どっちが幸せ?死を知っている人間と、知らない人間と。 『余命10年』

今までずっと、物語のテーマに病気が入ってくると、病気の人にフォーカスすることが多かった。でも、この物語はそうでもなくて。

『生きたくても生きられない人がいるんだよ!』

自死を選んだ方や、「死にたい」と言っている方に対するお決まりのこのことば。これに、思考を巡らせる機会だった。と思う。

『死にたくても死ねない人だっているんだんだよ!』

対になるこのことばも、否定すべきじゃないのかも。

どちらにも当てはまらない人に限っては、両方の視点から「死」を見つめてみると、どうだろう?

わたしは、どちら側にも同じくらい「共感できること」「共感できないこと」があった。
人によってその配分は異なるんだと思う。だから、自分と自分以外の人は比較対象にはならない。

きっと、わたしたちは、死にたい要素も、死にたくない理由と要素も持ち合わせている中で、日々生活してるんだなあ。

いつ死にたくなるかわからないし、死にたくなくなるかわからないっぽい。

日々の出来事や、人との関わりの影響によって、ゴロゴロとどっちかに転がるんだろう。

だからみんなご自愛ください!って感じだし、自分のこころを守る鎧は絶対的なのかもしれない。

「強く生きよう!」って思って、「強いってなんなの?」って迷走して、「あ、自分以外と強いかも!」って思って、「あ、だめだ。」と思う。

ここを一生行ったり来たりするんだけど、段々振り幅は広くなって行っているような気がする。

それが成長?


何だか読書感想というより、わたしの話になってしまった気がするけど、
この物語は「病気の主人公」にフォーカスするより、生き方について考えさせる小説だった。個人的に。

死ぬ前って、もっとワガママできると思ってた。
二十歳の茉莉は、数万人に一人という不治の病にかかり、余命が10年であることを知る。
笑顔でいなければ周りが追いつめられる。
何かをはじめても志半ばで諦めなくてはならない。
未来に対する諦めから死への恐怖は薄れ、淡々とした日々を過ごしていく。
そして、何となくはじめた趣味に情熱を注ぎ、恋はしないと心に決める茉莉だったが……。
衝撃の結末、涙よりせつないラブストーリー。

「死ぬ準備はできた。だからあとは精一杯生きてみるよ」

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