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大学教員・研究者になるには

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卒業研究・修論研究を経て研究者になろうと考えている方々向けの記事を集めていきます。大学教員・企業研究者など。
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#研究

研究者を目指している方のために(1)

はじめに  学会シーズン終盤になりましたね。学会発表を行った方は、研究論文を執筆するべきか考えているのではないでしょうか。本日は、研究者の立場から研究者について私見を述べていきます。 研究者になるための準備  研究者になるためには、どの様な準備が必要になるのでしょうか?例えば、自動車の運転ができる様になるために教習所に通い、試験を受けて、運転免許証を取得します。同様に研究者になるために、練習、試験、修了といった過程が必要になります。研究者になるための練習・試験・修了と

大学教員になりたい人へ Vol.2 ー日本学術振興会特別研究員に採用されると有利になる?ー

今回は大学教員になりたい人への第2弾になります。第1弾についてはこちらから確認してください。 さて、今回は大学教員になりたい人は日本学術振興会特別研究員になることを目指すべきかどうかという話です。ご存じの方には日本学術振興会特別研究員という長い名称よりも学振という略称の方が馴染みが深いと思います。 よく院生に聞かれるのは「学振になった方が就職に有利なのでしょうか?」という問いです。過去に私も学振だったことがあるので色々と聞かれることも多いのでしょう。今回はこの問いに対する私

大学教員になりたい人へ Vol.1

みなさん、こんにちは。小辻寿規です。 大学で授業を担当するようになって約10年が経過しました。気づけば若手教員とはいえないような年齢になってきました。 この間、後輩や色々な場所で知り合った方から大学教員になりたいのですがどうすれば良いのか?とよく聞かれます。 正直言って個人的には関西弁でいう「知らんがな」の領域です。それぞれ分野も違うし「こうすればなれますよ。」なんて言ってもなれないこともある。責任なんて私は持てません。 とはいえ、どうしたらなれるのかという話はあまり有名なも

コロナ禍での博士課程と研究者への道

僕は 2016年4月(当時31歳)に当時勤めていた会社を退職して、東京大学の数理科学研究科の修士課程に進学しました。その6年後の 2022年3月に 数理科学の博士号 を取得しました。 2022年4月から理化学研究所の基礎科学特別研究員として 数学の研究者 をやっています。 この記事では、コロナ禍と共にあった博士課程の後半2年間と、その後の駆け出しの研究者としての日々を振り返ります。 大学院への進学を考えている社会人 や 先々のキャリアについて考えている学生 にとって参考

研究者として必要な7つの心構え

今日は、研究者として必要な心構えについてご紹介します! ■研究者ってどんなことをするの? 世の中にある課題を解決するために、研究し新たな発見をして論文を世の中に出すのが研究者です!!! このために必要になる心構えを紹介します! ■①常に勉強 世の中の状況は、常に変化します。そのため、常に勉強をし続けアップデートし続ける必要があります。私の通っている大学の先生も土曜日も大学にくるのが当たり前といった感じです。 ■②グローバルな視点 海外の論文を読んだり、国際学会で

大学教員という職の魅力

大学の先生方が、仕事量、学生の質、研究に関する愚痴を語っている記事をよく見かける。納得する部分も、しかねる部分もある。 私は、この職について、もちろん不満なところもないわけではないが概ね満足している。 本記事では、私が感じている大学教員という職の魅力について綴る。 第一に、自分のしたいこと、思い描いていることを、実際に形にできる点だ。研究・教育に関わる中で、既存の価値観や授業の仕方等に対して疑問や物足らなさを感じることが多々ある。それらは、深く突き詰めていくことで新しい研究

研究者としてのキャリアを総合的に考える: 知っておくべきこと

アカデミアでのキャリアは簡単ではありません。自分の研究だけでなく、一緒に働く人たちにも気を配らなければなりません。しかし、すべての研究者がアカデミアに向いているわけではありません。研究者が自分の仕事に情熱を持てないこともあるでしょう。そうなると、憧れの職業であるにもかかわらず、アカデミアを敬遠してしまうかもしれません。もしあなたが研究者で、大学でのキャリアを考えていたら、この記事を読んでみてください。アカデミアで研究を続けることの利点や課題、研究者としてアカデミアで成功するた

