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【中間まとめ】これまでのインタビュー全15記事と特別編4記事紹介

「ひとすじ」は、”50年以上ひとつの仕事を続けている”方々を、フィルムカメラを用いて写真におさめるプロジェクト。
個人が自由に仕事を選べるようになり、転職や職種転換も当たり前になった現代だからこそ、その人々の生きざまはよりシンプルに、そしてクリエイティブにうつります。
このnoteでは、撮影とともに行ったインタビューを記事にしてお届けします。
2024年10月11日よりクラウドファンディング実施。
2024年11月22日-24日の3日間、東京原宿のSPACE&CAFE BANKSIAにて写真展開催。記事だけでなく、支援と来訪心よりお待ちしております。

取材と撮影は去年の3月から、そして今年の3月からは毎週木曜日にnoteを更新開始。これまで15つのインタビュー記事と4つの「ひとすじ」制作に関する特別記事を公開してきました。

世の中には記事だけではなく、動画や音楽などのコンテンツが大量に流れ、溢れている時代。今まで上げててきた記事もその荒波に飲まれ、読んでいただきたい人には届いていないかもしれません。

お盆でゆっくりされている方も多いであろうタイミング。職種はバラバラ、共通点は50年以上ひとつの仕事を続けている方々の、これまでの人生や仕事観に関する記事を少しでも多くの人に届けるために一覧でまとめてみました。これまでに公開した記事の冒頭部分を引用しています。もし気になる方がいたらちょっと覗き見する感覚でお読みいただけたら嬉しいです。


<ひとすじの概要>

【決意表明】続ける/働くをテーマにした写真集「ひとすじ」を制作しています!

はじめまして。普段は映像ディレクターとして活動しております中村 創(なかむら そう)と申します。

人生初の写真集を6人のメンバーと共に作っています。50年ひとつの仕事を続けた方のポートレートや仕事風景をフィルムカメラで撮影した写真集「ひとすじ」です。

写真集だけではなく、映像作品も組み合わせ、最終的には各地で展示もできたらと思っています。

現段階で細かいスケジュールは決まってないですが、少しでも興味を持っていただけたら嬉しいなと思い、このnoteを書くことにしました。最後までどうぞよろしくお願いします!

<インタビュー記事>

1.シェイクベイベー!アポロに恋して

鎌倉街道の曙町に佇むパブレストラン『アポロ』。ギリシャ神話の太陽神アポロンからその名をもらったそう。マスターのチャンさんにとって、アポロは恋人。

開業から60年以上経つ今も、週6で働くこのお店のマスター、チャンさんは、仕事が楽しい一方、まだまだ勉強不足といいます。

「シェイクベイベー!」今日も元気に営業中。

2.船乗りを夢見た少年が見つけた天職

大衆居酒屋が立ち並ぶ横浜・野毛の地で、戦後間もない頃から多くのお客さんに愛されてきた「もみぢ菓子司舗」
店頭には、甘くてふわふわの名物・どら焼きや、色とりどりの練り切り、大粒のみたらし団子などが立ち並び、どれを買おうか迷ってしまう。

そんな「もみぢ」を共同経営という形で切り盛りする、店主の西村さん。
その朗らかな雰囲気とチャーミングな笑顔に、なんだかほっとして、何度でも会いにきたくなる。

西村さんと「もみぢ」の、これまでの歩みを聞かせてもらいました。

3.「今が一番楽しい」 倒れても働いた日々が作った今日

駄菓子屋「菊地商店」にようこそ!
入場料は笑顔。みなさんの元気な姿が、店に立つ特効薬です。

菊地さんは、毎日欠かさず薬を飲んでいます。営業中に一度倒れてしまい、引退もよぎりましたが、それでも店頭に立ち続ける理由は「ここにいる時間が一番楽しいから」。実は私ライター増田の祖母も自営業をやっていたので、彼女の姿はどこか祖母に重なります。無理のない範囲でショーマストゴーオンしてほしいですね。

大森駅近くのお菓子の森。大人も気づけば子どもになっちゃう?買いすぎにはご注意を(笑)
それでは、いってらっしゃい!!

4.ハングリーを貫いた62年 女将をささえたもの

奥州三名湯こと鳴子温泉に佇む旅館大沼。女将の大沼安希子(おおぬま・あきこ)さん(85)は、今日もハングリーに、ひたむきに働いています。

唐突ですが、みなさん今の仕事を楽しんでいますか?

