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016. イノベーションとは、既成概念を疑うことである

GAFAがイノベーティブであり続けられるのは、ビジネスのスケールや顧客の数の凄さ、テクノロジーの強さはもちろんありますが、それ以上に「既成概念」を無視し、それを凌駕するビジネススケールを成し遂げたことにあります。



GoogleやFacebookが破壊したものは、広告ビジネスはマスとニッチの両バリはできないという概念です。

一般的に広告モデルのビジネスは、「ニッチ」と「マス」のどちらかに分かれます。

「ニッチ」は、ユーザーをセグメンテーションして、バーティカルに関連性の高いコンテンツを提供し、高い広告単価を手に入れるモデル。

「マス」は、Yahoo!などのディスプレイ広告。テレビCMと同じように、多くの顧客が行き交う場所に立てる看板のように、多くの人が集まる場所をターゲティングせずにPVをまとめて販売するモデル。

Google、Facebookは「マス」の中でも飛び抜けた「スケール」まで達成したプレイヤーであり、その中にありながらニッチな層にもターゲティングできる。彼らのビジネスが成長するのは当然なわけです。



Amazonが破壊したものは、コアコンピタンスという概念です。

ビジネススクールでも教わるような基本原則「コアコンピタンス」。自分たちの強みを認識した上でフォーカスする。日本では「選択と集中」という言葉の方が有名かもしれません。

Amazonはコアコンピタンスにフォーカスなどしません。書籍販売のECサイトから始まり、様々な商品を取り込んだ後、音楽配信、クラウドサービス、スマートフォンやタブレット、映像配信からテレビ番組や映画を作り、今や実店舗まで手がけています。

隣接領域どころか飛び地まで自社のビジネスに取り込んで、それまで自社が培ってきたテクノロジーやビッグデータを活用し、次々と成功してきました。大きな顧客データベースを活用し、金を注ぎ込み、強引にでも成功させてきました。

こんなに積極的に領域をまたいで新規事業に挑戦し続ける会社は、これまでの学説では否定され得るものでした。また、株価もコングロマリット・ディスカウントなどと言われ、市場からも評価のされないビジネスでした。Amazonはそれを圧倒的なパワーで覆し、次々と成功させてきたのです。



Appleが破壊したものは、機能的価値の追求という経営戦略です。

Apple以前の世界において、大量生産大量消費の中でプロダクト・メーカーたちは仕様を高めることに躍起になっていました。顧客にとって良いものは高い機能と多くの機能が詰め込まれたものである、と。

Appleは、圧倒的な高い機能を目指すことを一旦捨て去り、多くの機能を詰め込むこともやめました。顧客の行動的価値を設定し、その価値を最大化するために必要最低限の機能に絞り込んだのです。そして、これまでそこまで重要視されなかったプロダクト・デザインにこだわり、その行動的価値を高めるデザインを重視しました。

それと同時にブランド価値を高めることで、顧客の情緒的価値にうまく入り込んでいったのです。クレイジーと呼ばれ世界を変えるイノベーションを成し遂げたい人たちが使うブランドであると。

顧客体験に感動し、ブランドに共感したユーザーは、Apple信者になりました。ただのパソコンメーカーに信者がつくなど、Apple以前には考えられませんでした。



普通の会社や経営者、決済権限者は「既成概念」に縛られて、決断ができません。特に既存事業が成熟期にあるとその売上から「既成概念」は強く脳裏に植え付けられており、そこから外れることに大きな拒絶反応を覚えます。カニバるような事業領域などもってのほか!

既成概念のせいで思い込まされた「当たり前」を否定し、未来の「当たり前」を考え、その新しい領域に踏み込んで、そこをやり抜いた結果世界が変わりました。世界を変えることができたのは、今の「当たり前」に縛られなかったからです。

イノベーションの最初の一歩は「既成概念」を疑うことです。

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