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大学教員・研究者になるには

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卒業研究・修論研究を経て研究者になろうと考えている方々向けの記事を集めていきます。大学教員・企業研究者など。
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#大学院

第5章 「好きなことを仕事に」上級編−アカデミックポストを獲得する(1)大学院に進学して修士論文・博士論文を書く

これまで、大学教員を目指す上で役立つ勉強法について説明してきました。 ここからは、大学教員になるための具体的テクニックのお話しを進めたいと思います。 大学教員になるための資格というものは、実はありません。「日本植物学の父」と呼ばれ、『日本植物図鑑』など数多くの業績を残した牧野富太郎(1862-1957)は高知県に生まれ、1912年から1939年まで東京帝国大学の講師を務めます。 その間、1927年に東京帝国大学(現在の東京大学)で理学博士の学位を得ています。博士論文は『

大学教員目線の学士・修士・博士の違い ~工学系の場合~

これから大学入試を控えている高校生や,入学したての大学生にとっては,学士・修士・博士という言葉は馴染みがないものだと思う。 また,大学院進学を目指している学部生にとっても,「実際,大学院ってどんなところなのか」イメージしづらい人は多いと思う。 今回は国立大学の工学系において,それぞれにどういった特徴と違いがあるのか大学教員の視点から整理したい。 はじめに最初に,基本的な大学と大学院の構造から。 まず,一般的な4年制の大学を卒業すると,学士と呼ばれる学位が与えられる。

まだ大学院行かずに消耗してるの?

博士課程の中間報告がひと段落してヒャッハー!!!って気分なので、noteを書く。 (明日も実習だけど気にしない。) 今日の大学教員は、悲しいかな、真面目に働けば働くほど大学業務に追われ、研究からどんどん遠のいていく・・・。 しかしながら、過去記事でも述べたが、研究業績がものを言うのが大学という組織なのである。 じゃあいつ研究するの?今でしょ!わかっちゃいるけど、目の前の山積みのタスクを優先し、研究までたどり着けない。 みなさんは「時間管理の4領域」をご存じだろうか?

大学教員採用への道 〜1戦目〜

こんにちは。 Akita(あきた)です。 今回、大学教員になるための経験を記事にしていきたいと思います。 このトピックスにどれほどのニーズがあるかわからないので、興味のある方、この情報を多く知りたい方はコメント等をもらえるとありがたいです。 まず、私の簡単な経歴を記載しておきます。 ーーーーーーーーー 現在、医療系学部の教員4年目(任期付き助教)です。 大学院卒業後、多くの教員採用にチャレンジをしてきました。 結果的に、現在の大学のポストに落ち着くことになりましたが、現

【生々しい話】大学教員になれるか、なれないかー両者を比較ー

大学・研究業界の生々しい話、現実について綴ります。大学教員を目指して奮闘中の公募戦士にはなんとしても戦線を勝ち抜いていただきたく、研究者としての一歩を踏み出した院生の皆さんにはやがて直面する現実への備えをしていただきたく、研究者を志す学部生・中高生には覚悟を固めるために現実をお見せしたく、錯綜する気持ちを正直に本稿に込めます。自分の体験談と、身近にいた(いる)方のかなり生々しいお話しです。 モチベーションを是非上げていただきたく、今回は大学教員に「なれた」後の話から始めます

研究をしたい理由(2022年版)

今年も『研究をしたい理由』を書いてみたいと思う。三月ぐらいにそういえば書いていないなと思ったが、さらにそこから1ヶ月ぐらい経ってしまった。これが(おそらく)博士課程最後の『研究をしたい理由』シリーズである。 2019〜2021年の振り返り今博士課程の終わりにおいて、過去三年の『研究をしたい理由』を読むと、理由がないことにとらわれてあれこれ苦悩している過去の自分が見える。なんだかんだ科学論の話を持ち出して理由みたいなものを書いてみたり、最後の方は徐々に「そもそも理由などいるの