楽しいと心から思えた人、悲観的に思った方、パッと答えが浮かばない人。
人生いろいろ、働き方もいろいろだと思います。
そのいろいろを経験した人生の大先輩から教わるものは多いものです。

5.町と人に寄り添う、おもちゃ屋の名物オヤジ

初めて降り立ったのに、なぜか懐かしい気持ちになってしまう町、ときわ台。

その町の中でもひときわノスタルジーを感じさせる佇まいの「ホビーストア フジヤ」
長い間ときわ台の町とそこに暮らす人々を見守るこの店で、今日も真剣な眼差しでおもちゃ・模型作りに向き合うのが、この店の店主・藤田宏さん。
おもちゃと町を愛し、全力で人生を楽しむ”ときわ台の名物オヤジ”の熱い思いを聞かせてもらいました。

6.サーフィン界のレジェンドが歩んだ、「波」瀾万丈の人生

私、ライター野澤が茅ヶ崎に引っ越す直前、「出没! アド街ック天国」の茅ヶ崎特集で初めて目にした、サーフィン界のレジェンド。その名も、サーフショップ「GODDESS」社長、鈴木 正さん。

茅ヶ崎の地に住むからには、一度はお会いしたいと思っていた方に、取材をさせていただくことができました。

鈴木さんの人生は、一言で言うならば”波瀾万丈”。人生のあらゆる波に乗ったり、時には巻かれたりしながら、それでも前を向いてひたすらに突き進む。痺れるほど格好よく、ドラマチックな、鈴木さんの人生物語、開幕です。

7.自転車という魔物にとり憑かれて。

東京・上野に店舗を構えるスポーツ自転車専門店「横尾双輪館」。外観は新しく、2階にはカフェスペースも併設されているが、実は創業98年の老舗。店内には昔の名選手の自転車も飾られています。

以前の記事で取り上げた、ときわ台のおもちゃ屋フジヤの藤田さんが、横尾双輪館のオーナーである横尾さんを紹介してくださり、今回の取材に繋がった。

人生で一番嬉しかったことを聞くと、口を開けて大きく笑いながら話してくださった横尾さん。
1964年の東京五輪に競技委員として参加した横尾さんは、自転車という魔物を通して、どんな喜びを得てきたのでしょうか?

8.届け先のわからない手紙、預かります。小さな島の郵便局長。

香川県三豊市、本土から船で15分のところに浮かぶ小さな島・粟島。
そこに、「漂流郵便局」という一風変わった郵便局があります。

ここには様々な事情で直接相手に届けることのできない手紙たちが寄せられ、いつか宛先不明の存在に届くその日まで、手紙たちを漂わせて預かっているそう。
そんな不思議な郵便局で局長を務めるのが、中田勝久(なかた・かつひさ)さん。

行き先を失い漂う手紙とそこに込められた思いを、広くしなやかな心で受け止め、送り先の人たちの心の拠り所となる、そんな大きな人です。私自身、一度会ったその日から、「明日も明後日も中田さんに会いたい」「中田さんと話すとほっとできる」そんな思いになったことを覚えています。

9.山奥に植物園を。「夢を見ながら終わる人生は幸せである」 信念をこめた地域づくり

徳島県神山町にある四国山岳植物園「岳人の森」(がくじんのもり。)
四季色とりどりの草花を鑑賞できる山の植物園でありながら、オートキャンプ場やレストランも併設されています。

23歳で、何もない岩山で「岳人の森」を開発し始めたのが、山田勲さん。「こんなところに人が来るわけない」と地域の人や友人、家族にさえも期待されていなかったと言います。

植物を植えて順調にいっていても、ある時急に枯れてしまうことも。現在のビジネスにおける高速なPDCAサイクルではなく、数年経たないと結果がわからない、植物を相手にした仕事。困難にぶつかっても、未来と自身の信念を信じ続けた山田さん。

「いつ生まれて、いつ死んだかわからんような自分でありたくない」と語る山田さんの、魂のこもった生き様の一端です。

10.「りんごは自分の子ども。」やさしい味の秘密とは?

宮城県気仙沼市。カツオやサメの水揚げが日本一、昔から漁業のまちとして知られています。

漁港から車で20分弱、太平洋に面した唐桑半島には、58年前は麦畑だった場所に、100本の木を植えたりんご農家があります。宮城県の農林水産大臣賞を3回も受賞したりんごを作っているのは、戸羽貫の千葉貫三さん、89才。

「長年りんご農家をやっていると、りんごの気持ちがわかるようになる」と語る大ベテランに、なぜ宮城県でりんごを始めたのか、農家として仕事をしていて大変だったこと、りんごの気持ちがわかるってどういうこと?など、率直な疑問をぶつけました。

自然で優しい甘さのフジりんご。この味の秘密は、千葉さんのこれまでの人生に濃縮されていました。

11.ちりめんからお守りへ。神仏の魂と機織屋の伝統を宿したものづくり

これまでに、6万1千種類ものお守りの絵柄を織る「松尾織物」。

ちりめんで有名な京都府京丹後市に位置する機織屋(はたおり・や)では、今日も織機(しょっき)が大きな音を立て、忙しなく動いている。自身の体よりもひとまわり大きいその機械を操るのが、この道63年の松尾 信行さん。

