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#298 時給は統一がいい

 こんにちは武藤北斗です。まずは今週の出来事を6行で紹介。

 いろいろなお話しをいただきますが、最近はどうも万博をちらつかせたものが多い気がします。特に自治体が絡むと確率が高い。カジノ建設のために強引に押し進めているようにしか見えないので万博ちらつかせ案件は全部断っています。先日乗った電車も万博の広告だらけだし、もう本当に早くやめてほしい。でも昨日は地元市町村から万博と全く関係ないお話を頂いてとても嬉しかったです。

 それでは今週のnoteはじまります。

パプアニューギニア海産・代表取締役工場長、「生きる職場(イースト・プレス)」著者の武藤北斗です。毎週金曜note投稿中、フォロー嬉しいです。
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 298回 時給は統一がいい

 パプアニューギニア海産には20名のパートさんが在籍しています。長い人で10年以上、短い人で数ヶ月。週に30時間以上働く人がいれば、10時間くらいの人もいます。年齢は10代から50代まで、障害のある人やない人、とにかくいろんな人が働いています。

 フリースケジュールなので働く時間帯や休憩時間もバラバラ。嫌い表があるのでやらない作業を自分で決めることもできます。だからというわけではありませんが、パートさん全員が同じ時給です。1日目の人も10年以上の人も。

 私たちは宮城県石巻市で営業していましたが、2011年の東日本大震災で被災し大阪に移転、再起をはかることになりました。社員一人が宮城から一緒に来てくれましたが他に従業員はいませんのでパートさんを募集するところから始めました。スタート時点は時給統一で募集しますので、そこから一切差をつけていません。

 通常で言えば勤続年数の長い人の時給が少しづつ高くなっていくものですが、私が一番大事に考えている『争いのない職場』を作るためには時給に差をつけない方がよいと考えています。

 パートさんは社員になれないそれぞれの理由があります。子育て中だったり、障害があったり、夢を追いかけていたり、扶養に入っていたり。ですが共通点としては『毎日出勤、9時ー5時出勤が難しい』ということがあります。

 だとするとシフトを組もうがフリースケジュールであろうが、パートさん同士はたまにしか合わない人がたくさんいるわけです。例えば月・水・金の人と月・火・木の人は週に1度しか会わないのです。そのパートさん同士が阿吽の呼吸で仕事をしたり、コミュニケーションを図るのって実はとても難しい。だからこそ人間関係が理由で辞めていくパートさんが多いのではないでしょうか。

 そこで私は目指す方向を変えればいいのだと気づきました。必要以上にコミュニケーションを取とうとしたり、空気を読み合うようなことをしなくてよい職場にしたらどうだろう。ようするに『仲良くしなさい』と会社から強要するのをやめたのです。

 出勤数が少なくても、入社したばかりでも、気の合わないパートさんと一緒でも、気遣いなく働ける職場だったら最高じゃないですか。それこそがパートさんが会社に求めているものだと思うし、結果として長く働いてくれています。

 では具体的に何をするかと言うと『作業上のルールを作り、徹底的に守る』だけです。

 ルールにそっていれば仕事が流れ続ける状態まで持っていきますので細かいルールが山ほどできます。でもそれは従業員を縛るためのものではなく、自由に選択できるためのルールです。従業員の日々の意見をもとに作っており、会社に押し付けられたものではなく現場の意思が反映されたルールであることが絶対条件です。

 ルールだらけの職場はギスギスしたイメージがあるでしょう。たしかにうちは笑顔あふれた和気あいあいとした職場ではありません。でも従業員同士が争ったり、罵りあったり、人間関係で疲弊したりしません。だから離職率が低くなり、長い時では3年間誰も退職しませんでした。

 組織に争いが無くなってくると従業員同士が比較し合うことも無くなってきます。これがとても重要です。

 誰がどのくらい出勤しているか、何年働いているか、どの作業が好きか嫌いか。そんなことよりも大事なのは、自分の生活を大事にできる働き方の中で自分は何をできるのか、自分はどう働くのか。従業員にとっても会社にとっても重要な事です。

 誰にだって得手不得手はありますからスピードや品質に差があります。ですが作業以外でも会社に貢献できることは山ほどありますし(あの人がいると職場の雰囲気が良くなるとか、同じことをずっと続けられるとか)、ちょっと言い方は悪いですが作業がどんなに早くても、何だかいつもイライラした態度で働く人がいたら他の人が気を使って全体の作業効率は下がります。それなのに作業が早いだけで時給を上げるなんて職場全体の効率を無視したおかしな評価と言えます。

 そして時給の差というのは少なければ数十円です。もちろん貯まっていけば大きな金額になりますが、その差があることで人間関係が崩れやすくなってしまう大きな負の面があるのです。

 あの人は時給が高いんだからやって当たり前
 私は時給が安いんだからやらない
 時給高いくせに遅いな
 あの人は時給いくらなんだ?

 まあとにかくいろんな感情が湧き出てくると思います。これが争いの種になりますし、周りのことが気になって自分の仕事に集中できなくなります。ストレスはたまるし離職率も高くなるでしょう。私は数十円の時給差よりも人間関係良好の方が重要だと思っています。

 もちろん時給統一にしたからと言って人のことが全く気にならないわけではありません。しかし私はみんなの意見を聞き、働きやすい職場になるよう努力をしています。人間関係に悩んだり、苦しいことを押し付けられることもない。その代わりにみんなで一生懸命働く。

 大事なのは一生懸命働いているかどうかです。それこそがパートさんの評価の基準だから時給が一定ということです。

 最後に。うちはまだ最低賃金ギリギリです。働きやすいからそれでいいとは思っていません。被災した当時の2重負債や最近は円安で苦しんでいますが時給をあげていくことを目指しています。そして差はつけないからこそ、上がる時はみんなで一緒に喜びたいなと思っています。

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パプアニューギニア海産
代表取締役工場長 武藤北斗


・1回方式の働き方アドバイザー

・食べごたえ十分な手作りエビフライ!原料は天然エビ、パン粉、小麦粉だけ!


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