どっちが幸せ?死を知っている人間と、知らない人間と。 『余命10年』
今までずっと、物語のテーマに病気が入ってくると、病気の人にフォーカスすることが多かった。でも、この物語はそうでもなくて。
『生きたくても生きられない人がいるんだよ!』
自死を選んだ方や、「死にたい」と言っている方に対するお決まりのこのことば。これに、思考を巡らせる機会だった。と思う。
『死にたくても死ねない人だっているんだんだよ!』
対になるこのことばも、否定すべきじゃないのかも。
どちらにも当てはまらない人に限っては、両方の視点から「死」を見つめてみると、どうだろう?
わたしは、どちら側にも同じくらい「共感できること」「共感できないこと」があった。
人によってその配分は異なるんだと思う。だから、自分と自分以外の人は比較対象にはならない。
きっと、わたしたちは、死にたい要素も、死にたくない理由と要素も持ち合わせている中で、日々生活してるんだなあ。
いつ死にたくなるかわからないし、死にたくなくなるかわからないっぽい。
日々の出来事や、人との関わりの影響によって、ゴロゴロとどっちかに転がるんだろう。
だからみんなご自愛ください!って感じだし、自分のこころを守る鎧は絶対的なのかもしれない。
「強く生きよう!」って思って、「強いってなんなの?」って迷走して、「あ、自分以外と強いかも!」って思って、「あ、だめだ。」と思う。
ここを一生行ったり来たりするんだけど、段々振り幅は広くなって行っているような気がする。
それが成長?
何だか読書感想というより、わたしの話になってしまった気がするけど、
この物語は「病気の主人公」にフォーカスするより、生き方について考えさせる小説だった。個人的に。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?