百年以上続く、家業である織物業を続けてきた秘訣。ヒントは、自身を新しい物好きだと語る松尾さんの、先を見据え、軌道を調整し続ける姿勢にありました。

12.塗装技術の染みついた身体と、あふれ出る人情深さ

京都府京都市にある「徳岡塗装」で青色の作業車を磨くのは、社長であり塗装工の徳岡 秋男さん。

インタビュー中も、車を磨いたり部品をはめたり。そのスムーズな動きは、まさに身体に染み込んでいるようで、ついつい見惚れてしまうくらい。

飲みの席の知り合いや、勤めていた会社の従業員、お孫さん、97歳のお姉さんなどなど、徳岡さんの口からは、本当にたくさんの人の名前が出てきます。照れたように笑い、そっけなく話す徳岡さんですが、人に対する義理堅い一面が垣間見えます。

周りの人と支え合いながら生きていく、当たり前だけれど、忙しく生きる現代人にとっては忘れがちな大切なことを、徳岡さんは教えてくれました。

13.「苦しみは、目だけでは見えない」神父に憧れたパン屋生まれの少年

晴れた冬の日曜日。福岡県・博多駅は、年末の雰囲気を帯びて、いつにも増して賑わっていました。
そこからタクシーで10分あまりの、街角にそびえる品の良い建物。美野島司牧センターです。
神父のコース・マルセルさんは、この仕事を始めて52年。日本での活動も50年になります。

「日曜にはミサがあります。取材も兼ねてぜひご参加ください」とお声掛けいただき、ひとすじチームは5名でお伺いしました。
約1時間のミサは、そのほとんどがスペイン語。ライターの後藤にとって、馴染みのない言語で行われた人生はじめてのミサ。そして、そのあとの取材をとおして感じたのは、世界の広さでも、50年の長さでもなく、神という存在の絶対的な力強さでした。

14.100歳の現役薬剤師「今日も街のみんなの元気のために」

板橋区小豆沢(あずさわ)、周辺にいくつかの薬局が立ち並ぶエリアに、薬局としては珍しく暖簾を出し、不思議で温かな雰囲気が目を引く「ヒルマ薬局小豆沢店」。
2018年に世界最高齢の現役薬剤師としてギネス記録にも認定された(2024年現在は別の方が記録を更新)、比留間栄子さんは、今もこの薬局で働いています。

日々お客様の体調や様子に耳を傾け、心と体を癒す薬剤師であろうと努力を続ける栄子さん。
戦争・貧困、厳しい時代を息抜き、今も生かされている命と新しい毎日に感謝しながら前向きに日々を紡ぐ、そんな栄子さんの人生のお話を伺いました。

15.占うことは、困った人に寄り添うこと。

多くの占い店がひしめく、横浜・中華街。メインストリートに面した、「華陽園」で働くのは、この道50年の葵和歌先生。
タロット、手相、占星術…様々な方法で占いをすることができるという葵先生ですが、特にタロットをメインに多くのお客様を占っているのだそう。

初めて葵先生のところに伺う際、私は、占いをしていただくこと、お話を聞かせていただくこと、その両方に緊張していました。しかし、占いをしてもらううちにその緊張はほぐれ、柔らかな葵先生の物腰に身を委ねながら、心地よい時間を過ごしたのでした。

<特別編>

「ひとすじ」を一人ではなく、チームでやる理由

「一匹狼」

自分のこれまでのフリーランス人生、4年弱を振り返ると、とてもいいことだとは思えないけど、このフレーズに表されてしまう。

もちろん映像制作という仕事柄、クライアントさんはいて、時にはチームで動くし、決して自分だけで完結するわけではないけれど、企画・撮影・編集をできるビデオグラファーの職種も相まって、基本的に一人で動くことが多かった。

そもそも一人っ子で、兄弟もいない人生を歩んできたから、一人に居心地の良さを覚えるのは当然なのかもしれない。喧嘩もないし、マイペースに動けるし、何より気楽だ。一人旅、一人焼肉は全然嫌いじゃない。

しかし、振り返ってみると、大きな成果を出せた時、感情が振り切れた時、人生において濃い時間を過ごしているであろう時、一人ではなかった。必ず、友人や仲間と呼べる存在が周りにいた。

50年ひとつの仕事を続けた人の仕事観や人生観を、写真やインタビューを通して探るプロジェクト「ひとすじ」。一人旅している時に、いつか形にしたいと思った企画を今では6人の素敵な仲間と共に前に進めています。

『ひとすじ』のいきさつ

こんにちは。ひとすじメンバーの後藤です。

なぜ『ひとすじ』というタイトルに辿り着いたのか、その裏側を書いてみたいと思います。

言葉や名前の説明をすることは、時に野暮だったりします。
名前って、その名前がついた瞬間から、何故だかはじめからそれ以外なかったみたいに思えてくるからです。

『ひとすじ』も、今となってはある意味そういう言葉のように思います。

インドネシアで『ひとすじ』な人を探してみた!

いつもお読みいただきありがとうございます。『ひとすじ』発起人 兼 写真を撮っている中村創です。

今回は通常のインタビュー記事ではなく、特別編。先月インドネシアを訪れた際に、働く / 続けることに関して新たな気づきがあり、記事にすることにしました。



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