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介護福祉事業所の人事労務戦略室 ~次世代リーダーを育てる 連載第30回 「人事考課・評価制度③=構築~人事課題の抽出定」

こんにちは。ラボ事務局の杉田です。
今週もラボ代表及川による「介護新聞」連載企画(第30回)をお届けしてまいります。
第30回のテーマは「人事考課・評価制度③=構築~人事課題の抽出」です。

前回、前々回と人事考課・評価制度についてお伝えしましたが、本記事ではいよいよその核心に迫ってまいります。
職員の不満や組織の課題は、どのようにして具体的に捉え、そしてどう対応するべきなのか。
評価制度をうまく活用するためには、まず人事課題を正確に把握することが鍵となります。
この記事を通して、より効果的な人事評価制度の構築の手がかりを掴んでいただければ幸いです。

介護福祉事業所の人事労務戦略室 ~次世代リーダーを育てる
連載第30回「人事考課・評価制度③=構築~人事課題の抽出定」

 一般的に評価制度とは、どのような職員を理想的な職員とするか定義づける「等級制度」、理想的な職員がいくら報酬を得られるか定める「報酬制度」、理想の職員にどれほど近づいているか目安を示す「評価制度」を組み合わせたものです。

 評価制度を構築する前にすべきことは人事課題を明確にすること。課題によって、人事評価制度のどの部分を強化すべきかが異なるからです。たとえば「優秀な職員を採用できない」が大きな課題であれば、強化すべきは選考希望者に見せる「成果が給料に直結する評価制度の構築」となります。

 課題発見につながる項目例は
① 年齢比較
② 手当別比較
③ 部門別比較
④ 人件費・労働分配率分析
⑤ グレード別比較
⑥ 職種別比較
⑦ 業種別比較―など。
人事課題抽出には、職員へのヒアリングが必要です。ポイントは、「対象者選定」と「ヒアリング項目」です。対象者は偏りが出ないよう、在籍期間・職位別に選定します。「ヒアリング項目」は、評価制度に対する課題だけでなく、仕事を続ける上での不安等、根本的な問題を収集できる項目にしましょう。

 経営者のヒアリング含めた進行管理も重要です。人件費上昇に対する課題、マネジャー育成における課題、といった経営的優先順位の高い課題を抽出することで、注力すべき人事課題がより明確になります。また、職員やマネジャーが抱えていそうな悩みをヒアリングしておけば、どの人事課題解決に注力するか合意形成しやすくなります。

 給与分析とヒアリング結果を元に重要な人事課題を特定します。その中から、評価制度で解決できる課題を抽出し、構築目的を確定しましょう。構築目的はどういった在籍期間・職位の、どのような悩みを解決するか明文化します。そうすることで、強化すべき制度が特定されます。

 解決すべき人事課題が見えてくると2つの解決ポイントに集約されます。1つ目は「明文化された制度の構築」。「どう評価されるか分からない」と言って不満を持つ職員は少なからずいます。評価制度が理解されていなければ、評価理由が分からず不満につながります。まずは制度を明文化し、職員と共有しましょう。

 2つ目は、「制度の運用と浸透」です。マネジャーが評価制度を元にした目標設定を行わず、評価面談もせずに賞与を決めているなら職員は納得するでしょうか。制度を設定しても正しく運用されないことで不満が募るのです。管理職、マネジャーに制度を浸透させる方法を考えていきましよう。

 いよいよ具体的な構築に入ります。その際にプロジェクト会議が開かれるかと思います。プロジェクトメンバーの中で評価制度とは何を指すことなのか共通認識を持ちましょう。そうすることで何を決めれば制度構築できるのか、つまり「プロジェクトのゴール」を認識できます。

 最初にプロジェクトのスケジュールを確定しましょう。フェーズを切ることで、プロジェクトが順調に進んでいるかを定量的に判断できます。ポイントとしては、構築方針を決める期限を守ることです。目的や改善の方向性が再検討となると、途中まで作ってきた説明資料の修正に多くの時間がとられてしまいます。

 プロジェクトの「メンバー構成」も重要となります。メンバーは「制度浸透にプラスに働くスタッフ」または「現場で意見が強いスタッフ」が適任です。後者は制度浸透時の抵抗勢力にもなるため、メンバーとして巻き込みましょう。

 人事課題を正確に特定するために現状分析を行います。会議で事課題を出し合うと、声の大きい職員の「印象論」で人事課題が決まり、全社的課題を的確にとらえることが難しくなります。評価結果である給与を元にした定量分析にて人事課題に対して仮説を立てます。そして、検証手段として各方面へのヒアリング情報を使い、最終判断しましょう。

介護新聞9/1付「介護福祉事業所の人事労務戦略室―次世代リーダーを育てる!!」
http://wwu.phoenix-c.or.jp/~medim/kaigo/2023/202309kaigo/kaigo20230901.html

今週もご訪問いただきありがとうございました!
また次回、第31回の記事でお会いしましょう!

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