燃やせ、道標を。こぼれたアイスに、祝福を。

多分単純な事実なのだろう。目の前に誰かがいることも。疑うことだけが真理だと 思えていたのは初めて、だけで 考えることは私の営みではなく 私に命じるのです 考えろと  解き明かすことも説明することも虚構だって 世界の創造、発明と発見 生きるとは、逆らうことだ この嘘にも本当があって、悪意にたぶん理由はある。アイスクリームふたつももって、ぼたぼた溢れる視線の先に、子どもが見えてて父の浮遊に、川辺が涼しく生臭くもあり、水を避けて生きている。所在のなさげに指をコーヒーカップに伝わせていた、その女とわたしの間にはなんの契約があったのだろう。デートにカヌー 乗れるだろうか、泳げないのに。小学校のころ、遊んでいたマリオが溺れて、夢にうなされた。湖にはカモの足跡、生きた証たち。頭痛、書けばなくなるのでしょうか。津々浦々泣く泣く行こうか。くろいもりの中で、綺麗だというと、ハートまでもが暗く。緑が好きだという彼女には友愛と恋愛の区別がいまだつかないでいるという。それらの言葉の意味すらわからないまま生きていて、しかし生きることに許可は要らなくて。文字を運んでくる。そのどれもが私にはわからなくて。だから愛おしいと思ってしまう。ずっと理論で喋りたかった。でも、でも、これでわかったでしょう。本当は誰でも、子供でありたかったんだって。

ただ思いが浜辺に溶けて行って。道標も泊まり込みの旅行に出ている。どこにいくのか知る術もなく寄る辺もまたなく。砂漠を歩くみたいに、詩を読むことは確固とした信念で。「そこから批評も始まる」のだとさと偉そうなジジイどもがぼやいてる。巨人の肩なんてスカした目で眺めてりゃいい。 言葉を繋ごう、宴を開こう。 削れるだけ削って残った骨組。どこまでもごまかしの利かないそれらの上を、私は歩いて王子みたいに、まるで孤独であるかのように。

心なら、捨て身の想像力と豊かな教養で埋もれてしまった。それらを全て剥がし続けて、俺は書いていたいと思う。

金銭的に有利な愛しさを求めて恋を探した。世界的な人々に、世俗的な聖人たち。必死の覚悟で生活を豊かにしたいのだけど、部屋は汚い。本が読めない。読むってなんであんなにストレスが溜まるんだろうね。 どうしてお茶がこんなにまずいんだろうね。 タバコをすっているからかな。 部屋片付けた10分後には何かがひっくり返ってて 今も敗れた封筒が、途上国の少女見せて横たわっている。折りたたみ式の電卓、辞書みたいに伏せっていじけている。昼間詰め込んだカシューナッツが腹で暴れ回っている。チョコの包み紙が皿のうえに。行き場のないトートバっグ。 行き場のないものたち。そいつらがいる限りおれは、豊かにはなれないのだと思う。 カルメ焼きをかじるみたいな音を立てて斧が振るわれる。 豊かな生活。思えば心掛けたこともなく。俺はパフェを食べたことに完璧を感じていた (La vie parfaiteってやつだ)。それでも貯金は増えていかない。

私はなんのために果たして働いてるんだろう 私は怠惰な人間で。 私は何を書いたらいいんだろうか。こういうことは誰かと一緒にいたときに何を話せばいいんだろうと考えた時の感覚と似ている。 気づけば私は相手の家族のことをきく。週末の予定を聞く。相手の家族がいつ家に戻ってくるのか。子供の写真はあるの?動画は?名前が?奥さんは?元気? なんの意味もないのだろうか。何度も同じこと聞いてはいるのだけれども。私は何を描きたいんだろう。これは私的なテキストになっているのだろうか。でもケーキを作る時原材料をそのまま食べて満足する人なんていないのだろう。私小説だろうか?私もパティシエと同じことをしていると信じたのだけど。書けば書くほどに右手の強張りは大きくなってくる。書くことをはすごく苦しく痛く怖いことで、だから私は言葉が嫌いで仕方ない。これが必要な取り組みだというから一層に。 父さん、みんなの使命を尊敬しているけれど、それは俺の道ではないんだよ。父さん。たくさん見たし、それ以外のものをたくさん見たし、たくさん考えたしたくさんやってみたけどさ、それはやっぱ俺のものじゃないんだよ。いつか俺が俺でいても笑ってくれよ、みんな。でもさ、俺は俺のままであることができるなんて誰が決めたんだろうな。きっとその時は訪れるし、俺がどうするかなんてそのときわかるさ。戦争にいくか、母を見守るかを決めたサルトルの若者みたいにさ。サルトルの若者よ、お前は結局どうしたんだっけ、お前も俺のこと、怒るかな。 いい加減にしろって。餓鬼じゃない。ふざけんじゃねえ。ここまで出てきたことを飲み込んでみたけど、これはただの始まりでしかない。この世界が俺を殺すのならそれもいいだろうって思う。斧が振るわれたのならそれはもうただの戯言なんかじゃなくなるし、燻っているのなら、とうに導きはバラバラになっている。

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