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シリーズ

 「2」が出たということは、第1弾に人気があった証拠である。

国立国語研究所編『日本語の大疑問2』(幻冬舎新書)

 この本を書店の棚に見つけたとき、「おお、第2弾出たかー」とテンションがあがった。第1弾の方を面白く読んでいたので、同じスタンスの本がシリーズとして刊行されるのは嬉しい。

 私たちが口にする言葉の多くは、誰かに意図的に教え込まれたものというよりも、他者とのコミュニケーションから用法を察して、使用しているものがほとんどである。となれば、周囲の人間が言葉を誤って使い、そこで何らの支障もきたさなければ、その言葉の使い方は「正しい」ものとされ、模倣されていく。
 このような実状もあり、普段は無意識に使用している言葉を意識的に解剖していく取り組みは、日常生活と強くリンクするテーマであることも相俟って、刺激的なものになる。「日本語の大疑問」2作も含め、書店で「言葉」に関する書籍が活況を見せているのも頷ける。

「「1ミリも〜ない」は「ない」を強調するときに使われる表現です。「1ミリ」の長さや量を表すものではありません。
 みなさんは「ない」ことを強調するときにどのような表現を使いますか。「少しも」「全然」「絶対」などのことばとセットにして、「ない」を強く表現することがありますよね。「1ミリも〜ない」も否定を強調するときの表現で、話しことばを中心に使われています。否定の中でも少しや一部(の否定)ではなく、すべてを否定するものです。」
櫛橋比早子・文、『日本語の大疑問2』幻冬舎新書、P34)

 上記の表現。皆さんは日常的に使うだろうか。
 気になったので、ここ一週間ほど、対話相手がこの表現を口にするかどうか、気にしながら生活をした。聞き逃しもあるだろうが、合計で3回、この表現は口にされた。
 告白すると、私は一度、明らかに相手が興味のないことを知った上で、「〇〇って興味ある?」と質問し、相手に「いや、1ミリも興味ない」と言わせた。誘導質問である。謝罪したい。

 ちなみに今回、「1ミリも〜ない」という表現を取り上げた理由は、私自身がよく使うからという点と、友人の一人からあるツッコミをされた経験があるから。
 その経験とは、友人から「〇〇に興味持ったことないの?」と質問され、私が「そうやね、1ミリも興味持ったことない」と答えたところ、「1ミクロンも?」と質問されたこと。私はこのとき初めて、自分が無意識に使っていた表現の中に、本来は長さを示す「1ミリ」という言葉が入っていることに気づいた。
 どうやら、『日本語の大疑問2』によると、かつては「1ミリ」の他に「1センチ」が使われていた時期があり、「1ミクロン」の例も、新聞紙上に見出せるようだ。
 面白い。



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