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8.冷静にもっと全体を見よう システム障害を例に見る俯瞰する事の重要性

強靭なセキュリティと高稼働率で、世界No.1のCRMであるSalesforce。
世界中でSalesforceへアクセスできなくなるシステム障害が発生しました

自分も保守担当をしていた為、この問題について、ユーザ対応を行いました


自分なりに感じたことを綴りたいと思います

不思議に感じた矛盾した行動

システムに異常が発生すると、システムのユーザーは、システム管理者へまずは連絡すると思います

基本的な使い方や、簡単な設定の不具合修正なら、対応可能です
ただ、技術が高度化したり、パッケージシステムの活用が増えた事で、
システム管理者がすぐに対応でき無かったり、
メーカーへの問い合わせが必要になったりと、
システム管理者が扱える範囲には、限界があります

今回の障害も、その類でした

Salesforceはクラウドサービスです

その為、Salesforce社が管理しており、顧客を跨いだSalesforce自体の不具合は、
メーカーであるSalesforceの復旧を待つしか出来ることはありません

しかし、ネットや現場で
「仕事ができない!どうにかして!」
「システムが繋がらないとは、どう言うことか!」
「この間にどれだけ損失が出ると思うんだ!」
といった、システム管理者への怒りをちらほら見かけました

システムを使えないのは、ユーザ視点で見ると、
保守部門なのか、パッケージシステムのメーカーなのか、
自社内で対応可能かどうかの検討はつかないのはしょうがないと思います

また、システムのユーザは、企業のエンドユーザーに迷惑をかけられない、
そんな想いから怒りに繋がってしまっているのではないかと推測します

別の件で、とある自治体では、Salesforceでワクチンの予約を行っていた所、
繋がらないと、コロナに対する諸々の怒りが、自治体の窓口へ向けられていました

でも、こういった状況を見て、矛盾を感じずにはいられませんでした

障害が起きてしまった以上、怒っても怒らなくても、復旧を待つしかありません
予定していた事ができ無かったその隙間時間に、
別の作業を進めたりと、より有益な時間ができると感じます

怒ったところで、その怒りに生産性はこれっぽっちもありません
怒る人、怒られる人で、2人生産性のない時間をすごしており、
その間も賃金が発生する時間を消費しています

この間にどれだけ損害が出るんだと、コスト意識を持たれるのであれば、
生産性のない怒りを向けるその時間の損失コストはなぜ勘定に入っていないのだろうか疑問を感じてなりません

早く復旧できるよう、心穏やかに待って頂きたいものです

また、今回はたまたまパッケージシステムの障害でメーカー側の対応でしたが、
仮に社内システムであった場合、復旧するのは運用担当者が担当になります

当然、ユーザが、誰が復旧者かという所までは考えが及んでいないと思いますので、
想いのまま怒りをぶつけるという行為は、
そのシステムを復旧する作業員1人の手を止める可能性すらあります

本来、早く復旧する事を待ち望んで、怒っているにも関わらず、
むしろ自分から足を引っ張る行為をし、復旧時間を遅らせているという矛盾した状況が引き起こしかねない行為と取れるのでは無いでしょうか

改めて、自分の行動を1度俯瞰してみて欲しいと感じました

ハッカー等を除いて、誰も好きで障害なんて起こしていません
障害発生時どんなに現場が慌てているか、
何を優先して今対応すべきか、少し想像していただきたいものです

怒りに任せるのではなく、
自分の今この行動は、意味があるのだろうか?
今でなければならない行動だろうか?
今の状況の全体で見た優先順位は何だろうかと
また、自分が逆の立場ならどうだろうか?と

便利が当たり前を見直さないか

毎日使えるシステムですが、目に見えなくても、そこには人が関わっています
人が作っている以上、“絶対大丈夫”は無いと思います

物はいつか壊れるし、偶に故障します
人的な時もあれば、偶発的なこともあれば、摩耗のこともあります

システム導入以前は、
これまで顧客の情報管理ができなかった、そもそも現場の作業員の頭の中や個人的なメモにしか無かった情報が、

システム導入のおかげで情報を一元管理でき、業務が効率化できた
そして、引合コストが抑えられた、担当の引き継ぎがスムーズにできる様になったと、
出来ることの方が圧倒的に増え、多くにメリットを享受できている状況にも関わらず、

たった数時間止まっただけでイライラする
その当たり前の感覚、どうにかならないものだろうか

サービスを提供してくれる人がいるから恩恵を受けられる

たまに上手く動かない事があるかもしれませんが、
開発してくれた人がいるから、普段の生活が便利になるという恩恵を受けられ、
管理して面倒を見る人がいるから、継続して動き、便利を享受しています

今の恩恵を受けている便利というのは、
ゼロから生み出した先人達と、それをメンテナンスする人の努力の賜物です

また、ITの心臓とも言えるITインフラにいる同僚達が
「生活や事業が成り立たないような大事な仕事にも関わらず、
 感謝される事は滅多になく、止まった時だけ文句は言われる。
 誰の為に、何の為に、頑張っているんだろう」
と漏らしていました

また、そのせいもあり、ITインフラにいる同僚が、鬱でダウンすることも度々あります

今一度、IT以外でも、便利が当たり前を見直して欲しい
自己肯定感の低さと裏腹に、他人への期待の高さを見直して欲しいと思います

電車の遅延、飛行機の遅延も同様ではないでしょうか?

あらかじめどういったリスクがあるかを考慮した上で、
ルールや仕組みを作れば良いにも関わらず、
そういったリスクは見ないふり、臭いものには蓋をして、メリットだけでゴリ押しし、
何か問題が起きた時はその場しのぎで、改善しない
そのツケが、日々真面目にサービスを提供する人に回って来ていると感じます

ぜひ一度立ち止まって、冷静になり、
自分の頭で、全体の事を考えてみて欲しいと思います
本当にこれは必要か?、これは何のためにやっているのか?

そうした1人1人の行動が、結果として、
組織の風通し、IT導入に対する受け取り方、システム障害に対する反応に変化が出て来るのではないかと思います

自分に優しく他人に厳しくではなく、
また周りに合わせ過ぎて、自分に厳しく他人にも厳しくではなく、
少しだけゆとりを持って自分にも他人にも優しくなって欲しいと、

今回の件をきっかけに、様々の事に対して改めて感じました

過剰なサービスが当たり前になっている

高い金払っているんだから高いサービスを提供して当たり前、
こう言った意見もあるかと思います

でも、日本の賃金は、海外と比較すると、非常に低いです
その癖、高品質のサービスは要求します

金払いは悪い、小さなミスを突つく、お客様は神様だと言う
あまりにも厄介ですし、自分のメンタルをすり減らさない為に、
なるべく関わりたくないと思います

そういったことの積み重ねで、
変化を受け入れられない者は、孤立し、淘汰されるリスクが高まるのではないかなと
個人的に思っています

なぜ、システムが使えないからこの仕事が出来なかった、
だから別の仕事を進めてカバーしたが通用しないのでしょうか?

しょうがない、今日はそんな日だ、と仕事を緩めることが出来ないのでしょうか?

日本の働き方は普通なのだろうか?
海外でもこんなにシステム障害に厳しいのだろうか?

理想論かつ、半ば愚痴になってしまいましたが、
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました

システム障害に優しくならないかな…(号泣)

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