見出し画像

意外とだれも書かない?読者に企業のnoteを届ける「拡散設計」の話

この記事を書く前に「読まれるnoteとは?」みたいな検索キーワードで色々なコンテンツを読み漁ってみたのですが、意外と「拡散設計」の話題に触れているものが少ないことに気づきました。

「シェアされる方法」「企業事例」と検索してみても、書かれているのはSNSと連携しましょうといった表面的なものが多く、具体的なことに踏み込んでいるものはやはり少ない。

そこで今回、BtoB企業のnote運用を想定した「記事の拡散方法」について、私の見解を書くことにしました。データやエビデンスに基づくものではないので、参考程度に~とライトに読んでもらえると嬉しいです!

※ 当社の活動実績はこちら

先に前提をすり合わせておくと、採用広報で「候補者に読んでもらう目的」だったり、営業活用で「商談で導入事例を紹介する目的」だったりする場合は、拡散を考える必要がないこともあります。

広報PRとして、企業の認知拡大やブランディングを意識する場合を想定していますので、まずはその点のご確認をお願いします。

では、始めていきましょう。

「読まれる企業note」定義はこちらの2社

「読まれるとは?」の定義って難しいですよね。PVやスキの数が多いことは一つの指標にはなりますが、そこだけを追えばいいわけでもありません。

例えばTwitterを始めたばかりの人が、偶然インフルエンサーの方にイイねされたりリツイート(シェア)されると、インプレッション(表示回数)が桁違いに伸びたりします。でも、自分のフォロワーが増えるわけじゃない。

届くべき人にちゃんと届き、共感される or 役に立つアカウントだと思われることで初めてフォロワー数は増加します。

なのでこの記事では、

読んでほしい人たちに届いているnote」と定義します。客観的な数字やデータはないので、あくまで私の感覚ですが。。

読まれるnoteの「結論」

拡散を考えたとき、

「SNSのフォロワー数 × 記事の質 = 読まれた記事数」

みたいな公式がパッと浮かぶと思います。フォロワー数10万人以上を抱えるインフルエンサーが、もしも自社の良質な記事をシェアしてくれたら10万人近くにリーチするかも……みたいな計算です。

ただ実際のところ、この計算式がすでに崩壊していることは、普段からSNSを使っている人にとっては当たり前のこと。

記事内に包括されている文脈(タグ)の数、深さ、そして共感してくれたSNSユーザーの数で変わってきます。

例えば、医療系ドラマについて書いた記事があった場合、その記事内には「医療」「俳優」「生死に関する哲学」など、複数の文脈(タグ)が入っている可能性があります。

文脈(タグ)に「深さ」があれば、そこに関心のあるSNSユーザーがシェアする可能性が高まるわけですが……この時、各SNSアカウントのフォロワー数はあまり関係がありません。数ではなく質です。

この現象について、えとみほさんは次のように書いています。

私の前職のサッカークラブで、フォロワー数24万超の人気サッカー系TikTokerとコラボ動画を制作した。ちなみにクラブのフォロワー数は1.6万である。フォロワー数でいえば、圧倒的に人気TikTokerの方が影響力があるはずなのだが、ほぼ同じコンテンツをほぼ同じタイミングで投稿したところ、なんとフォロワー数が圧倒的に少ないクラブのほうが再生数が多かっただけでなく、10倍以上の再生数・いいね数の差が出たのだ。

フォローフォロワー時代の終焉
https://note.com/etomiho/n/nf9c2e54f5a59

つまり私が伝えたいのは、読まれるnoteを作るのであれば、それぞれの記事に文脈(タグ)がいくつあり、深さはどの程度で、そこに共感する濃いSNSユーザーはどの程度いるか?

が、非常に重要な論点になるのでは、ということです。

まず整えたい「全社員広報」の体制

身もふたもない話ですが、企業noteはそもそも「拡散」には適していないと私は思っています。PR TIMES に掲載されたプレスリリースと似たようなもので、企業の「公式見解・スタンス」を知る場所というイメージがどうしても付き纏うためです。

言いかえれば、拡散を意識しすぎて不誠実な記事を企業の公式noteで書いてしまうと、ブランディング面でのマイナス要素や、危機管理の面での問題が発生するおそれもあります。

では、拡散のための努力として何ができるのか? ありきたりではありますが、その答えの一つが「全社員広報」だと思います。

そもそもnoteの発信文化は「個人の体験や想い、熱量を伝えるもの」なので、無機質(データ的・客観的・公式的)な記事は敬遠されがちになります。

ほら、なべはるさんもこう言ってますし!

