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写ルンです使うならフラッシュ焚いてくれ!!!

と、仕事してて5万回思うようになったからnoteにする。


今、某家電屋にて、『写真現像のラボ』として仕事をしている。
ある程度簡単な内容しか出来ない(ある程度以上のものは外注)とはいえ、それなりに色々やることはあるし、デジタルプリントだけでなくネガフィルムの現像なども預かるので、ひとつひとつ丁寧に気遣いをしていく必要がある、そういう部署だ。

で、仕事として特に多く来るのが『ネガフィルムの現像をして、スキャンして、スマホにデータ転送できるようにする』もの。ネガフィルム単品で持ち込む方も一定数いるけれど、うちの店では『レンズ付きフィルム』、特に『写ルンです』での持ち込みが圧倒的に多い。
現在市場に出回ってるレンズ付きフィルム、圧倒的に写ルンですが多いから、それはまぁそうだろうなって感じ。なので、今回は正確には『写ルンです以外のレンズ付きフィルムを使用する皆様も含むし、もっと正確に言えばネガフィルム全般を扱う皆様』に言いたいことではあるのだけれど、多分その中でもこれを伝えたい相手の9割は『写ルンです使用者』ではないかと思うので、今回の記事においてのみ『写ルンです』という商標登録で呼称を統一させていただこうと思う。コダックもロモグラフィーも、みんなそれぞれ良いメーカーだよ。

さて、えーと。そもそも、『写ルンです』の仕組みをよく知らないまま使ってる人が多いんじゃなかろうか。
あれは実は、割ると中から『ネガフィルム』が出てくる。外側は単に『感光しないようにしっかり守ってるケース』みたいなものだ。ドシンプル。
(※現像前に分解することはメーカーからは推奨されていません。調べたら分解してみた動画とかいくらでも出てくるから、興味がある人はそういうのを見ると良いかと)

めちゃくちゃざっくりで図解するとこう


で、撮る時は『フィルムを巻く』『フラッシュのオン/オフをチェック』『シャッターを押す』これしかやることがない。「誰でも簡単にできる」とも言えるし、「細かい設定がしたくても、何もできない」とも言える。
で、もっかい書くけどこいつの作りは死ぬほどシンプルだ。内部に頭の良いチップが入っていて自動的にピント調整をしてくれるとか、逆光でもHDR機能が働いていい感じに明るくしてくれるとか、そういうものは一切ない。レンズの横に多少基盤的なものが埋め込まれているけれど、昨今デジカメなら当たり前についている手振れ補正すらない。あってたまるか。

……なんだけど、多分昨今「なんかノスタルジックに、イイ感じに撮れるって聞いた♥」から興味を持ってくださってる(特に若者中心での)お客様方は、なんとなーくそういうことをカメラが勝手に調整してくれると思ってるんじゃねぇかな~~~という気がするのだ。そんでこれは、ひとえにスマホカメラに慣れすぎた現代の若者がゆえではという気がする。『カメラ』なんだからある程度の機能はあって当然だと疑いもしてないというか。
ないよ。ごめん、ない。というか『レンズ付きフィルム』なんだってこいつは。メーカー的には、カメラですらない。『写真を写せるフイルム』っていう、そんだけなのだ。
あぁいや、それくらいの気軽さで写ルンですユーザーになってくれるのは全然いい。カメラなんて気軽に楽しんでなんぼだから、別に「カメラの構え方はこうで!しっかり脇を締めて腰を落として!!」とかごちゃごちゃ言う気はない。「うわー暗いww全然うまく撮れねぇwww」って笑ってもらえるのもフィルムならではの楽しみだと思うし、別にユーザーがそれで満足してくれればそれ自体は本当に全然構わない。

