見出し画像

読書メモ - 大人女性に向けた美味しい小説

こんにちは、なみなみさんです。
世間はGWに突入しましたね。
サービス業だったり、祝日の関係ない職業の方もたくさんいると思います。
楽しめる方は思いっきり楽しんで!
そうでない方は、「くそぅ…!」と思いつつ、踏ん張っていきましょう!


今回は、けっこう前に読んで書いたまま放置していた小説の感想があったので、載せてみます。
お時間ある時にでもさらっと流し見してください〜。

『婚活食堂』


山口恵以子

PHP文芸文庫

おでん屋さんに集まる女性たちの、結婚へと向かう人間模様の物語。

東京・四谷の「めぐみ食堂」の女将、恵は元・人気占い師だったが、ある出来事をキッカケに見る力を失っていた。
しかし、結婚への悩みを抱える常連客と接するうちに、"男女の縁" が見えるようになってーーー。

おでんのメニューはもちろん、季節に合わせた旬の食材を使った、ほっとする居酒屋ごはんが沢山登場してどれもすごく食べたくなる!

トマトの冷やしおでんや、長芋・豚コマ・しめじの炒め物、牡蠣のカレー煮など、簡単に用意できる食材ばかりで作ってみたくなる居酒屋メニュー!巻末にレシピもたっぷり載っています♪
この時期だと、シラス入りのだし巻き卵と、タケノコとアサリのバター炒めが美味しそう。

そんな美味しい居酒屋メシがまた効果的に働いて、お客さんたちが自然と心をひらいていって、進んでいく物語構成が見事です。


職場や、家の中でさえ虚勢を張っている人たちも、居酒屋でお酒を呑んで、美味しい酒の肴をつまみながら語らう時間には、固く閉じ込めていた悩みの蓋が開いたり、他人の話を聞きながら思い切った自分の本心に気づいたりするものなのかも、なんて思ったり。


カウンター席しかない、こじんまりとしたおでん屋さんのあたたかな香りに包まれているような物語たち。


めぐみ食堂に集まる常連客たちの結婚は、誰からも応援されるような "綺麗で完璧な結婚" ばかりではありません。
私はまだ結婚をしていないから、偉そうなことは言えないけれど、幸せなだけの夢物語みたいな、少女漫画やロマン映画のような結婚はないというのは分かります。
だから、良い面からじゃなく、逆に悪い面から先に見せていくのがすごくリアルだなと感じました。

他人からは「えっ」と思われるような年齢差や収入、子持ちやバツがついていたり。
年を経れば経るほど色々な経験をしてきているのは当然だし、若くても、歳をとっても、完璧な人間なんていません。
自分にだって、ダメな部分はたくさんある。
そこも含めて許せるような魅力を感じられる人となら、誰になんと言われようと、それはとても幸せな結婚なんだなと思いました。

自分が楽できる条件の良い人と結婚するだけが幸せじゃない。例えば、何不自由ない生活をさせてくれる人よりも、苦労してでも支えたい相手にこそ魅力を感じる人もいる。

(だからって、振り回される相手という訳ではなく、自分の幸せを思って身を引いてくれるような、自分のことよりも相手を想える人・苦労する価値のある人を登場人物の1人である千波さんは選んでいました。)

その人なりに結婚相手に求めているものは違うし、それでいいんだな、なんて、色々と考えさせられました。


20代〜50代など年齢や境遇も様々な女性たち(男性も登場しますが女性が姦しく喋ってるシーンが多いイメージ)が、おでんとお酒を片手にペチャクチャと愚痴ったり悩んだりワイワイやっている様子は目に見えるようで、23時台のドラマっぽいな。ぜひ映像で観たいな、と感じました。


『あやかし和菓子処かのこ庵』


高橋由太

角川文庫

見習い和菓子職人・安崎かの子、22歳。
リストラ直後にひったくりに遭ったのを救ってくれたのは、着物姿の美男子・御堂朔。

彼に連れて行かれたのは、東京の下町にある神社の境内に建つ和菓子処「かのこ庵」。
ここは、なんと亡き祖父が朔に借金をして構えた店だという。

「店で働けば借金をチャラにする」

そう言われたかの子だが、そこはあやかし専門の不思議な和菓子屋だった!
しかもお客様は猫に化けてやってきてーーー!?


「和菓子 × にゃんこ × イケメン」

どれかが好きな人にはぜひオススメしたい小説です!

等身大の明るい主人公に、イケメンクール男子、そして "くろまる" と "しぐれ" という可愛くて騒がしい仲間たち。
扱うテーマは病気や死という少し重ためなものなのに、枠組みはラノベチックで、テンポ良く読めます。

和菓子のもつ優しいイメージもまたこの小説を包み込んでいるよう。

半人前のかの子が、悩みながらも、食べる人のことを考えて作る和菓子は、その人の心を優しくほどいていきます。



(※ここから少しネタバレあります。)

また、かの子には、嘘をついている人の語尾が「ニャ」という猫語に聞こえるという特殊な能力があります。

これもまた可愛くて、想像するとふふっと笑ってしまいます。

実際に人の嘘が分かってしまったら、すごく気が滅入りそうですが。
猫語だったら、嘘を言ってる人も可愛らしく思えてきそうで、すごく優しい嘘の見え方だなぁと思いました。


優しく紡がれていく物語。
ページ数も少なめで、本当に気軽に読めるので、ふだん読書をしない方にも、ぜひ読んでみてほしいなと思える一冊です。



以上、美味しい2冊でした。
GWに時間のある方や、結婚について考えてみたい方、ほっこり優しい物語に癒されたい方はぜひ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?