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『大統領選という名の祭-1: It's the economy, stupid! 』

政治はつまらん。

そう感じる日本人は多い。ですがねー、政治知らないと損しますよー。自分がこれから生きていく社会がどっちに向かってるの?とわからないまま小舟を漕いでもくるくる渦に巻かれるだけでっせ。

そしてアメリカ大統領選。これは楽しい。まじ面白い。私は居住権はあっても市民権(国民)はないので端から見てるだけですが、はっきりいって祭りです、これ。もちろん多くの方は真剣なんですけどね。でもその熱意や盛り上がり方は祭りレベル!

海外旅行に行き、そこでしか食べられないもの、見られないものなど現地文化に触れるのは楽しい、でしょ?それと同じで、大統領選もアメリカの歴史や文化がこれでもかと見れて面白いんです!

なので、英語表現とともに大統領選について熱く書きま~す!

<青か、赤か、はたまた紫か?>

アメリカは二大政党です。
共和党(The Republican Party/The GOP: Grand Old Party)の現職大統領ドナルド・トランプと民主党(The Democratic Party)のジョー・バイデンが票を競ってます。(実はそれ以外にも数名独立派の立候補者がいますが、相手にされてない。その一人がラッパーのカニエ・ウエストです。政党名はバースデー・パーティ。はっきり言って色モノですな。なのになぜかイーロン・マスクが支持すると表明・・・どゆこと???ま、ほっとこ。)

民主党のテーマカラーは青、共和党のテーマカラーは赤です。従来どちらの党が強いかはだいたい州によって決まってます。

まずはBlue States!

大都市を多く抱える太平洋岸沿いの西部州と大西洋岸沿いの東部州のほとんどは民主党よりで、Blue Statesと呼ばれます。先進的、リベラルな文化の州ね。

大きな政府(積極的な政府政策、福祉重視)、銃の規制賛成、中絶違法化反対、環境保護賛成。

支持層は、都会に住む人、高学歴、女性や非白人のマイノリティ、低所得層。学歴が高かったり、移民であったりすると多様性を積極的に受け入れるようになるのでリベラルになり、また低所得ですと福祉政策に頼るためでしょうね。

フェイスブック社、ツイッター社などがあるカリフォルニア州はリベラルな人が多く、保守派のトランプが嫌い。当初、フェイスブックやツイート社は、トランプが事実無根であったり、差別的な発言をSNSで流すことに一切規制をかけておらず、それを苦々しく思った社員はマイク・ザッカーバーグCEOジャック・ドーシーCEOを批判して業務ボイコットをしたりしてました。GAFAでは共和党支持だと肩身が狭いらしい~。

また、真っ先にコロナで医療崩壊の危機に立ったNY州のアンドリュー・クオモ知事も激しくトランプの感染対策を批判しました。クオモ知事は、感染がわーっと広まった今春、毎日TVで感染報告をしており、そのリーダーシップにしびれる人続出。彼こそ大統領に立候補すればいいのに、と言われるぐらい人気急上昇でした。(ちなみに彼の弟はリベラルな放送局CNNのキャスター、クリス・クオモです。彼は、どちらが母親を思いかを語りり、兄クオモの若き日のベルボトムファッション写真を暴露して、CNNで兄弟げんかしてました。イタリア系なので、ママ命なのね・・・。)


次にRed States!

西部・東部の沿岸州Blue Statesにサンドイッチされた内陸部の中部や南部州は共和党寄りが多く、Red Statesと呼ばれます。伝統的、保守的な文化の州ね。

小さな政府(規制緩和)、銃規制反対、中絶違法化賛成、環境保護より経済発展重視。

コアな支持層は、田舎に住む人(農家)、白人男性、キリスト教徒、軍人さんなど。

特にアラバマ、ミシシッピー、ルイジアナなどメキシコ湾に近い南部の州10州強はBible Belt(聖書地帯)と呼ばれ、熱心なキリスト教徒が多くいて、トランプを支援しています。キリスト教徒にとっては大事なことなので、大統領候補者はどこの宗派所属かを公開しています。


さらにはPurple States!

