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「健康をはかる」から「健康をつくる」サービスへの転換。目指せ”健康総合企業”!〜DX事例32_株式会社タニタ〜

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回は体重計など計測器のメーカーでありながらも、健康をテーマに「タニタ食堂」も展開する株式会社タニタの健康データを活用したDXです。


社員の健康データを集め続け、健康づくり支援事業に発展。タニタの健康データ活用の取り組み

冒頭にも書きましたが、タニタというと体重計等の測定器よりも、「タニタ食堂」や「健康」というイメージが強いのではないでしょうか?タニタは健康計測機器を製造するだけではなく、「健康を作り出す」ということに力を入れています。
タニタは健康経営への取り組みとして、2009年から社員の健康増進プログラム「タニタ健康プログラム」をスタートしています。

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株式会社タニタ「会社案内」より抜粋

社内に体組成計、血圧計などの測定機器が設置されていて、いつでも計測が可能になっています。また社員には社員証付の活動量計を配布しており、執務室への入退室時に社員証をかざすと自動的にクラウドにデータアップロードすることができます。
これらの情報は「からだカルテ」からいつでも確認することができ、社員の健康増進のアドバイスに使われます。タニタではこの取組を年々改良しながら行っており、年間の医療費が2008年に一人当たり116,996円だったものが、2010年には106,180円に減少したと発表しています。

それだけでなく、これらの取り組みの成功事例や取得した健康データを活用することで下記の新商品・サービス開発に発展しています。


①タニタ食堂のオープン
2012年に丸の内にオープンしてから現在7店舗まで展開しています。栄養バランスに優れたメニューを出すタニタ社員食堂が有名となり、そのまま実際に店舗としてオープンしました。
メニューはどれも栄養バランス、減塩を意識した内容となっています。店内にはカウンセリングルームが併設されており、タニタ食堂で食事をした方は体組成の計測やアドバイスを無料で受けることができます。※現在はオンラインサービスを実施中。

②他社や自治体向けにカスタマイズした「タニタ健康プログラム」の外販
社員に対して実施していた「タニタ健康プログラム」を自治体や他企業に向けて、「医療費を適正化する」パッケージとして外販しています。

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図にもある通り、測定器を通して「はかる」→測定結果を「わかる」→問題点を見つけ出し解決するために何をすればいいのか「わかる」→課題と対策が分かり健康になるために行動を起こしていく「変わる」、というサイクルをワンストップで提供します。2020年までに「タニタ健康プログラム」は150の自治体や企業に理容されており、利用者も8万人を超えています。

③他社とのコラボレーション商品。健康を増進する食品の開発
健康データや、健康を促進するためのメニュー作りのデータをもとに、他社とのコレボレーション商品の開発にも取り組んでいます。マルコメと協業した「丸の内タニタ食堂の減塩みそ」や、森永乳牛とコラボした「タニタ食堂の100kcalデザート」などの商品を開発しています。

タニタが「健康」のブランドとして認知されていることから、健康志向のお客様に刺さる商品を作り出すことが可能となっています。


DXと経営戦略の関連性

タニタは非上場企業でありIR資料などがないため、記事等から読み取った情報をもとにお伝えしていきます。

タニタは2009年から収集と活用を続けている「健康データ」を自社で囲い込むのではなく、オープンにしていこうと考えています。タニタは2018年より、イトーキ、SBI生命保険など、同様の健康データを活用する企業とタッグを組み、新たな健康サービスを提供するプラットフォームの構築に着手しています。

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一般社団法人日本生活習慣病予防協会「パートナー企業とヘルスケア分野でオープンプラットフォーム構築―タニタヘルスリンク」より抜粋


「健康データのオープン化」の事例がもう一つあります。タニタは2020年に体脂肪率などの体組成を計測するアルゴリズムを、医療機器メーカーのエー・アンド・デイにライセンス提供しました。同社は血圧計を主体とした商品メーカーですが、提供されたアルゴリズムをもとに体組成計の新商品を開発しています。
こうした”虎の子情報”の連携はヘルスケア業界で初の試みであり、タニタとしては「体組成計測の標準化を狙う」という思いもあるそうです。

タニタはオープンなプラットフォームの開発や、他社とのコラボを積極的に進めていくことで、「健康寿命の延伸」や「医療費の抑制」に寄与していきたいと述べています。


まとめ

いかがでしたでしょうか?
タニタは測定器を製造するメーカーですが、測定器を作るだけではなく、測定器を使うニーズを「健康」と定義し、「健康を作り出す企業」としての活動を続けてきました。
測定器から得られる健康データという”ビッグデータ”を十二分に活用していくことで、「健康を作る」サービスの企業として「モノ」から「コト」への変革を成し遂げたと言えるでしょう。

以前の記事にも書きましたが、「モノ」から「コト」へ変革する場合、DXの活用なしには実現が難しいことがあります。

「モノ」から「コト」へ変革したい場合は、IT活用できそうな箇所がないかをまず考えたいところですね♪次回の記事も楽しみにしていただければと思います。
タナショー


参考にさせていただい情報
株式会社タニタHP
https://www.tanita.co.jp
株式会社タニタ「会社案内」
https://www.tanita.co.jp/cms/page/company/TANITA_Profile.pdf
タニタヘルスリンクHP
https://www.tanita-thl.co.jp
からだカルテHP
https://www.karadakarute.jp/s/
一般社団法人日本生活習慣病予防協会「パートナー企業とヘルスケア分野でオープンプラットフォーム構築―タニタヘルスリンク」
http://www.seikatsusyukanbyo.com/calendar/2018/009711.php
ITmedia エンタープライズ「会社が社員の体重管理、1フロアにゴミ箱1つ……タニタオフィスに潜入!」
https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1609/24/news006_5.html
日経XTECH「健康データは国民の財産だ 独占より共有、活用の仕組みで勝負」
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/nc/18/020600001/011400052/
日経XTECH「「虎の子」アルゴリズムを提供、体組成計の覇者を目指すタニタの狙いとは」
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/03690/
事業構想PROJECT DESIGN ONLINE「タニタが挑戦する新領域 「健康をつくる」イノベーションの力」
https://www.projectdesign.jp/201901/innovation-health/005862.php

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