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安心を担保し、共感してもらえるファンを増やしていく事例

こんにちは。

Peatixの藤田さんがご紹介されていた、さとなおさん(佐藤尚之さん)のご著書「ファンベース」の関連書籍「ファンベースなひとたち」を拝読しました。

コミュニティづくりの仕事をしているわけでもない私ですが、SNSの時代、ネット上で人とつながることがとても楽しいと感じています。
人と繋がりながら、なぜ楽しいと思えるのか、もう少し明瞭に言語化したく本を読んでみました。

▼私が人とつながることが大事だ〜と感じた瞬間を書いたnoteたち


本の要約

【ファンベース】
ファンを大切にし、ファンをベースにして、中長期的に売り上げや事業価値を高める考え方。

「ファンベースなひとたち」はじめに

【ファン】
企業やブランドなどが大切にしている価値を支持してくれる人

「ファンベースなひとたち」はじめに

パレートの法則→顧客の上位20%が売り上げの80%を占める
砂の一粒の量の情報がある時代でも、自ら情報を探しにきてくれる人々=ファン。
そんな時代でも、人は家族や友人の情報に頼る=価値観の近い家族や友人が愛用しているモノや大好きなことは自分も気に入る可能性が高い

社員よりファンの方が知っていることが多い

企業のブランドの価値は、社員よりもファンの方が知っているケースが多い。社内で調査しているとしても、本当に調査されているか?

  • 「濃い」ファンを調査していますか?

  • 購入金額が多い人=ファンだと思っていませんか?

  • 会員登録者をファンだと思っていませんか?

  • 機能ではなく、情緒(感情)を聞いていますか?

  • 「改善点」や「ご意見」を拝聴してませんか?

アンケートやグループインタビューではなく「ファンミーティング」を実施することで、本音や本当に好きな部分を語り合ってもらえる。

事例

読売巨人軍

巨人にファンベースが必要だと思った理由

  • 社内の様々な事業、サービスにもっとファンの視点を取り入れたい

  • 対象が「選手」と「試合」なので人気が勝敗に左右される

  • 勝敗に関わらず、支えてくれるコアファンの存在を生かしたい

まず行ったこと

  • Giants ID登録者アンケート

  • 来場登録者推奨度調査

  • ECサイト購入者向けアンケート

  • ECサイトユーザー行動視察調査

  • ファンクラブ・ECサイトデータ分析

分かったこと

  • GIANTS IDを分析することで、NPS(顧客ロイヤリティを測る指標)の数値と購買金額の相関関係を把握できた→NPSの指標が高い人ほど、より多くのお金を使ってくれる→NPSを高めることと相関のある体験は何なのかその因子を見つけて改善することが、収益増につながると考えた→(課題)この結果は、すでに終わってしまった試合の体験価値のため、今後も継続したいか否かは不明

社内で「ファンベース」の考え方をどう広めたか

  • 最初は「ファンサービス」とどう違うのかと聞かれることが多かった。ファンと向き合うことを話すと、そんなことはすでにやっている、という反応が返ってきたことも→企画書やリポートに「ファンベース」という言葉を使わず盛り込み、徐々に伝えていくようにした

  • こんな課題があるから、こう解決していきたい、と上司に提案していた

  • 新規の部署だったこともあり、情報が十分に入ってこないことも。社内での信頼を得られるように、自ら行動し首を突っ込み数字を見せて欲しいと食いついていた→汗かき役として信頼を獲得していく


カゴメ

コミュニティサイト「&CAGOME」の設立

一時的なキャンペーンではなく、長く愛してくれるファンを大切にしていくべきではないのか?
→そもそもカゴメファンとは?そこから定義していくことに
「ロイヤルユーザー(他のブランドには乗り換えないファン予備軍)」と、「ヘビーユーザー(購入金額が高いファン予備軍)」が重なりあう層に注目

そしてできたのがカゴメのコミュニティサイト「&CAGOME」でした。

SNSのキャンペーン等で集客し、目標の「1年で1万人」は達成したそう。さらに会員数を増やすことよりも、コミュニティに積極的に参加してもらえる「アクティブユーザー」になってもらうためにどうしたらいいのか考えました。