【学部生向け】研究者を目指す方へ

本記事は、研究者を志す主に大学1~4年生に向けたものです。人生の10歳ほど先輩からの小うるさいメッセージとしてお読み流しください。 私自身、研究者として身を立てようとぼんやり思ったのは大学4年生の頃、より現実的に考え出したのはM1の頃でした。今覚えば、大学1~3年ともったいない時間の使い方をしてしまったと後悔しています。 「研究者になりたい」という志を持つのは、早ければ早いほどいい。研究者は自身の専攻に特化したスペシャリストであると思われがちですが、浅く果てしなく幅広い知

学部・修士・博士における「研究」の違いから見た博士に進学する理由と注意点

あくまで個人の見解ですけど、落ちこぼれ博士だった私の中ではこんな感じ。 前置きまず、ざっくりだけど、情報系の研究は以下のような作業から成り立っている。実験系だと、装置の使い方なども入ってくると思うが、情報系で必要となるプログラミングは学部1〜2年で学んでいるのでスキップ。 知識獲得:文献調査を通じて、過去にどんな研究がなされていたのかを網羅的に調べる。特に最新の動向を把握していないと、最後に学術的価値のない研究だね、と言われてしまう確率が高くなる。 課題発見:1で広く文

大学教員への道:研究室の選び方

大学教員になるためには何をすればいいのでしょうか?今回は選択をする上でのポイントについて記事を書きたいと思います。 大学院に行って卒業すれば大学の先生になれる?! 「大学教員 なるには」と検索したところ、次のような検索結果が….。”大学教員になるには大学院に進学し、博士の学位を取得します”うーん。確かにそうなんだけど。間違ってはいないんだけど。これだけでは情報が少なすぎます。博士の学位をもっているからといって必ずポストが得られるとも限りません。もちろん学位をもっていることは

コラム#6. 博士号の取りやすさ(課程博士・ラボ選び)

 課程博士を無事に所定年数(修士課程を除いて通常3年)で終えられるかは、本人の能力もさることながら、学術論文必要数とラボのアクティビティーに大きく依存すると言えます。  規定年数を1年くらいなら超過してしまっても良いという方は、ざっと見積もっても400万円から1億円の損失を許容するという意味であることを理解してください。 ### 1年の損失の内訳・働くのが1年遅くなる(入るはずだった1年の年収が入らず、退職金が減る。)・希望職種に就職できる可能性が50%程度減少、生涯年収

大学院進学と指導教員

大学院生の最強の味方は指導教員である。しかし,皮肉なことに,指導教員が最大の敵になることも,ままある。「馬鹿な大将,敵より怖い」と言うではないか。 このコラムを読めば,指導教員を選ぶ,という視座が,大学院進学において極めて重要であることがわかるはずである。これから大学院(特に筆者が想定するのはいわゆる人文系と呼ばれる分野の大学院)に進学しようと考えている者にぜひ読んで欲しい。また,自身が誰かの指導教員であるという研究者も,自問自答しながら読んでみて欲しい。 なお,私自身は

(就活)研究職を目指す学生へ

 お越しいただきありがとうございます。カルフです。地方 of 地方の国立大学博士課程を修了し、現在は化学メーカーで研究をしています。例年通り、11月から大手化学メーカーの博士枠の採用が始まりましたね。D2の方は早めに動き出しましょう(私は2月末から動き始め、博士枠の採用が終わっていたので、かなり焦りました(笑))。入社して半年以上が経ち、企業での研究にも少し慣れてきました。それに伴って就活をしていた頃に抱いていた企業研究者像と実際のそれとのギャップがくっきりとしてきたところで

研究職のメリット

 お越しいただきありがとうございます。カルフです。地方国立大の博士課程を修了し、現在は大手化学メーカーで研究開発をしています。企業の研究者として半年を過ごし、「やはり研究職っていいな~」と感じることがありましたので、そう思えた「研究職のメリット」についてご紹介しようと思います。「研究職って結局どうなん?」と思っている学生の方の参考になれば幸いです。内容を挙げると、 ・夜勤が無い ・有休を取りやすい ・フレックスで働ける ・ヤバい上司が少ない ・業務で意外と体を動かせる ・好