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横浜問題は簡単に解決しない

ビールとブラタモリを愛するひるべえが、ビールを飲みながら録画していたブラタモリ#38 横浜を見ていて、ふと横浜問題のことをまとめたくなったので、この問題の背景や経緯、現状などをまとめてみました。

他県民1&2「出身はどこですか?」
ひるべえ「横浜です」
他県民1「…(出身は?って聞かれたら県名で答えろよ! これだから横浜市民は💢)」
他県民2「…(マジでプライド高いなー。そんなに横浜が好きなら横浜から出てくんなよ😠)」

他県民1&2「どこに住んでるの?」
ひるべえ「横浜っす」
他県民1「…(まーた横浜かよ💢。神奈川には横浜しか無いのか?)」
他県民2「…(横浜ぁ~😡海や港がそんなに自慢なのかぁ!)」

首都圏で時々、話題になる「横浜(神奈川)問題」は、テレビの深夜枠でも取り上げられたりして、酒の肴にはちょうどいい話題なのかもしれません。横浜問題とは、出身地や居住地を聞かれた時に、横浜市民が県名(神奈川県)ではなく「横浜です!」と答えてしまって他県民をイラつかせるという問題を指します。数十年前にはすでに見られるようになっていて、会社内の人間関係をギクシャクさせるような影響があるとかないとか…

人口という視点で見ると、意外と無視できない影響がありそうです。総務省統計局による人口・世帯(2021/10/15時点)の人口データを使って、日本の人口を 100人(1.28億人)とした場合、横浜市民は3人(375万人)もいることになります! 横浜問題でイラつく可能性がある人は 100人中 97人です! 1都3県をとりまく様子を私の想像を元に、図で表してみました。

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ひるべえの想像による横浜問題

冒頭の会話例は、私が経験した実際にあった横浜問題です。もう十年以上も前の話になりますが、このやり取りをした後、私はプライドの高い要注意人物扱いされてしまったのか、次の日から急に仕事がしにくくなったのは、本当に悲しかったな~(後日、思ったよりいい人なんですね~、なんて言われたので理由を聞いてビックリしました 笑。横浜問題、恐るべしです)。

この横浜問題を歴史的な背景なども調べて、辿ってきたであろう経緯を想像しながら A~D の4ステップでまとめてみました。

A. 横浜は江戸中期まで超ド田舎だった

ブラタモリ #38 横浜 2016年5月14日(土)放送から、横浜市の由来となった横浜村は小さな漁村だったそうです。下の地図だと赤い点にしか見えない小さな小さな「横に伸びた砂州→横浜」が横浜村でした。そして今の横浜市の大部分は山野で、所々に畑や水田が広がっている、とてものどかな場所だったようです。

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人が集まっていたのは東海道の宿場町とかだけで、ドが何個も付く超ド田舎だったのが横浜市であり神奈川県でした。

B. 開国で横浜だけが一気にキラキラと発展

近隣の千葉埼玉も同様に山野が多い、似たような状況だったと思われますが、横浜を中心に、この様相が一変するのが江戸時代後期から始まる開国です。1859年(安政6)に横浜が開港されて海外貿易が始まると、あらゆる新しいものが横浜発信として溢れ出てくるように見えたことでしょう。

ビール🍺もこの頃に日本にやってきて、ビール製造が横浜で初期の頃から始まりました(私のビール愛はマガジン「美味しいビール、こちらにご用意しています」でご覧ください)。私はビールの歴史を勉強していて「あれ?」っと横浜問題の歴史的な背景に気がつきました。

この時からしばらく続いたであろう、新しいものが横浜から溢れ出る様子や、当たり前に何でも先取りしている鼻高々な横浜市民の態度とかが、近隣の千葉埼玉側からプライドが高く見える原因になったのかもしれません。

C.「 にわか横浜市民」が悪評をばら撒く

確かに横浜市民である事を積極的に自慢する人もいるようですが、こういう方々は「にわか横浜市民」だと思います。住めば誰でも横浜市民になれるのに、そんなの誇ってどうするんだ?と思いますけど。

横浜は正直なところ、とてもとても住みにくい町です。坂が多くて自転車は使いにくいし、狭い道がたくさんあるし、人が多い割にスーパーなどの商店も少なくて不便です。横浜に住むなら、徒歩圏内に商店街のある場所を選ぶ事がかなり重要です。また新型コロナ禍では、横浜市行政のワクチン接種対応の遅さに絶望した横浜市民も多かったはずです(日本最大の市なので仕方ないですが)。これが「横浜」ですから三日も住めば、少しは嫌気がさすのが普通では?と思います。

横浜の持つ欠点群を脇に置いて、港町のキラキラ感ばかりを自慢するのは、相当な横浜初心者ですね。下の写真はキラキラした横浜の象徴、山下公園辺りを海側から撮ったものですが、本当にキラキラしてるのは旧横浜村(現在の山下公園)周辺だけです。ここは開国の窓口でしたので、今でも素晴らしい街並みがあります。だけど横浜の広さを考えると、前述の地図にある赤い点に過ぎない狭いエリアなので、ピンポイント過ぎますね。

横浜のキラキラ自慢するヤツは遠慮なく「フフッ」と鼻で笑ってもらって問題ないですよ。すぐに「横浜」で暮らす辛さが身に染みて、黙るようになりますから。

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横浜で、キラキラしてるのは山下公園周辺だけなのでは?

