honest_human9901

貴方のどこかに引っかかれば幸いです。 さちあれ〜 ハァーーーーッ

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Labの男69

 Labの男69 ガラスの城の主人は 間接照明の薄明かりを頼りに リモコンに手を伸ばし適当にTVをザッピング それほど目を引く映像ではなかったはずだが 手を止める。 ゆったりとした椅子に腰かける 貫禄のオールバック。 年輪の刻まれた横顔が チロチロとTV画面の明かりに照らされている。 番組は地味で演出も少なめ 淡々とプログラムを流し 頬杖をついて無表情で眺めるオールバック。 男は青白い光を浴び ナレーションに聞き耳をたてている。 『虫送り』  ウンカ 5mm 小さなセミの

    • Labの男68

      Labの男68 タフネスは バイタリティーでカバーできるのかは疑問だが まるで何事もなかったように 走馬はスクっと立ち上がり しっかりとした足取りで万次郎の前に立ち 右手を差しのべてきた。  「いゃ〜いいラリアットだったよ。   度肝を抜かれた。正直なところ   拳で殴ってくるってタカを括ってたんだよ。   まさかのラリアットだなんて   肉体的にも内側からも揺さぶられたよ。   君というニンゲンに感動した。   それじゃ〜もう一丁といこうか」 明智譲りの、はにかんだ笑顔

      • Labの男67

         Labの男67  ダンターグ 「100年早いわー!!」 【ぶちかまし】 物理全体攻撃技  ズババババ ズババババッ ひたすら強くなりたいと願う気持ちからか 物理一辺倒の戦い方をする。 物理攻撃さえ、なんとかすれば といった甘い相手では断じてない。 盾があればなんとかなりそうだが 確率回避となるため安定はしない。 【見切り】をどれだけ持ってこれるかが 重要となってくる。 ダンターグとは、RPGゲーム 『ロマンシング サ・ガ2』に登場する 『七英雄』敵勢力の一人。 10

        • Labの男66

           Labの男66 高層ビル最上階までもう少し  コッ コッコッコツ 階段を上がるリズムがしだいに ゆっくりになってる。  「ちょっと身体、鈍ってきてるか。   流石に運動不足を感じるな。   この階段を下って   帰ることを想像するとゾッとするっ」 それでも明智の表情は涼しい。 汗ひとつ、かいてはいない。 「そのわりには明智さん  余裕のある顔してますけどね?」  「ああ、もうナイスミドルに   突入してるんだから、それ相応に   代謝も悪くなってるだろう?」 「

          Labの男65

           Labの男65 ビルの最上階 火が灯るようにぽつぽつと 間接的にライトが点灯している。 隅々まで届かないやわらかな光がより一層 空間の広さを強調する。 少し紫がかった空の本町町をバックに 独りの男が立派な椅子に腰かけている。 責任を肩代わりしてくれそうな 重厚な背もたれに身体を預け 腰掛ける男を豪華な革張りがゆったりと包み込む。 アームレストに肘を預け こぶしで頬杖をつき眉間にシワのオールバック。 男は考え事をしてるのか微動だもしない。 間接照明がいい具合に男の顔に影を差

          Labの男64

           Labの男64 アンタの時代はよかった。 男がバカでいられて 馬鹿のままでもよかった。 大らかに誰もが後ろ指をささない 誰かのせいのままでよかった。 賢くなくてもナニもなくても何とかなった。 飛ぶ鳥あとを濁しても後は野となり山となった。 昔が恋しいわけじゃない。 ただ着火させたいのさ。 漠然と爆発させたいのさ。  謝肉祭またはカーニバル 謝肉祭とは ルーツは遡ることゲルマン民族 春の到来を祝う祭りだという説がある。 七日間 教会の内外で羽目を外し らんちき騒ぎを繰り返

          Labの男63

           Labの男63 季節外れの花が店頭に飾ってあった。 一見、傲慢とも思えてしまうほどの美しさ  「デンドロビウム」  ラン科の中でも最も種類が多く 現在日本での 品種改良が世界トップレベルを誇る。 園芸店では冬に満開の株が販売されるが 通常の開花期は春 多年草で20〜60cm ブーケや花束に適しているので 結婚にたどり着いた運命の2人の祝福 結婚祝いのプレゼントに最適な花言葉は 「お似合いの2人」 別の駅前花屋さんで聞き込みをする明智。 聞いてる最中から フラワーガールの

          Labの男21

           Labの男21 白衣の襟を正し髪を耳にかけ まっすぐ万次郎に視線を向けるマコ先生  「足早な説明になっちゃったけれど   ゆっくりと息を吐くクセをつければ   なんとかなるって講義でした」  「この息苦しくなっちゃった   世の中に風穴を開けたいのよね」 とても素直な意見に感銘を受ける万次郎。 屈託の無いまっすぐな言葉 手を上げて万次郎  「言語学に惹かれた胸の内?   マコ先生が突き動かされる   衝動のもとは何なんですか?」  「ヒトに伝えたいって気持ちが言

