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【『月曜日のたわわ』日本経済新聞全面広告】

 2022年4月4日に日本経済新聞の朝刊に掲載された全面広告。漫画『月曜日のたわわ』第4巻の発売を告知するもの。

『月曜日のたわわ』は、2015年に比村奇石氏が巨乳の女子高校生「アイちゃん」の日常を描くツイッターイラストとして始めたシリーズ。あえての青一色で描いていることが特徴。
 タイトルは毎週月曜日に作品が投稿されることにちなんでおり、作中でもクラス委員長であるアイちゃんは月曜日のみ委員会の用事で、主人公である「お兄さん」と電車の時間が被るという設定がある。
 のちにイラストから漫画の形式を取ったものも投稿されるようになり、現在は講談社『ヤングマガジン』に連載中。2016年と2021年にWebアニメ化を果たしている。また2016年に投稿された第86回が、女性が自身の胸にスマホを乗せられるかどうかを試す「たわわチャレンジ」と呼ばれるネットブームの発生源となったエピソードがある。

 本件広告が出された同日の昼、コミックナタリーがその掲載を報じるニュースをツイッターで告知。

 このツイートに対しフェミニスト達が総攻撃を開始した。
 ナタリーは日本経済新聞、講談社いずれの関連企業でもなく、ナタリーに文句を言っても仕方がないのだが、そこまで考える頭はフェミニスト達にはないらしい。
 ちなみにこのツイートの文言「不安を吹き飛ばし、元気になってもらうため」に噛みついた者も多かったが、そもそもこの言葉はナタリーの取材に対するマガジン編集部の談話であり、広告には全く書いていない言葉である。

バッシングツイートの一部
【炎上】日本経済新聞の広告がジェンダークレーマー被害に遭ってしまうより)

 まず、この広告はなんらエロティックな描写もない、着衣の女の子のイラストである。その「性的さ」は同じような指摘をされた【宇崎ちゃん献血ポスター事件】よりもさらに控え目なものであり、元々アイちゃんが巨乳である点を除けば【君野イマ・君野ミライ】にも匹敵する穏当さである。
 むしろアイちゃんのバストはほぼ腕で隠されており、フェミニストが(つねに定義を全く示さずに)言う「性的強調」すら見出しがたい。

 つい先月にシンカ論マガジンでも取り上げたが、ジェンダー学者の小宮友根氏による対談記事の中で「性的な記号がない」イラストとしてこのような例が示されたばかりである。

女性の描かれ方めぐる「炎上」はなぜ起きる? 社会学者・小宮友根さん、ネットで発信・ふくろさんに聞きました

 では、仮に『月曜日のたわわ』のアイちゃんが、この左の「性的でないはずのポーズ」を取っていたらと想像してみよう。彼女の巨乳はデデン!!と正面を向くことになり、本件広告よりもはるかに目立つはずだ。
 つまりフェミニストが「これぞ性的でない絵!」とわざわざ描いてきたイラストよりも、今回の広告はさらによりいっそう『性的ではない』のである。
 まして日本経済新聞は官能小説が普通に連載される媒体である。仮に「性的」だったとして、場違いでもなんでもない。そんなことも知らないフェミニスト達は読者ではないと丸わかりであった。

 かつて同じように巨乳ヒロインを「売り」にした漫画の広告がフェミニストのバッシングに遭ったことがあった。
 日本赤十字社が、エロティックな格好でもなんでもない着衣の巨乳少女のイラストを献血ポスターにした【宇崎ちゃん献血ポスター事件】である。  
 このときフェミニストは「宇崎ちゃんは献血という【内容と無関係】じゃないか!」「作品は一切問題にしてない!【公共の場にふさわしくない】広告だからいけない!」と自己弁護に汲々としていたのである。
 そればかりか宇崎ちゃん献血の2種類の図柄について、2つめのイラストは問題の無いものだ!フェミニストの言い分を受け入れて改善したのだ!と”勝利宣言”まで言い張っていたのだ(事実は、第2弾が別の図柄となることは第1弾開始前決定されていたし、原作者自身がフェミニストの要求とは全く無関係に第2弾を作成したことを証言している)。

 つまりこれまで何度も何度も何度も何度も示されてきたように、彼らの言い訳は嘘であったのである。
 「宇崎ちゃん」も「たわわ」も、その広告派まったくもって性的に控えめなイラストである。元作品が巨乳美少女をテーマとするものであっても、フェミニストのかつての言い分に従えばそこは何の関係もないはずである。

 また本件広告で宣伝されているのは『月曜日のたわわ』の漫画本そのものであり、アイちゃんとこの本には関係しかない。
 しかしそんな整合性などは、フェミニストにとっては一顧だに値しないものであった。

 さらにフェミニスト達は「この漫画は女性にとっては元気を不安に陥れるものだ!」と言い張っていたにもかかわらず、それを【拡散】しはじめたのである。
 しかも広告に載ってすらいない、より「性的」なシーンをである。

 ツイッターは女性や未成年、つまりアイちゃんと同年代の少女達も使えるSNSである。つまりフェミニスト達は、広告のまったく性的でない画像どころか、作品の中のはるかに性的なシーンさえ、未成年に見せてOKだと思っているということになる。
 つまりフェミニスト達の「この広告を女性や未成年に見せるのは問題だ」というのも、また嘘だったのである。

  また今回、フェミニスト達にとってタイミングが悪かったのが、直前に邦画関係者による性的乱行の報道が相次いでいたことである。
 映画監督をはじめとする業界のいわば実力者達が、女優としての栄達を望む若い女性たちに、起用をエサに性的強要や要求を繰り返していたというのである(ただしまだ報道されたばかりで、事実の相当数が真偽未確定であることは念頭に置いていただきたい)。 
 まずなされたのは、このような卑劣で深刻な【性的搾取】が大きく報じられているというのに、フェミニストは何の罪も変哲もないイラストをはるかに苛烈に攻撃しているのは、一体どういうことだという批判であった。
 しかしそれ以上に、この邦画スキャンダルの渦中の「加害者」のひとりが、園子温という映画監督だったことである。この人物は左派とズブズブだったのだ。フェミニスト及びその批判者には周知のことであるが、日本のフェミニズムは基本的に左派系勢力の一部分をなしている。

 その園氏を含む左派系の人々が、選挙権年齢が引き下げになった2016年、若い有権者たちにアピールをしたことがあった。その時に使われたイラストが、今回とほとんど変わらない構図なのである。

岩井俊二、園子温、せいこうら30人寄稿、「投票」のためのメッセージ集

 津田大介、香山リカ、奥田愛基といった、少しこの界隈に詳しい人なら「ああ、そっち系の」という名前が並ぶ。このイラストが掘り返されたのも、園氏の名前があったため検索に浮かび上がってきたものと考えられる。
 このためにフェミニスト達は、いま自分達が叩いているイラストとそっくりなものを、ほんの数年前にお仲間たちが喜んで掲げていたとバレてしまったのだ。

 さらに4月9日、”素敵な一週間”が終わらないうちに、別作品でほぼ同じ構図の全面広告を朝日新聞が出してしまう。左派御用達の、天下の朝日新聞である。

 フェミニスト達は、何重にも恥の上塗りをすることになったのである。

  なお本件に関して、バッシング層が40代以上の中高年に偏っていることが計量経済学の田中辰雄氏の調査で明らかになり、【更年期のしわわ】という蔑称が誕生した。

参考リンク・資料:

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