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25歳喪女がマッチングアプリを半年続けてたどり着いた“恋愛”についての思考

はじめまして。

まもなく26歳になろうとしている “一般会社員女性” です。
決して大きくはなく、小さすぎもしない企業に勤め、不満のないサラリーをもらって好きなことにお金を使う。趣味は読書と映画とラジオ。見えないなにかに急かされて料理教室に通ったり、友人と仕事の愚痴を言い合いながらお酒を飲んだりして週末を過ごす。平凡な生活を送っています。

でも、人と違うところがあるとすれば、つい数か月前まで喪女だったこと。
誰とも付き合ったことがない以前に他人に恋心を抱いた経験がほとんどなく、「人を好きになった」と自覚したのは、25年間の人生でたった一度だけ。

そんな私は2020年6月から半年間、マッチングアプリをしていました。
その中で10人の男性と出会い、恋愛観や価値観が一変。1年前の私とは、(良くも悪くも)別人のようになりました。

この物語は、半年のうちに壮絶な片思いをし、失恋して石垣島に逃亡、その約1か月後、クリスマスの翌日に初めて彼氏ができたというお話。
様々な人に出会い、励まされ、たった6か月で急激に成長した心の観察記録です。

好きとは何か。
人と付き合うことにどんな意味があるのか。
結婚することの利点とは。

恋愛経験の乏しいとある25歳・女が、恋愛について考え続けてたどり着いたひとつの結論をつづりたいと思います。

マッチングアプリを始めた理由

きっかけは、友人の一言だった。
休日に行列のできるパンケーキ屋を友人と訪れ、ふわふわとした食感に顔をほころばせながらパンケーキの美しさを称賛し合っていた時のこと。
「子供が欲しいから結婚したい」という友人の恋愛の近況をうわの空で聞いていたら、ため息交じりに「結婚願望ないの?」と言われた。

「ないね」

恋愛経験のない私に結婚願望があるわけもなく、子供を産むことが人生の目的だとも思っていないから、結婚する必要性も感じていなかった。
そんな私に友人は言った。

「今はまだ両親も元気でさ、友達も兄弟もいつでも遊べるかもしれないけど、いずれ親は死ぬし、友達や兄弟だって結婚したらだれも遊んでくれなくなるんだよ? そしたらこの先ずっとひとりなんだよ? それでもいいの?」

そう言われて目が覚めた。
真っ先に「あ、ひとりはいやだ」と思った。
そして友人の口車に乗せられるまま、マッチングアプリを始めた。

「彼氏が欲しい」という強烈な意志があったわけではない。25年間もひとりで生きてきたのだから、自分の幸福を自分で満たす術は身についてしまっている。
では、なぜ今になって恋愛に踏み込もうと思ったのか。それは、20代の半ばを迎えてなお、ドキドキしたいと思ったから。

花火大会に行くたびに、クリスマスを迎えるたびに、街にあふれるカップルをうらやましく眺めていた。
しかし、そうした年に数回訪れるカップルのためにあるようなイベントを乗り越えてしまえば、ひとりでいても寂しさを感じることはなかった。
それは大学生まで実家暮らしだったこともあるし、友達と遊びに行くことで十分に楽しいと感じていたから。

でも、心のどこかで恋愛というものに憧れていた。

「好きな人に愛されること」

それは、恋愛無知な私にとっては夢のようなできごとで、そんな素敵なことがあるのだろうか、そうなった時に私はなにを思うのか、その真偽を確かめたいと思った。

好きな人と出会いたい。
目が合って胸が高鳴ったり、会話をしてはしゃいだり、そういうトキメキが欲しい。
愛してくれる誰かが欲しいというより、私が愛する対象が欲しい。

そう思って、マッチングアプリを始めた。
私は、まだ女子だった。

マッチングアプリで相手を選ぶ基準

さて、マッチングアプリとは多くの場合、男性側からアプローチをかけ、女性はたくさんの「いいね」をもらうようにできている気がする。
また、アプリを始めて数週間は異性の側には目につきやすいよう、上位に表示されるように自動的になっているらしい(どこかのサイトに書いてあった)。
身バレ防止のためにあまり顔のはっきりと映っていない写真を載せたにも関わらず、もしくはそういう写真を載せたからか、気づけば増えている「いいね」をくれた人の中から、自分が選ぶ側の立場として相手を取捨選択していた。 

マッチングアプリの恐ろしいところは、この「いいね」の多さによってまるで自分が “モテている” かのように錯覚することだ。相手だって「いいね」しないと返ってこないから事務的にしているのだろうけれど、なんとも優越感の得られるものだった。

さて、たくさんの「いいね」をもらうにしても、同時に何十人を相手に会話をすることなどできない。自分のキャパシティを考えて3、4人が限度だろうと思った。
すると、たくさんの「いいね」してくれた人の中からその数人を厳選する必要がある。これがまた大変。恋愛経験がないから、なにを基準に相手を選んだらいいのかがわからない。

私がどんなタイプの人間でどんな人と相性がいいのかなんて、経験がないから分析できない。
そもそも、人を好きになったことだって人生で一度しかないのだから、4年前のその1サンプルのみを頼りに判断するしか手段がなかった。
そしてひとまずの目安として、かつて好きになった人の特徴や惹かれた部分を思い返し、ひとつの指針をたてた。

 “頭がよくて、尊敬できる人”

尊敬できる人が好きだというのは自覚していて、ではどういった人を尊敬するのかと考えたら、頭のいい人だなと思った。
思い返してみれば、昔から学校の先生を好きになりがちだったのは、そういう理由からかもしれない。

では、どこをみて頭の良さを判断しようかと考えた。
わかりやすい明確な基準は「大卒か否か」。しかし、おおむね相手は大卒ばかりで、しかも大学と言ってもピンキリ。それを基準にしたのではふるいにかけられない。次第に「大学院卒か否か」を見るようになっていたが、絶対条件ではなかった。
もうひとつの判断材料は、プロフィールの文章力。読書が好きなこともあって、文章の言語表現や言葉遣い自体に魅力を感じたり、そこから人柄を考察したりするのが好きだった。
魅力的な言葉遣いをする人は、それだけで言語能力が長けている。よって、尊敬できると判断した。
その他の基準としては、趣味が合うかどうかとか、顔が無理じゃない程度かとか、ヒモは養えないから自立して生活できるだけの収入はあるかとか、いろいろ総合的に見てはいる。
これらの基準をもって、会話する相手を絞り込んでいった。

しかし、アプリを始めて3週間。アプリ上で会話を重ねた数名、そのうち実際に会った2人とも、私は進展を望まなかった。

直接会った2人とは、波長は非常に合った。趣味の話で何時間も会話を続けていられた。
好意を抱いてくれているのも感じていたのに、どうして付き合う選択をしなかったのかというと、 “好き” かどうかわからなかったから。

ここで、私の25年間の人生における恋愛観を支配し続けてきた最大の問いがふたたび立ちはだかる。

「好きってなんだ」


<つづく>


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