星のとらわれびと 「夢現(夢現)」
生まれた時なんて人間誰しも覚えていないもんだろ?
俺は覚えている
赤い光深い蒼たくさんの泡。
だがそこで俺の記憶はぷっつり途絶えて途切れている
次の記憶は、星の光を授かった時だった
赤い光が温めるのは俺の芯だった。
身体中からエネルギーが漲り頭の先や眼球にまで暖かな血が巡っていくようだった
俺の手は記憶と違って骨張り少し大きかった。その手で御月様の御簾から伸ばされた‘ それ ’を受け取った
彼女(なのかは定かではないが)の手は俺の記憶に焼き付いている
細やかな装飾の黒い手袋に