2月16日 フィウミチーノ空港に到着 3週間のイタリアでの最高の旅がはじまる
2月16日 チューリッヒ空港からフィウミチーノ空港へ移動
日が変わった。新しい日が来た。それを痛感するのは、建物の中ではなく、外の景色を見たときだ。
太陽を見て、太陽に照らされる美しいアルプスを見て、その絶景の中で過ごす2時間弱の時間は驚くべき程あっという間に過ぎてくれた。
イタリアに行くなら高くてもチューリッヒ空港経由をお勧めする。この絶景はかなりの価値がある。窓際は死守すること。
フィウミチーノ市街が見えてきて、すごく感動した。これが夢見ていたイタリアで、やっと私は、ここに戻ってくることができたのか。コロナのときに留学して、コロナのせいで帰国を余儀なくされて、2年の空白の期間の間に、私はいろいろ進路を考えた。イタリアに残ることも考えたけれど、この4月(2023年)からは、新しいことをやってみたいと思って、嫌だった部分もあるが、日本の大学に進学することを決めた。
だから、受験が2月初旬に終わって、それからたった2か月の間に、私はまた新しい日常を始める。そう考えると、この旅行はもうそう簡単にはやり直せない。
たくさん綺麗なものを見て、会いたいひとに会って、存分に楽しみたい。この3週間を、一生消えない思い出にしたい。何より、大事な友人たちにちゃんと感謝を言いたい。
その私が大好きなイタリアは、いつでもあったかい場所。友人たちは優しいし、すれ違ったひともみんな優しい。食べ物は美味しいし、みんな情熱を持って生きているし、これが人生なんだなあと思う。イタリア人を見ていると、私も元気を貰える。いつだって明るくいられるわけじゃないこの世の中で、いくらでも悲しいこと苦しいことは起きてしまう。それでも、人生に真剣に真面目に取り組んで、目の前の課題に一生の情熱を注いで、ともに笑って泣いて生きる…。そんなことを私はイタリアの留学生活でたくさん見てきた。
フィウミチーノは、もう5度目の着陸だ。2015年にイタリアを旅行して、それでまた戻ろうと決めた場所。2020年に戻ることができて、それでもコロナの影響で留学生活は思うようにいかなくて、旅行という形で2023年に戻ることができた。憧れの場所。夢見てきた場所。心地良いと感じられる場所。美味しい食べ物とお酒があって、素敵な仲間がいる場所。ここにまた住みたい。それが私がこの旅行を終えたときに真っ先に感じたことだ。
また、戻ってこよう。銀行口座も携帯電話も解約せずに残してある。いつだって戻ることはできるけど、まずは日本やチェコやノルウェーでやりたいことをちゃんとやって、2027年に大学院(博士前期/後期課程)をやりに、この好きな場所に戻ろう。それが私の夢であり、希望であり、願いだ。
この旅行記では、イタリアの魅力を、なるべく多く皆さんに伝えたい。イタリアってこんなにいいところだったんだなあ、と感じてほしい。イタリアはたくさんの素敵なものを持っていて、それを誇りに思っていて、それを恥じることなく世界に発信している。
そんなところが好きだ。
そして、ちゃんと生きている。自分を偽ることなく、自分を溺愛することもなく、自分に嘘をつくこともなく、自分を謙遜することもなく、イタリア人は正直で素直で誠実に生きている。イタリアの生き方が好きだ。目の前のことに情熱を持って、一瞬一瞬を楽しんで生きるイタリアのスタイルが、ドルチェビータが、スローライフが、そしてすべてのことへの惜しみなき愛情が。
イタリアは、自由だ。
旅行者だから今回は余計にそう感じるのだろうが、ほんとうにイタリアは自由な国だ。
この旅行では、主にトスカーナ、マルケ、アブルッツォを旅する。私はアブルッツォの州都のラクイラに留学していたから、アブルッツォには特に深い思い入れがある。
これからの3週間は、存分にイタリア語を使える。好きなだけイタリア語で話せる。果てしなく幸せだ。言葉の問題を感じることなく、伝えたいことが伝わる。この喜びは、母国(日本)にいなくても十分に感じられる。
イタリアには欠点もある。
就職難だし、賃金は低いし、いい仕事はないし、貧しいひともたくさんいるし、格差はかなりあるし、不便なことも多いし、官僚主義の犠牲になることも多い。
滞在許可書の発行は、イタリア移住者がみんなぶつかる壁だ。電話しても出ないクエストゥーラ(イミグレ)を相手に、予約するのも苦労して頑張って申請しないといけない。それが終わることには住民登録も保健相の申請も、とにかくいろいろなことをやらないといけない。
イタリアのひとが好きなのは、彼らが素直に怒るからだ。電車が1時間遅れても、役所で2時間待たされても、クエストゥーラで3時間待たされても、決して相手を威圧するようではなく、優しく、不満を言う。自分に嘘をつかないイタリア人の特性は、ドタキャンとか、あるいはそういった素直すぎるほどの素直さに現れる。
イタリアが好きだ。
また必ず戻ってくる。この決意を胸に、私はこの3週間、たくさんのものを見る。
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