選挙によってはどちらにも転ぶ可能性のあるふらふらした州はSwing States、赤と青を混ぜた色のPurple Statesと呼ばれます。

五大湖州周辺の州はRust Belt(錆ついた地帯)と呼ばれ、2016年には、ミシガン、ペンシルバニア、ウィスコンシン州などのSwing Statesをトランプは獲得して勝ちました。これらの州は伝統的に製造業が強かったのに、海外に仕事が流出して衰退しつつありました。そこでのトランプの殺し文句はMake America Great Again (MAGA)。再びアメリカに仕事を取り戻して偉大な国にしてあげるよ、と訴えたわけです。今でも彼やそのファンはMAGA Hatと呼ばれる赤い野球帽をよくかぶっています。(誰が買うん〜?ですが、日本のアマゾンでも買えるよ!


<人気があれば良いってわけじゃないのよね>

大統領選は比例代表制ではなく、州ごとの勝者総取りです。各州には人口に沿って選挙人団(electoral college)がいます。人口が最大のカリフォルニア州は55人、少ないワイオミング州は3人で、州民の代表としてその州で一番票を獲得した大統領候補者を選出します。なので、単純な総投票数つまり人気投票(Popular Vote)ではなく、選挙人投票(Electoral Vote)をいくつ獲得できるかが大切!

過去、人気投票で勝っても、選挙人投票で負けて大統領になりそこねた候補者が5人いますが、近年の例では2000年のアル・ゴア(ジョージ・W・ブッシュに負け)、2016年のヒラリー・クリントン(トランプに負け)がいます。

根っからのRed States/Blue Statesは、それほど選挙活動しなくても結果は変わりません。毎回必ず同じ党が勝つからです。なので、勝敗を握るSwing Statesが激戦州(Battleground states)となります。今年一番の激戦州はペンシルバニア州(20票)、フロリダ州(28票)あたりです。

ではみんな何を決め手に候補者を選ぶのか?

例えば私と似た経歴の人、つまり日本育ちの日本人でアメリカに移ってきた人の場合は、人種的にはマイノリティーで、銃規制には大賛成、中絶違法化には違和感があるし、国民皆保険にして福祉は充実すべきと思う。だから民主党ってところでしょうか。

ってホント?そう型にハマって人は投票するかな?実のところ、みんな何が決め手で選んでる?

“It's the economy, stupid!"

これ、ビル・クリントン陣営が1992年の大統領選で使った有名なフレーズです。(経済こそが重要なのだ、愚か者!)争点がいくつもあっても、景気を良くしてくれる候補者、減税してくれる候補者を結局は選ぶというわけです。そのため、いろいろとお騒がせをやらかしちゃっていたにもかかわらず、景気が良かった去年まではトランプの再選確実と言われてました。

ですが、コロナ対策で躓き景気を悪化させてしまったため、トランプの旗色が一気に悪くなったわけです。また、今年は"It's the coronavirus, stupid!"というフレーズも聞きます。トランプに対する一番の批判はコロナ対策のまずさだからです。

激戦区となっているフロリダは、温暖な気候を好んでやってくるジジババを受けいれるリタイアメントコミュニティが多くあります。65歳以上の高齢者率は全米トップで17%ほど。フロリダ州は大票田の州であり激戦区ですが、2016年はトランプ支持者を指示した高齢者も、感染に弱い年齢層というわけで、今年はバイデン寄りになっています。

とはいえ、私はコロナも結局はIt's the economy, stupid!のように思えます。もちろん高齢者は身近に亡くなった方も多く、景気よりも感染症対策を重視しているでしょうが、労働者人口の多くが雇用や景気の心配をしているはず。

両候補のどちらが有利か、いろんな機関が日々勝率を出してます。このように「誰に投票するつもりですか?」と世論調査(Poll)をして予測を出すサイトをPoll websiteと呼びますが、有名なのはFiveThirtyEight(538)やRealClearPoliticsあたり。大統領選だけではなく、同時に行われる州議員選の勝率も表示しています。特に538サイトはイラストを多用していてわかりやすい。538の10/14時点の予測では、バイデンの勝率が86%でした。(貼り付けたイラストは538のサイトから転用しています。)

Pollをとって予測計算をする専門家や機関をPollsterと呼びます。あいにくと2016年には、ほとんどのPollsterが予測を外しました。ヒラリー勝利と言っていたのに、蓋を開けたらトランプでどびっくり、目が点。じゃあ、今年はどうなるの?今回の予測は当たるのか外れるのか?

興味はつきない!ワクワクドキドキはしばらく続きますー!

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