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「小説には何ができるのか」と、問うた日___ユリアンナ・アヴデーエワ「ピアノ・リサイタル」2023年2月26日

今日(2023年2月26日)、ユリアンナ・アヴデーエワ「ピアノ・リサイタル」に行ってきました。

音楽評論家の増田良介さんがプログラム冊子の冒頭に「アヴデーエワの思いのこもった内容の濃いプログラムだ」と解説していた通り、今日はショパン、シュピルマン、ヴァインベルク、プロコフィエフと、ポーランド人やウクライナ生まれのロシア人作曲家の曲で構成されていました。

ショパン/ポロネーズ第7番 作品61《幻想ポロネーズ》
シュピルマン/ピアノ組曲《ザ・ライフ・オブ・ザ・マシーンズ》
ヴァインベルク/ピアノ・ソナタ第4番
プロコフィエフ/ピアノ・ソナタ第8番 作品84《戦争ソナタ》

<アンコール>
ショパン/マズルカ
アンコール2曲目は、曲名が分かりませんでした。

アヴデーエワさんは、光が当たる箇所が金色に輝く黒のパンツスーツを着ていたので、ショパンの演奏中にきらきらと輝く姿が音の煌めきと連動してとても美しかった。《幻想ポロネーズ》という暗めの曲から始まった演奏会の間中、夜の闇の中に星を見ているような気持ちになりました。

ホロコーストの生還者であるシュピルマン「ピアノ組曲《ザ・ライフ・オブ・ザ・マシーンズ》」は、「機械たちの生活」「休息する機械」「トッカティーナ」の3曲から成り立っていて、現代音楽のような響きを持つ、私には少し難解な組曲。ただ、常に動き続ける機械音が復興の鐘を予感させもしました。

話は横道にそれますが、アヴデーエワさんの演奏を聴きながら私は、東日本大震災の日、某出版社から自宅まで勘を頼りに半日近くかけて歩きながら、ずっと「小説には何ができるのか」と、そればかり自分に問うていたことを思い出しました。

永遠にも感じる帰路にあって、「小説には、有事にも平常心を保っていられるだけの、精神力を養う力がある」と。そして「読書を通して想像してきた美しい光景や感情の断片が、不意に心を癒すこともあるだろう」と。それが役割の1つであると確信したものです。

さて、この演奏会が行われた「すみだトリフォニーホール」は、カーテンコールに限り撮影OKでした。しかしながら不器用な私にはまだまだ慣れるのに時間がかかりそうです。

1階席からでも舞台をはっきりとは写せず、iPhoneの起動に時間がかかったり撮影に気を取られたりしてばかりで、ピアニストに拍手で感動を伝えることを疎かにしてしまう。また、アンコール中はiPhoneの電源が入っている状態なので、いつ振動音を響かせてしまうのではないかとヒヤヒヤしていました。

【ききみみ日記】
★今回で投稿107回目になりました★
オペラ・クラシック演奏会の感想をUPしています。是非お越しいただけますとうれしいです。
(2022年10月10日~2023年1月15日まで101回分を毎日投稿していました)


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