寿司作りAny%
地球で人類が何故これほど発展したか。
それは道具が使えるからという他ないだろう。
という話をすると、いいやカラスだってクルミを自動車に踏ませて割っているという雑学を披露されることになるが、そんな揚げ足をとるような話はスルーさせてほしい。
科学を発展させ文化を築き上げてきた人類の知能は、カラスのド三流とは格の違いってやつを見せつけてやりたくなるのは言うまでもないだろう。
そしてその人間様が道具を使う技術が身近なところで活かされる場面の一つといえば、そう料理である。
引っ越しの時、一番点数が多いのはキッチン用品だった。
それはまさに料理こそが日常的に道具を一番使う場面といえるのではないだろうか。
しかし、そんな道具の発展とは逆をいく料理が、
つまり道具を使わずに作られる品が日本にはあるように思う。
それこそが「寿司」である。
いやいや寿司だって包丁とか使うじゃないか、そう言いたいようですね。
うるさい黙れ!!正論を言うな。
そういうことじゃないんだ、違うんだよ。
道具を使わずに手で握る「職人の手作り」っぽいところが凄く良いよねって話がしたいの私。
物事というのはシンプルなほど誤魔化しがきかず難しい。つまり調理法も見た目もシンプルでありながら完成された一品である寿司という美味しい料理に憧れているわけである。
なので私も作りたい。
いや握りたい、寿司を。
道具を使わない寿司を握ってみたい。
平日の深夜3時、突然思った。
しかし深夜3時の冷蔵庫にあったのは、みょうがだけだった。
素麺の薬味にしようと思って買ったのに完全に忘れて普通に麺つゆだけで食べてしまい放置されていたみょうがである。
仕方がない、これで寿司をにぎろう。そう思った。
調べてみるとみょうがの寿司は意外にも既にあるらしい。高知の田舎で伝わるにぎりだそうだ。よく見るとこのみょうがも高知県産だった。ということは寿司になるべくして生まれてきたはずだ。君と出会えたのも運命。
ググるとレシピが出てくるのでそれに倣って作ってみる。
まずはみょうがを甘酢漬けにするらしい。甘いの好き。
縦半分に切って酢と砂糖に漬けて30分。
漬け終わったら中身?と皮?に分ける。中身は刻む。
刻んだ中身は酢飯と混ぜるらしい。いいね!!美味しそう。
これで材料の準備ができた。
よし、握っていくぞ。
寿司職人に俺はなる!!
にぎるのむっっっっっっっっっっっっず!!!!!!
むずすぎるんだガ????
歪な何かができた。
これを寿司と呼ぶのは駄目な気がした。
─
食べてみるとシンプルに美味しくなかった。不味くもないけれど。
にぎりすぎかもしれない、固いし。おにぎりだこれ。
そしてなんといっても形が歪。ホヤみたい。
そういえば私はおにぎりを三角に握ることすらできないことを思い出した。
なぜ美味しくならないのか。
それは言うまでもなく技量のなさであろう。
飯炊き三年握り八年の修業が必要と言われる寿司。
一朝一夕のどころか一夜の思いつきで満足いくものを作れるはずがない。
でも寿司作りたい……
美味しい寿司作りたい……
素人でもシャリをいい感じに成形できないものか……
ちくしょう、どうすれば…………
なんだこれ……?
にぎり寿司 押型???
地球で人類が何故これほど発展したか。
それは道具が使えるからという他ないだろう。
そして俺は人類だ。
だったら使わない理由はない。そうだろ?
というかみょうがを刻む時点で包丁使ってた。
というわけで。
酢飯詰めてぇ!
おらぁ!プッシュプッシュ!
どんなもんじゃい!!!
うまぁいい!! シャリが口の中でほどけるぜ!!! 道具最高!!!
夏はみょうがのにぎりで決まりや!!!
ありがとう高知!!!
おわり
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