出た。

子供達がまだ小さく、一人で時間を過ごせる休日というのはとても貴重で、こういう時しか食べられないものを食べるのにはもってこいのチャンスだ

例えばラーメンとか。

旦那に言うとずるいだのなんだのって始まるので、一人でご飯を食べることは内緒にしてある。家族で一緒に食べた昼食は、ダイエット中だからとごまかし、ほとんど口にしなかった。

お土産屋に行く前に、お目当てのラーメン屋に向かった。
県内では数店舗展開しているチェーン店で、からし味噌ラーメンが定番メニューである。

たまにしか食べられないからと欲張り、チャーシューからし味噌ラーメンを中盛りで食べることにした。30代の女の身体は不思議なもので、どんなダイエットでも歯が立たず、贅肉が体に蓄積していくからギョッとする。
増える体重を気にしつつも、今日は特別な日だから、と食券機で「えいっ」と購入を済ませる。

食券を受け取った店員がカウンターのお好きな席へどうぞ、と案内してくれた。
午後3時という昼食にしては遅すぎ、夕食にしては早すぎな時間であるため、店内は比較的空いていた。しかし、この微妙な時間であってもラーメンを食べようとする稀有な人は、私以外にもいるらしい。

私のお好きな席はどこか。

もちろん端っこ。そしてティッシュが備え付けられており、ピッチャーが隣の人と兼用しなくてもいいよな配置にあるといい。
店内は広くはないからすぐに人で埋まってしまうのだが、隣に人が座っている場所は避けたい。

カウンター席が空いてないとテーブル席に案内されたりするが、4人がけの席を一人で使うと、罪悪感が食事中の私を焦らせる。どの席だろうとゆっくりと食事を楽しめない私は、きっと小心者なんだと思う。

ラーメンを待つ間、読みかけの単行本を開く。
子育てしながら仕事をしている身だと、どっぷり読書できる日なんてなくて、細切れの時間を紡いで物語を読み進めるしかない。
しかし、文章を目で追い始めると、すぐに本の中の世界に浸れることができるから不思議に感じる。

ラーメンが届くと、麺の頂点に鎮座しているからし味噌を見つけ、別盛りで注文し忘れたことに気づく。
全部のからし味噌を使うと、あまりにも辛くて食べられないのだ。

スープに溶けてしまわないうちに、箸でからし味噌をつかみ、れんげの中に移動させる。からし味噌は少しずつ溶きながら食べ進めるのが好きだ。

味噌ラーメンにもやしを入れ始めた人は誰なんだろう。
しょっぱいスープに絡めて食べるシャキシャキのもやしは最高だから、ぜひお礼をいいたい気分になる。
麺も美味しいけれど、味噌ラーメンの主役はもやしでもあると思う。

味噌ラーメンの場合、細麺よりも太麺が合う。濃厚なスープが絡みついた麺の美味しいこと。その美味しさが早く次の一口を誘い、あっという間に完食。

お腹がはち切れん程に膨らんだことに気づき、中盛りにしたことを後悔した。やはり普通盛りにするべきだったか…。明日、体重計に乗るのが憂鬱になる。
しかし、我慢ばかりの人生には何の魅力がない。
生きてて楽しいか?と問われた時に、楽しい!と即答できるぐらい、欲望には忠実に生きていたいものだ。

危うく、本日のメインである「手土産を買う」というミッションを忘れるところだったが、地域に根ざした特産品も購入することができた。
もらった人が嬉しくなって、渡す方も満足できる、楽しいようなものを選んだつもり。

スタバに寄ろうと思ったものの、休日は混み過ぎていて並ぶのも億劫だ。最近は自分で上手にソイラテが作れるので、わざわざ購入しなくてもいいか、とスタバの店の前を通り過ぎる。
どうせおしゃれなカフェに寄るなら、持ち帰りせずにその場で落ち着いていただきたいし。もちろん読みかけの文庫を片手に。

もうすぐ購入して10年が経つ愛車に乗り込み、家族が待つ我が家へ向かう。そんな感じで、なんてことない私のいつもの一日が過ぎる。

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