ただ、本当に満足してくれてるかこれ……?というだけの話だ。

だって、『1回きりの思い出』に使ってる人がめちゃめちゃ多いんだもん。
結婚式とか。なんか学生の部活の大会みたいので、優勝しましたーとか。どんな思い出だってそれはその時のみに違いないんだけど、それにしたってちょっとやり直しできない度が強すぎるものが結構ある。で、そういう写真に限って、暗い室内なのに全然フラッシュ焚いてくれてなくて真っ暗パターンが、まぁ多い。ほんと多い。行程上こちらは写真チェックさせて頂く必要があるんだけど、「も……もったいねえぇぇぇえぇフラッシュ焚けマジで!!!!!!!」って頭を抱えてしまう写真が、残念ながらものすごく多いのだ。そんなことで「やっぱりネガフィルムって難しいからもうやめとこ……」って顧客離れされても困る。待って待って、フィルムカメラ自体はほんとに楽しいから、ちょっと待って。
うーんどうなんだろうなー、流石に昨今のイベントならちゃんとしたカメラなりスマホなりでの撮影をした上で並行して撮ってるだけだと信じたいけどな……結婚式は流石にプロカメラマンが付いてるだろうけど……あっでも学生のイベント系だとスマホ持ち込みダメとかそういうのもあるんかな……そんなところまで後追いは出来ないので、「別の人が無事なデータを持ってくれてますように……」と祈りつつ、こちらは少しでも見やすくスキャンしようと、なんとか明るさや色味の調整を入れたりして奮闘する日々である。
でもなー、別の人が撮った写真と自分が撮った写真って、やっぱりそれぞれ違うんだよなぁ……。

(余談だけれど、私はスキャン時に多少色味の調整も入れて、少しでも綺麗にデータ化するように習った。ただ、富士フイルムの公式HPによれば「ノスタルジックな雰囲気の、あの感じが良いという顧客が多い」との話だ。どの程度色の補正を入れて良いものか、まだちょっと悩ましい……元の雰囲気も大切にはしてるつもりだけど……本当に自信がある人は『色の補正なしで』とか指定して出してください、よろしくどうぞ)


まぁ、ネガフィルムは最終的にネガシートに入れる為にカットしなきゃいけないので、あまりにも暗い写真ばかりだとカット位置がわからなくて困るっていう問題もあるんだけど。それについてはまぁ、最悪長巻き(カットしない形)でお返しすればいいだけなので、まぁ良いのだ。
それより「えっ、お客さん本体2000円くらい+現像やらデータ化やらで+1000円前後の合計3000円くらい払って、得られる写真引くほど暗いですけど……?!!???」って勝手にオロオロしてしまう方が心が痛い。うぅ、ほんともったいない。あとこれは別にその人の自由だけど、案外「27枚撮りだけどうち18枚くらいしか撮ってない」の人もいたりする。せ、石油王の遊び……???
ちなみに、なぜか『鏡に向かって撮る(自撮り)』と『お部屋のペットに向けて撮る』時にフラッシュ焚いてる人も一定数いる。そっちはフラッシュ焚かないでくれ頼む。自撮りはさておき、動物に向けてフラッシュはほんとやめてあげてほしい。

あ、「フラッシュ焚くと、真っ白に飛ぶからやだ」みたいな印象が強いのかなぁ。それもねー、まぁわかるんだけどね(なので私は一眼レフ使いまくってた頃、外付けストロボでフラッシュの角度変えてバウンス撮影できるのがマジで楽しかった)。
でも多分皆さんが想像される50倍くらい暗い写真になってるんよ。遮光1級のカーテン引いた中で撮ってるんか?みたいな写真とかさぁ……本当に……本当にそれでえぇのん……?
いやほんとあの、良いなら……良いんですが……。

↑こちらのサイトを参考にする限り、『日中屋外で1.5メートル位の場所から撮るのがベスト』『飲食店の暗さとかは厳しいぜ』なのよね。
あぁうん、そんな感じ。仕上がってる写真を拝見する限り、やっぱり晴れた日の屋外とかはイイ感じの写真が多い。そういうもんなんだよなぁ、レンズ付きフィルム。


それこそ同じ『ネガフィルム』でも『レンズの絞り値などが調整できるカメラ』であれば、フラッシュなしでもしっかり綺麗な写真にすることも出来るかもしれない。だが、写ルンですにはそれができない。お客様の撮影の腕がどうこうとかでなく、単純に機能としてそれがないからどうしようもないのだ。

だから、私はここに書く。必要な誰かに届くことを祈って。
頼むからある程度暗めの室内、フラッシュ焚いてくれ~!!!!!(※フラッシュOKな環境のみ)

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