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足首の捻挫を軽視していませんか?足首の捻挫を早く治す方法とは?

捻挫(足首)の症状
怪我と聞くと足首の捻挫を思い浮かべる人は多いはず。
そのくらい頻繁に見られる捻挫
「軽く捻っちゃった」
「昔頻繁に捻挫してたんだよ」
「歩くと足首が痛いけど歩けるし…」
など、捻挫を軽視する人が非常に多い印象です。

捻挫は軽く見ると痛い目を見る

頻繁に起こるからこそ「軽い怪我」だと思っていませんか?
実は、捻挫は放置すると、腰痛や膝痛にもつながる怖さがあるんです。

捻挫のメカニズムを理学療法士が解説

そもそも足首の捻挫はどんなものなのか、なぜ腰痛や膝痛につながるのかをリハビリや治療を行う身体のプロ「理学療法士」が解説します。

この記事で解説していることは以下の4つです。
・捻挫とは
・捻挫が原因で起こる腰痛とは(一般向け)
・捻挫が原因で起こる腰痛とは(治療家向け)
・捻挫を早く治すには

捻挫一つで患部の状態、さらには患部から遠い腰の状態まで悪くなる可能性があります。その原因を一般向けとセラピスト向けに分けて解説していきます。

理学療法士とは

理学療法士は、人に役立つ仕事と言われます。
国家資格に合格し、厚生労働大臣から発行される免許を有しています。

理学療法士を名前だけ知っているという方は、意外とたくさんいらっしゃいます。
ですが、あまり実態を知らない方には、怪我後のリハビリをする先生のイメージがあるようです。

でも、そのイメージは少し間違っています。
怪我予防するための知識も持っているのが、理学療法士なんです。

怪我・病気などの身体機能のトラブルに対し、回復・リハビリのサポートを行うプロです。
高齢者や身体に障害を抱える方も、広くサポートしていきます。

そのサポートの中でも、運動療法はよく知られている一般的な治療法です。

理学療法士協会の記事です

捻挫(ねんざ)とは

捻挫(ねんざ)とは、外力により関節が動く範囲以上に動かされることによる、靭帯や軟骨などの周辺組織の損傷のことを指します。よく聞く捻挫は、靭帯の損傷をイメージする人が多いと思いますが、周りの血管や腱なども傷ついている場合があります。そのため、動かさなくてもジンジン痛みが出たり、歩くとズキズキ痛くなったりします。

捻挫は大きく分けて内反捻挫外反捻挫に分けられます。足を内側に捻る内反捻挫が捻挫の大部分を占めています。内反捻挫では足首の外側の靭帯が主に傷付きます。外側の靭帯は、前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯の3靭帯で構成されます。スポーツによる怪我を始め、転んだり階段を踏み外した際に起こるケースも多くあります。

足の外側の靭帯

内反捻挫は傷のつき方によって3種類に分類されます。

内反捻挫重症度分類

捻挫に対する対応はこちらの記事

靭帯の回復に関する記事はこちら

捻挫が原因で起こる腰痛とは(一般向け)

捻挫(特に内反捻挫)では足首の可動域が狭くなります。捻挫を繰り返していた人で、踵をつけたまましゃがめない人や、和式のトイレが苦手な人も多いはず。「足の外側が痛い」「詰まる感じがする」という訴えが多いです。それは、足首の可動域が低下していることが原因の一つです。

足首の可動域が狭くなると、動きづらい足首の動きを腰で代わりの動きをします。しゃがみ込みや椅子からの立ち上がり、ものを拾う時など腰の動きが過剰になる瞬間は多々あります。腰にも動く範囲の限界があります。

足首の代わりの可動域を何度も続けることにより、腰にはいつも以上の負担がかかり、腰が痛くなってしまいます。また、足首の動きの代わりをする腰の動きが腰椎の前弯といい、反り腰のような姿勢で代わりの動きをします。そのため、立ち姿勢が反り腰気味の人も多く見られます。

ですので、昔怪我した足の軽い怪我が現在の腰痛につながっている可能性も考えられます。痛みが出るが歩けたりする場合も非常に多いですが、捻挫を軽視せず早めの治療が有効です。まずは、怪我について詳しいプロに見てもらうことが大事です。

捻挫が原因で起こる腰痛とは(治療家向け)

ここからは同業者向けなので少し難しい内容になります。興味のある方は是非ご覧ください。
足関節の内反捻挫では外側には伸長ストレス、内側には圧縮ストレスがかかります。内反捻挫で疼痛をきたすのは主に伸張ストレスがかかった外側です。

伸張ストレスがかかる組織は主に、皮膚・靭帯・筋肉・関節包・腱であり靭帯や筋肉が付着する骨(軟骨部)にもストレスが生じます。ここで、ミオトーム、スクレロトーム、デルマトームの知識が役に立ちます。

デルマトーム
スクレロトーム

伸張ストレスがかかる部位はざっくり分けると

それぞれの神経支配

となります。(もちろんこれだけではありません)

局所循環低下のメカニズム

慢性的な炎症や疼痛により、持続的に脳へ痛覚信号が送られます。
痛覚信号により同髄節レベルの自律神経(交感神経)が興奮します(捻挫であればL4〜S1領域)。
交感神経の働きにより同髄節レベル(L4〜S1)の血管平滑筋が収縮し循環不全が生じることで酸素や栄養不足、二酸化炭素や老廃物の排泄が低下し、相対する神経支配部位(下位腰椎や仙骨付近、S1領域の筋や軟骨)の機能低下が生じます。

機能低下は主に筋や腱の短縮による筋のタイトネスや関節可動域制限、筋力低下などを指し、これらが複合的に関係することにより腰痛につながる可能性があります。
ですので、これらの機能障害に介入し治療を行うことで、腰痛予防や捻挫の再発防止にもつながります。

捻挫(ねんざ)を早く治すには

捻挫を早く治すには早期発見早期治療が必須です。
損傷直後は炎症兆候として痛みや腫れが出たり熱をもったりします。

今までは「RISE処置」といい、怪我をした→痛い→冷やすが定番の治療として成立していました。
しかし、医学が進み冷やすことはあまりよろしくないとされています。

現代では「PEACEandLOVE法」というものが捻挫の初期には有効であるとされ、
P:Protection(保護)
E:Elevetion(挙上)
A:Avoid anti-inflammatories(抗炎症を避ける)
C:Compression(圧迫)
E:Education(教育)
になります。

これらの方法は特に急性期に有効で怪我をしてから1〜3日間継続的に行う必要があります。

具体的には「保護」では痛いところに体重をかけない、過度に動かさないないなど安静にする必要があります。
挙上」は、足を心臓より高くします。
抗炎症を避ける」では、痛み止めの薬を飲んだり湿布を貼ったり、過度に冷やしたりしないようにします。痛みや熱などの症状は、痛い部位が回復するために必要になるので止めてはいけないということです。
圧迫」では、患部が腫れないようにテーピングなどで外から圧迫します。

同業者の方はこちら。亜急性期の対応も記載しております。

怪我をした場合はこのような応急処置を忘れずに行い早めに整形外科を受診してください。靭帯ではなく、くるぶしや足の甲の骨が折れている可能性もありますのでレントゲンなどで確認してもらうといいでしょう。

怪我の程度にもよりますが軽い捻挫の場合治療やリハビリを行い、2〜3週間で復帰できることが多いです。

まとめ

軽視しがちな足の捻挫。一回の捻挫が腰痛や膝痛など足首以外にも影響を及ぼすということが分かっていただけたかと思います。「軽い捻挫だから大丈夫」ではなくしっかりと治療することが大切です。

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