D. 横浜市民の言い訳 神奈川って…なに?

対する横浜市民側にも1つの言い訳があります。それは「神奈川」の影が薄すぎる問題です。嘘だろ?と疑われるかもしれないですが、横浜市民は「神奈川」をあんまり分かってないです。

例えば、様々な行政サービスを受ける時、神奈川県庁からのお知らせが来るとか、特に記憶がありません。免許証やパスポート、学校やごみ収集とかも市区町村が主体となってサービス提供をしているように見えます。横浜に住んでいて「神奈川県」の存在感を感じることは、ほとんどありません。

神奈川県の影の薄さのもう一つの要因として、地域や文化的にも東京湾側、三浦半島、鎌倉、湘南、県央、箱根小田原、山間部といった具合に、7つの特色が強くバラバラでして、誰にとっても分かりやすい「神奈川」という統一されたイメージが存在しないのが実情です。下の図で各地の範囲と特長をまとめました。

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神奈川って、なんでこんなにバラバラなんでしょう?

県名の「神奈川」って…本当にどこかにある地名なの?という神奈川県あるあるがあります(笑)。それくらい「神奈川」の影が薄いのです。ブラタモリ #38 横浜 でも紹介されていましたが、東海道の宿場町、神奈川宿 かながわじゅく周辺(最寄り駅は京急神奈川駅で各停のみ停車)に、当時としては開国に都合の良い条件が揃っていたため、ここが開国の起点となり県名の由来にまでなったそうです。しかし今では、この街に「神奈川」っぽいシンボルや庁舎があるわけでもなく、目立たないごく普通の住宅街です。

また横浜市民の半分以上が、祖父母の代以前(3代前)は横浜に住んでいない移住者たちです。私も両親が関西から転勤してきて、私が横浜で生まれたので、移住者の一人になります。夏休みなどには祖父母のいる両親の故郷に頻繁に行っていたので2つの故郷、アナザースカイがある感じですが、その反面、横浜生まれという感覚が少し薄れます。ましてや普段から印象が非常に薄い「神奈川」生まれなどとは、何十年も生きてきて、これまで意識はできませんでした。

神奈川県民として何か誇れるシンボルが1つでもあれば、今とは違う状況だったんでしょうが。約170年前は何もないド田舎だったようですし、他県民から「神奈川県民と名乗れ!」などと言われても、まぁ本当に無理でしたね。

こういう様々な事情があって、横浜市民は「神奈川」を意識しておらず、印象が強い「横浜」という地名を、誰に対しても答えてしまうという特長ができてしまったものと考えています。学生時代とかの若い時は、行動範囲が狭くて同県民なら自然に成立するその関係性を、成人してからも他県民に向けてしまうのが、横浜市民側の問題だと思います。

そして、横浜問題はこれからも続く

AからCで横浜が他県民からやっかまれる理由を、Dで横浜市民側の問題を挙げてみました。他県民はもちろん、横浜市民にも落ち度は何もありません(例えば、千葉埼玉に住めば誰でも横浜問題の被害者になり、横浜に住めば誰でも加害者になるため)。ただ、これらの相性が最悪だった。それに尽きると思います。

どこかに悪いところがあれば、そこを是正して様子を見ればいいのですが、それができないので、これからも横浜問題は続くことでしょう。

とはいえ、横浜問題で損しかしないのは横浜市民側です。最悪な場合、冒頭の会話例にあるような、プライドが超高い要注意人物のレッテルを張られるかも?という大きなリスクがあります。「出身地は?」「横浜です」と答えただけなのに、です。

こんなにも大きなリスクが考えられますので、横浜市民が出身地を聞かれたら「神奈川生まれです」「神奈川在住です」と答えられるよう意識的に対応することをお勧めしたいです。出身地を聞かれたら県名で答える。これは日本国内で常識的な対応ですし、それに理解を示して行動に移し、周囲の理解を得るのがいいんじゃないかなと思います。

長年に渡り、無自覚とはいえ横浜市民は、千葉埼玉を始めとして他県民の方々をイラつかせてきたました。その罪滅ぼしというのも変なのですが、この歩み寄りの最初の一歩は、そろそろ横浜市民から踏み出すべきなのではないでしょうか。


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