          Laboの男 あらすじ

          他人を受け入れることに躊躇いのない 心優しき青年、万次郎。 危険な匂いがするエビス薬品会社のエージェント 橘了に誘われ、新薬投与の被験者になる。 世界を揺るがしかねない 極秘プロジェクトだとも知らず。 被験者ライフを過ごす万次郎は 研究室の人々にサポートされながら すくすく育っていくのだった。 古今東西の知識や知恵 サブカルからジェームズ・ボンドまで!  この小説のジャンルを挙げなら 万物だといえるかもしれない。 ディストピアにやすらぎを こと  ディストピア先生からあら

          Laboの男 あらすじ

          Labの男62

           Labの男62  見い出すのはオノレ  意味をつけるのもオノレ  見い出すのは勝手  理由をつけるのも勝手  忘れるのは勝手  思い出すのはオノレ  勝手はオノレ  だれの為かは忘れた  忘れたのも忘れた  理由なんて知るかよ  後で思いつくんだから 目の前には 今時、珍しいおみくじスタイルで ニセ漆塗り黒のハシが束で入れ物に刺さっている。 焼き魚定食が2つ 冷やっこ2つ 水の入ったコップが2つ。 中央の少し色のはげたハシを 明智は、おもむろに手に取ろうとしている。

          Labの男61

           Labの男61 無謀なチャレンジャーは崩れ去った。 自身の名を上げたかった、箔をつけたい ただの若気のいたり道場破りは 不発に終わった。 アイアン来栖メイデン京子の 戦慄の看板は伊達じゃない。 何事もなかったように通り過ぎていく来栖。 明智 「よかった。ことを荒立てずに済みそうだ」 万次郎  「あの~明智さん?ジェイソン楠木が入った   建物から男達が出てきてません?」 「う~ん、であえ!であえ!ってな具合に  なっちゃってるね。  おうおうっ時代劇よろしくの大立ち回

          Labの男60

           Labの男60 季節がわりをつげる少し肌寒い 風が吹き抜けていく。 見通しがいい遮るモノのない広大な土地 ヒト気がない砂利道を独り男が歩いている。 まっすぐに歩く革靴が 砂利を踏みしめ規則的ななリズムを奏で 同じリズムで長髪の黒髪が揺れている。 チョコレートの箱を開けたように 規則正しく並ぶ四角の石が連なるなか 見定めた場所に到着したのか歩みが止まる。 石の前で腕を組みしばらく眺めている。 黒ずくめの男が墓石を前に突っ立ってる。 妖艶な異様さは隠しきれない。 あまりにも長

          Labの男59

           Labの男59  絶えずヒトは手の内を明かして生きている。 ナチュラルに話せる人は それが社会的発言か?なんて考えず 相手に受け身を取らせない感じで話す。 仰々しくない 要は自身がどう見られてもいい感覚ってのは ライトで相手にも伝わるってことだ。 ひと知れず電波していて感染している ってことだ。 実際会話なんて何も考えずに ざっくばらんの方が楽しいに決まっている。 沈黙はヒトを重くする。 想いはヒトに影響を与える。 言語野を司るエリア左脳を駆使し 脳内であぶくの様に湧き

          Labの男58

           Labの男58 それなりに歳を重ねてくると 限界がわかる辺りから闇雲な行動がなくなる。 衝動的なのか本質的なのか 分けて考えれるようになり 分かるっていう肌感が加減となり 実際に歩みを進めれる方向性を見定める 選択肢を取れるようになる。 現実的な実現可能範囲の 「身の丈」と言う安全装置。 それ以前の問題に 自身が何を求めているかも明らかにさせないと 他人の気持ちさえも理解が遠のく。 当然そうで自身の事も分からないのに 他人の事なんて想像できる訳もない。 それこそ わからず

          Labの男57

           Labの男57 都内某所 ツラの皮が厚そうな男達が大きな机を隔てて 来栖を囲んで座っている。 そのうちの恰幅のいい男が話し出す。  「世界規模のパンデミック   イメージ戦略が展開される中   各国が誰のせいなのかをなすりつけ合い   火事場に乗じて大衆扇動実験が行われた。   日本国はいたってお利口さん。   これを機に国家転覆を目論むヤカラなど   現れず、思惑通り偉いさんの言いつけ通り   法的拘束力もないにも関わらず   慎ましい日々を3年も送った」  「故意

          Labの男56

           Labの男56 現代でも 裏で世界を操っていると囁かれる英國。 イギリス発信で諜報戦術が大いに発展し スパイ活動が活発化 情報が戦況を変えるほど威力を発揮したのは 世界大戦から。 以降は水面下での活動が著しく 情報戦が加熱し続ける。 イギリスの支配から逃れるため アメリカは独立を宣言 世界史では建国したとされているが まだまだ現代でも色濃く影響を受け 実質は、独立出来てはいない。 旧ソ連に遅れをとる事を恐れたアメリカは 躍起になって架空敵を創り戦争を起こし 再び儲けようと