去年7月に一般文芸からBL・ブロマンス分野に転向して、約一年が過ぎました。早いですね。びっくりしています。 そのときに立てていた執筆スケジュールは以下の通り。 キャラ(1半、長編)→ ショコラ(5末、中編)→ ディア+(7末、中編)→ リンクス(10末、中編) 約一年たった今の状況は キャラ(1半、長編)→ オレンジ短編新人賞(3末、30枚)→ ショコラ(5末、中編) というところまで来ました。 ところが7月末のディア+さんの公募の募集がまだ出ていないんですよね。
君は写真を撮るのが好きだった。それも変なものばかり撮る。道の端に乱雑に並べられた植木鉢や、河原に打ち捨てられた古い自転車や、早朝カラスにつつかれて散乱した裏通りのゴミ。そんなものを見つけた途端に君の目はきらきら輝いて、前のめりになりながらスマホを構えるものだから、僕はそのたびにびっくりしたものだった。だって、写真ってもっと美しいものを撮るだろう? 例えば高く晴れ上がった青空やオレンジ色の夕日とか、ブロック塀を歩く猫とか。でも僕がそう聞くと、君はにっと笑って言った。「あたしは
早いもので2023年ももうわずか。ということで今年の振り返りをやってみました。(フォロワーさんたちの真似をしてみました) 2020年から小説を書き始めて2年ちょっとくらいは経つんですが、当初は『こういう話を書きたい!』というのがなかったんですよね。なんとな~く純文学っぽいものを書きたいな……という気持ちはあったんですが、実際書いてみたら辛くて辛くて駄目でした。たぶん向いてなかった。その後だんだん一般・エンタメ寄りで書いてみたら書きやすくて、自分はこっちの方が向いている
かつて全裸になって散歩をすることが日課になっていた俺だが、だからといってこんな扱いを望んでいたわけじゃない。 「ほら、このへんなら街灯もないし、大丈夫でしょ?」 昼間のうだるような暑さがいまだに残る真っ暗な公園を見渡して、サイトウが俺の背中を励ますようにポンポン叩いた。 「無理! ほんとそんなの無理だから! なんでこんなことしなくちゃいけないんだよ!」 「え? なんでって……」 ぶんぶんと頭を振る俺を見て、サイトウが不思議そうに首を傾げた。天使のような微笑みを半分だけ
夏には魔物がいるらしい。 会ってしまえば最後。今までの自分とは全く別な人間にされてしまうという。そして魔物は夏の終わりとともに跡形もなく消える。 「――それって暑くて頭おかしくなるってこと?」 隣を歩く英に胡乱げに見下ろされて、僕は首を振った。 「違う、夏の魔物に会うと破滅するって話だよ! ……あれ、違うか。ええと」 空に掛かった半月を見上げながら、さっきサークルの飲み会で先輩から披露された話を思い出そうとしたけど記憶は曖昧だ。多田先輩が肩に手を回してぎゅうぎゅう締め
――『川田直次郎中尉殿 昭和二十年七月二日沖縄喜屋武岬に於て壮烈な戦死をとぐ、謹んで哀悼の意を表す』 学校から帰ると、ちゃぶ台に一枚の紙が乗っていた。その側で母さんが背中を丸めてじっと畳の目を凝視していた。 「母さん。これ……」 「さっき、届いたんよ」 けたたましい蝉の声にかき消されそうなほど小さな声で母さんが呟いた。 「とうとう直次郎まで帰ってこんかったわ」 終戦から一年も経って、突然こういう広報が届くことは珍しいことじゃない。この辺りでも戦地から戻って来たのは数
出版社の公募をあれこれ調べていたのですが、(あれ、リブレさんの公募がないぞ?)と今更ながら気が付きまして。2020年の第23回を最後に、ビーボーイ小説新人大賞は休止されていたのですね。その代わりに2022年から始まっていたのが、こちらの公募でした。 『リブレ×pixiv ビーボーイ創作BL大賞』 『約30年の歴史を誇る業界No.1のBLレーベル「ビーボーイ」と、No.1投稿サイトのpixivが強力タッグ!』と銘打った公募で、pixivに投稿したオリジナルBL小説をそのまま応
大手出版社さんのBL系公募の情報をまとめた備忘録です。(2024/1/16現在) ・徳間書店 キャラ文庫小説大賞(第2回 2024/1/15 締め切り) 部門①ファンタジー部門 ②センシティブ部門 400字詰め原稿用紙80~300枚程度 ひとり最大二作まで プロ・アマ不問 過去応募したものの改稿作は選考対象外 Web発表作品は応募可(ただし非公開にする必要あり) ・角川ルビー文庫 角川ルビー小説大賞 (2024/3/31 締め切り) 4
ぎしぎし軋む階段を降りると、白い割烹着姿で厨房に立っていた千佐が振り向いた。 「あれ、どうしたの拓巳」 「便所」 小さく呟いて厨房の横の珠のれんを右手でかき分けてくぐる。すると一斉に八個の目玉が俺を突き刺した。 L字型のカウンターに、今日の客は四人。サラリーマン二人組と最近常連になった赤ら顔のオヤジ、厚化粧のおばちゃんだ。 裏通りにひっそり佇む千佐の店は、十人座ればもう満席という小さな小料理屋だ。今日は平日の夜ということもあってか、客の入りはいまいちなようだった。 「
じいちゃんが死んだ。立派なじいちゃんだった。 海辺の田舎町の小学校の校長を二十年以上勤め上げ、退職してからも教え子が野菜を持ってかわるがわる尋ねてくるような人だった。大きく開けた口で「わはは」と笑う、太陽みたいな人だった。その孫である私は、そんなじいちゃんの素晴らしさを何一つ受け継いでいない。 早朝のまぶしい光が車の窓から差し込み、小さなちりひとつひとつを金色に浮かび上がらせている。車の中に低く流れる朝のラジオと聞きながら、私は後部座席にもたれかかり、左側に広がる松林を眺
みなさんはじめまして。遠野ほかげと申します。 小説を書き始めて一年ほどになります。ブログや記事を書くのは初めてなのでお見苦しいところ多々あるかと思いますが精進していきますので、どうかよろしくお願いいたします。 さて、遠野ほかげというのは本名ではなく筆名なのですが、大好きな童謡「朧月夜」の歌詞からいただきました。 菜の花畠に 入り日薄れ 見渡す山の端 霞ふかし 春風そよふく 空を見れば 夕月かかりて におい淡し 暖かな春の日差しがゆっくり西に傾き、菜の花