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根気より呑気でたのしむ外国語

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英語をはじめ、外国語のもつ “おかしさ”、“たのしさ”、“おもしろさ” について、のんびり気楽に書き留めていく。雑考。
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2020年10月の記事一覧

#91. 理不尽を理不尽と思わないネイティヴ

#91. 理不尽を理不尽と思わないネイティヴ

大学時代、台湾から来た留学生と話しているとき「日本語はあまりとくくない」と言われ、一瞬困惑したことがある。

「 ...... と、とくく?(なんじゃそら)」

じつは、彼が言おうとしたのは「得意じゃない」で、外国人の日本語に慣れている人なら、彼がそう間違えた理由も、だいたい見当がつくと思う。

たぶん、日本語を勉強している多くの外国人は、「とくい」を形容詞だと考えている。

・たかい ⇒ たかく

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#90. 誕生日には、毎年この言葉がよぎる

#90. 誕生日には、毎年この言葉がよぎる

じつは今日、誕生日を迎えた。92 年に生まれたぼくは、とうとう28 歳になった。

こういう日は、たいていの人が家族や恋人、友人からのお祝いメッセージをもらい、あさ起きてから夜ねむるまで、幸せな気持ちを噛みしめるだろう。

もちろんぼくも、国内外からお祝いのメッセージをもらい、いつになく幸せな気持ちである。



しかし、毎年この日が来るたび、頭にフッと浮かんでは、ぼくの肝を恐怖で冷やす言葉があ

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#89. 今日の夜ごはんに「ブリナー」はいかが?

#89. 今日の夜ごはんに「ブリナー」はいかが?

あまり信じてもらえないのだが、ぼくは朝ごはんは絶対食べないし、なんならお昼も食べないときがある。

夜こそしっかり食べるけれども、それ以外は別に必要性を感じない。

「よく生きていけますね」と言われたときは、「日中は光合成をしているので」と真顔で答えて相手の顔を引きつらせるのがルーティンである。



最近は日本語としても浸透しているが、英語で「朝とお昼の間に食べる食事」を brunch(ブラン

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#88. 腹が減っても、優しくはできる

#88. 腹が減っても、優しくはできる

つい最近、久々に友だちと外食をしたが、入ったピザ屋の店員が着ていた T シャツの背中に "Are you hangry?" と書いてあった。

もちろんこれは、制作者による hungry のスペルミスだろうが、実は hangry という単語自体は、近年使われはじめたスラングとして存在する。

2018 年には、英語辞典における最大の権威である Oxford English Dictionary に

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#86. 信じることは、愛することか

#86. 信じることは、愛することか

「信じる」の believe と「愛する」の love は、語源の上でつながっている。



現代英語の believe は、むかしの英語(古英語)では belyfan などとつづられており、これをさらに(英語やドイツ語などの祖先である)ゲルマン祖語までさかのぼっていくと、もともとは *ga-laubjan という単語が大元であるとされている。

この *ga-laubjan は、(ユーラシア大

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