日本語で論文を書くというジレンマ

 今回は私のお話をしたいと思います。私は現在、研究を日本語で発表するか、英語で発表するかのジレンマに悩まされています。理系研究者だったときには悩まなかった問題に、教育研究者になってから直面しました。日本の学校教育に関する研究を、日本語で発表したほうが日本人に伝わりやすいのに、英語で発表したほうが研究が受け継がれていきやすいという矛盾があるのです。 研究とは情報の共有 私の研究とは、私だけのものではなく、同時代、そして未来の多くの人々に知的な貢献をするために行われています。こ

【未来の進路】 教育系の独立研究者になる方法を模索する

はじめに博士課程院試の一次選考の結果が発表された。一次選考は書類審査だが、合格していた。面接は、来月の上旬にある。このまま僕が博士課程に行けるのかどうかはわからないが、これからの進路を最近、よく考えている。今日はそんな僕が考える進路の1つ「独立研究者」という進路について考えていきたい。 ①独立研究者とは何か独立研究者というのは、研究者だけれど、大学・国・企業などの研究機関に属していない研究者のことを言うらしい。なるほど、そういう「研究機関」から「独立」しているから「独立研究

第5章 「好きなことを仕事に」上級編−アカデミックポストを獲得する(1)大学院に進学して修士論文・博士論文を書く

これまで、大学教員を目指す上で役立つ勉強法について説明してきました。 ここからは、大学教員になるための具体的テクニックのお話しを進めたいと思います。 大学教員になるための資格というものは、実はありません。「日本植物学の父」と呼ばれ、『日本植物図鑑』など数多くの業績を残した牧野富太郎(1862-1957)は高知県に生まれ、1912年から1939年まで東京帝国大学の講師を務めます。 その間、1927年に東京帝国大学(現在の東京大学)で理学博士の学位を得ています。博士論文は『

第6章 科研費を獲得する−科研費はコンペである(2)科研費に採択されるための業績の作り方

科研費に採択される計画調書を書くために必要な項目として、「応募者の研究遂行能力及び研究環境」において「これまでの研究活動」を記入する欄があります。 「これまでの研究活動」には、研究代表者(研究分担者がいる場合は研究分担者)の研究論文リストを記載します。 ここで注意すべき点は、研究計画に関連のある論文かつなるべく新しい論文のタイトルを記載するということです。 研究分担者がいない場合は15点程度、研究分担者が2 人の場合は研究代表者7〜8点、研究分担者各3〜4点程度の研究論

大学教員目線の学士・修士・博士の違い ~工学系の場合~

これから大学入試を控えている高校生や,入学したての大学生にとっては,学士・修士・博士という言葉は馴染みがないものだと思う。 また,大学院進学を目指している学部生にとっても,「実際,大学院ってどんなところなのか」イメージしづらい人は多いと思う。 今回は国立大学の工学系において,それぞれにどういった特徴と違いがあるのか大学教員の視点から整理したい。 はじめに最初に,基本的な大学と大学院の構造から。 まず,一般的な4年制の大学を卒業すると,学士と呼ばれる学位が与えられる。

大学教員採用への道 〜1戦目〜

こんにちは。 Akita(あきた)です。 今回、大学教員になるための経験を記事にしていきたいと思います。 このトピックスにどれほどのニーズがあるかわからないので、興味のある方、この情報を多く知りたい方はコメント等をもらえるとありがたいです。 まず、私の簡単な経歴を記載しておきます。 ーーーーーーーーー 現在、医療系学部の教員4年目(任期付き助教)です。 大学院卒業後、多くの教員採用にチャレンジをしてきました。 結果的に、現在の大学のポストに落ち着くことになりましたが、現

研究・執筆・発表の基礎をしっかり学ぶ【石原尚のnote記事一覧】

大学・大学院で学んでおきたい研究・執筆・発表の方法を「基礎からしっかり」学んでいただくための解説記事の一覧です。ご卒業後の学び直しに。在学中の自学自習に。大学研究室での教育の教材に。中学・高校での探求学習の参考に。ご自由にお使いください。すべて無料で最後までお読みいただけます。 記事を気に入っていただけましたら、より網羅的かつ体系的に研究・執筆・発表の実践的な技術と学び方を解説している拙著『卒論・修論研究の攻略本』も是非ご覧ください。卒業研究や修士研究を楽して早く終わらせる