さらに社内でのコミュニティの認知度が低く、社内外ともに認知度を高くする必要がありました。

打破したきっかけ

社内の若手社員が興味を持ってくれたことから、社内でモニター記事に本名で出演してもらうことに。初期のころは等身大のカゴメが「能動的にファンとつながる」ことを意識していたそう。

会員が増えていく中で気をつけてきたこと

  • コミュニティサイトを安心できる場所にすること。コミュニティの秩序を崩すようなコメントはないか常にチェックしている。

  • 盛り上がって、ネット上で拡散されることを期待したが、会員皆控えめでそういったことは起こらなかった。けれど、カゴメに対する熱量はとても高い

「&CAGOME」を立ち上げた当初の社内の反応

商品モニターなどの企画の際、取得するアンケートの結果を共有するなどして地道にアピールし続けた。

ユーグレナ

ユーグレナ社がファンを増やした経緯

ユーグレナを原料とした商品をOEM供給する事業としてスタート。マザーズ上場を機に通販事業に力をいれ、B2Cに参入。ユーグレナ社の「人と地球を健康にしたい」「アジアの最貧国であるバングラデシュの栄養状態を改善したい」という創業時の思いに共感し、応援してくれるようになった。社長の出雲さんが登壇した講演会でファンが増えた。

売上を伸ばすことよりも、理想としている世界を叶えたい

企業は結果を出すことは全てなのは確か。けれど、自社の結果に関わることだけではなく、私たちがより環境の負荷の低い社会にしたいと考えたとき、ユーグレナのファンがユーグレナの商品を買うだけではなく、どんな服を着るのか、どこに住むのか環境と一緒に考えてもらう社会にすることが理想。今後は、そうした同じ理念や目標に向かっていく「関係人口」を増やしていきたいそう


Soup Stock Tokyo

Soup Stock Tokyo花摘さんの「ファンベース」っぽさ

  • 毎週来て下さるお客様のために、週替わりで毎日8~10種類はスープをご用意

  • 店舗での接客マニュアルは作らない

  • 値下げ、安売り、クーポン禁止

  • 安心、安全、女性1人でも入りやすいファストフード

ファンベース的施策の例

  • 七草粥の日には、お客様へ「今年も健康でお過ごしください」の一言を添える

  • カレーストックトウキョー期間中はカレーを販売。黄色を持って来店された方にはちょっといいことがある

  • 全てのカレーをコンプリートされた方へはバンダナをプレゼント

  • 新年の挨拶には、全店舗の店長による「ごあいさつ」をリーフレットやポスターにして店頭に配布→インターネットで検索しても出てこない、店長たちの個性が伝わるエピソードを書いてもらう

ファンベース的施策を打つときに大切にしていること

  • 新規のお客様がついてこれるか?

  • 2度目のお客様も新鮮さを持ってもらえるか?


Soup Stock Tokyoは過去にカンブリア宮殿に出演されていました。

※補足
登場されていた花摘さん、こちらのメディアにも登場されていました。


安心があってこそ企業を応援したい気持ちが生まれる

これらの事例を踏まえ、私は「安心」「信頼」ということばがどの企業にもあったことに気づきました。

新たなことに挑戦するにしても、企業に対する安心や信頼がない限り参加したいとも思いませんし、応援したいとも思わない。
ファンコミュニティが増えていく現在ですが、顧客の調査の前に安心できる環境であるかを見直す必要があります。

実際今私が会社で取り組んでいる事業も、安心が担保できることを伝えられているのか疑問に思いました。そこは、きちんと自信を持って言えないとダメですよね。年明けにチームに共有します。

本当に大切なことに気づかされた本でした。

それを踏まえ、たとえばこのようなコミュニティに関する調査レポートをご覧になるとまた違った見方が生まれるはずです。


ほか参考書籍

ファンベース診断

著者さとなおさんの会社で提供されているツールです。

顧客視点の企業戦略

noteプロデューサー徳力さんのご著書。
「創造する顧客を創造する」の章が最も興味深かったです。noteの考え方に通ずるとも受け取れました。アンバサダーマーケティングに携わる方々、興味関心のある方にぜひ読んで頂きたい1冊です。

コミュニティづくりの教科書

詳細はこちらのnoteで書きました。

カタリベ企画

中川政七商店が主催する「カタリベ大日本市」について、最所さんがまとめています。
集客からイベント終了後まできっちり計画立てられている事例です。


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