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気持ちの高まり

敏感なわけではないけれど、匂いをよく意識するほうの人間、と思う。

空港の匂いなんかは楽しむほうで、
日本の空港は、お醤油・お出汁の塩っぽい匂いと掃除機の匂いが入り混じっていて、あぁ〜帰ってきたーと思う。
北京の空港では、麻辣っぽい、なにか私の知らない複雑な食べ物の匂いがたくさんした。
ハワイはめっちゃトロピカル〜☆

匂いの高まりと感情の高まりはセットになっている。

もう1つ、あぁ〜帰ってきたーと思うのは、父方の国で、子供時代を過ごしたオスロの空港。
強烈なシナモンバンの匂いと、うっすら香る珈琲の匂い。
だいたい何年かぶりで帰るため、何かものすごい長い長い大冒険からやっと落ち着けるお家に帰ってきたような、肩の荷がワァっとおりる気持ちになる。気分はビルボ・バギンズである。

Fikaを大事にするくせに、ここ最近まで珈琲の深煎り浅煎りの違いなんてこともてんで知らなかった。
好きな人ができて、それが珈琲屋さんときたものだから
お店に通い詰めてカフェ・オ・レとカプチーノの違いはなに?眠くならない珈琲ってどれ?
なんて、とにかく会話の糸口を探しているうちに
どうやら深煎りは苦いらしいとか、浅煎りはこんな匂いがするんだとかを覚えた。

そうしているうちに、オスロの空港のあの匂いは、浅煎りの珈琲なんだろうと点と点がつながった。気分は香りをヒントに事件を解決する名探偵である。

珈琲はストレートで飲めないからカフェオレ党、だから私は濃いめの珈琲が好きなんだ。なんて自分で認識し始めた矢先、
お試しで飲んでみた浅煎りの珈琲(ミルクなし)がとっても美味しくて、そういえばオスロではブラックを1日に何杯も飲んでいたなと思い出す。自分のことも珈琲のこともまるでわからない。

珈琲は淹れたての匂いは大好きだけど、その匂いが時間がたってくるとあまり好きな匂いじゃない。
良いタイミングで淹れなおして、大好きな気持ちを維持し続けるのが長持ちの秘訣なんだろうと、自分のこともよくわからないくせにしたり顔で珈琲を飲む、そんな毎日がとても幸せです。


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