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大学教員・研究者になるには

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卒業研究・修論研究を経て研究者になろうと考えている方々向けの記事を集めていきます。大学教員・企業研究者など。
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#教育

研究者を目指している方のために(1)

はじめに  学会シーズン終盤になりましたね。学会発表を行った方は、研究論文を執筆するべきか考えているのではないでしょうか。本日は、研究者の立場から研究者について私見を述べていきます。 研究者になるための準備  研究者になるためには、どの様な準備が必要になるのでしょうか?例えば、自動車の運転ができる様になるために教習所に通い、試験を受けて、運転免許証を取得します。同様に研究者になるために、練習、試験、修了といった過程が必要になります。研究者になるための練習・試験・修了と

大学教員という職の魅力

大学の先生方が、仕事量、学生の質、研究に関する愚痴を語っている記事をよく見かける。納得する部分も、しかねる部分もある。 私は、この職について、もちろん不満なところもないわけではないが概ね満足している。 本記事では、私が感じている大学教員という職の魅力について綴る。 第一に、自分のしたいこと、思い描いていることを、実際に形にできる点だ。研究・教育に関わる中で、既存の価値観や授業の仕方等に対して疑問や物足らなさを感じることが多々ある。それらは、深く突き詰めていくことで新しい研究

日本語で論文を書くというジレンマ

 今回は私のお話をしたいと思います。私は現在、研究を日本語で発表するか、英語で発表するかのジレンマに悩まされています。理系研究者だったときには悩まなかった問題に、教育研究者になってから直面しました。日本の学校教育に関する研究を、日本語で発表したほうが日本人に伝わりやすいのに、英語で発表したほうが研究が受け継がれていきやすいという矛盾があるのです。 研究とは情報の共有 私の研究とは、私だけのものではなく、同時代、そして未来の多くの人々に知的な貢献をするために行われています。こ

大学教員目線の学士・修士・博士の違い ~工学系の場合~

これから大学入試を控えている高校生や,入学したての大学生にとっては,学士・修士・博士という言葉は馴染みがないものだと思う。 また,大学院進学を目指している学部生にとっても,「実際,大学院ってどんなところなのか」イメージしづらい人は多いと思う。 今回は国立大学の工学系において,それぞれにどういった特徴と違いがあるのか大学教員の視点から整理したい。 はじめに最初に,基本的な大学と大学院の構造から。 まず,一般的な4年制の大学を卒業すると,学士と呼ばれる学位が与えられる。

研究・執筆・発表の基礎をしっかり学ぶ【石原尚のnote記事一覧】

大学・大学院で学んでおきたい研究・執筆・発表の方法を「基礎からしっかり」学んでいただくための解説記事の一覧です。ご卒業後の学び直しに。在学中の自学自習に。大学研究室での教育の教材に。中学・高校での探求学習の参考に。ご自由にお使いください。すべて無料で最後までお読みいただけます。 記事を気に入っていただけましたら、より網羅的かつ体系的に研究・執筆・発表の実践的な技術と学び方を解説している拙著『卒論・修論研究の攻略本』も是非ご覧ください。卒業研究や修士研究を楽して早く終わらせる

「思考力は大事」と言うだけの教育者に伝えたいこと

まあ、ひとりごとだと思って聞いて(読んで)ください。 私がそう言えば誰もが頷くわけですが、しかし世の中には実際にトレーニングするコンテンツはほとんどなく、「誰かの思考の結果」だけが表現されたセミナーや書籍で溢れている。だから私は徹底的にトレーニングができるコンテンツを作り続けたいのであります。 しかしそれって(実は)とてもめんどくさい作業でして。 例えば因数分解を説明することはとても簡単なんだけど、それを身につけるための問題を考えることはまあまあパワーが要る。だからみんな

卒論指導について考える 教養と専門性と

3月も下旬となり,今年も4年生が卒業した。 毎年自問自答することだが,自分は4年生に対して約1年間かけて指導してきた結果,何を残せているのか? 卒業生の多くが研究職には就かないという現実の中,専門性の高い研究を通じて,学生に何を教育すれば良いのだろうか? 週末には4月になり,また新たな4年生が卒論生として研究室に配属される。 この変わり目に,卒論指導について改めて考えてみたい。 専門性について冒頭でも書いたが,卒論では我々教員の専門分野の研究を行う。 大学教員とし

仕事雑感#1 大学講師_今年の講義は終わり~

 ポンヌフです。様々な組織でサイエンスに関わる仕事をしています。大学生など学生さんに授業をすることは、私の数多ある仕事の中の1つです。専門的科目や、キャリアプランニングに関しての授業を担当しています。  いろいろな仕事をしていると、その職業ごとの魅力というのに気づかされます。教育というのは、なかなか難しいモノなのですが、生徒さんが目をキラキラさせながら一生懸命勉強している姿を見るのは、なかなか良いモノです。一生懸命、授業を聞いている姿っていうのは、年齢や性別に関係なく、凄く

学生指導に関するメモ

というより反面教師にするための悪口。ああはなるまいというやつ。とにかく世代の認識差をありありと感じてる。 デジタルデバイスについて講義中にスマホを触ることの何が悪なのか分からん。「授業中は教師に注目を向け、指示されていること以外はしてはならない」みたいな価値観の講師が多すぎてやばい。隣の学生に講義の質問しているだけでも怒られるんだぜ。可哀想だなと思った。 限りなく100%に近い学生がスマホを持ってる。スマホ使って自分で気になったことを調べられるなら調べればいいじゃん。当然