なので、企業の公式noteを読んでもらうためは、社員の個人noteをきっかけに導線を引くやり方は、わかりやすい解決策だと思います。

もちろんリソース的に、毎回メンバーに書いてもらうのは難しいかもしれません。そこで私からのTipsとしては、

・役員やマネージャーにまず1本書いてもらう
・発信の目的を共有するワークショップを開く
・当事者意識を持ってもらう(人が足りないよね?採用記事書いて!)

などを、初手としてご紹介したいと思います。

どうやっても個人noteを書いてもらうのが難しい場合は、「人」に注目したインタビュー記事を書くのもおすすめです。その際、平山さんの語る「3つのポイント」はぜひ押さえたいところ。

①始めた人(オリジン)
②始まる人(新卒・中途入社)
③振り返る人(退職者)

特に③はハードルが高いと思いますが、私の記憶にある範囲でいうと、下記の3本はまさしく「振り返る人」だったなと思うのです。

大手を真似して「企画」でコケてない?

ここからは、もうちょっと汎用性の高いことを書いていきます。

まずSMBやスタートアップ企業がやってはいけないのが、大手のnoteを真似することかなって思ってます。私が好きなnoteの1つにカルビーさんがあるのですが、同じことはやらないほうがいいかな~と。

『じゃがりこ』は、ほぼ国民食ですよね。だからこの企画、このタイトルでいいと思うんです。

で、読み進めていくうちに「女子高生向けだったんだ」「コーンも検討されていたんだ」「キリンのマスコットは思いつき!?」みたいな面白おかしいエピソードに好奇心が掻き立てられ、ますますファンになる。

でも、無名の企業がこれと似たようなことをやっても厳しいですよね。うちの会社の福利厚生とか、絶対皆さん興味ないじゃないですか。

「株式会社ソレナの充実した福利厚生、誕生秘話!」みたいな(笑)

ここでヒントになるのが「読まれるプレスリリース」や、「使ってもらえる企業のノベルティグッズ」の発想です。

要約すると、「スタディストさんの『Teachme Biz』の導入実績リリースには、プロダクトの名前がタイトルで一切使われていない!」 というようなことがnagisa hamaguchiさんの記事に書かれています。


メディアが知りたいのは、『Teachme Biz』が導入されたっていう事実ではなく、「シャトレーゼが」人材育成をデジタル化したってこと
だよね? というニュアンスを伝えています。

tetoteミウラさんの記事には、「LINEさんのノベルティにはロゴがない!」ということが書かれています。


共通しているのは「自社が伝えたいことではなく、記者やユーザーの気持ちに寄り添った表現」になっていること。同じような視点に立つと、下記2本の記事は「いい企画だな~」と思うのです。

オンラインの全社会運営で困っている人や、育休復帰後の「ちょうど良い仕事」ってワードに共感が持てる人は読んじゃうだろうな~と思います。

ノウハウやナレッジ共有系の記事は、読者が自分ゴト化しやすいので、企業noteの企画としてもおすすめです。

逆にけっこうやってしまいがちなのが、自社の制度をストレートに伝えてしまう企画。何度も言うように「株式会社ソレナの福利厚生を大紹介!」なんて言われても読者は困るだけです。

では、どのような打開策があるのか?
紹介したいのはこちら(↓)

人って悲しいもので、禁じられたり制限されたりするほど、絶対やりたい!ってなりますよね。記事も一緒で、読んじゃいけないものを読める企画は、つい読みたくなっちゃうわけです。

上記のWonderSpaceさんの記事いいですよね。全然使われていない福利厚生とかちょっと知りたいかも……って、私の好奇心はうずきました。

皆さんはどうでしょうか?

読まれるnoteは「タグ」が濃い

最後に紹介したいのが、こちらの記事です。

こちらは、当社も取材協力のかたちで支援させてもらった記事になります。私も記事がリリースされた際に自分のTwitterで紹介をしたのですが、そこである気づきがありました。

それは、ランナーの方々からの反響があったこと。『RUN for』そのものはhacomonoさんの社内企画で、外部の方が参加できるものではありませんでした(今回は)。

それでもTwitter経由で外部のランナーの方から「次回は私も参加したい」と意思表明があったんです。この現象は、一定の再現性を持たせることができる気がしています。

同じことを、下記の記事でも考えてみたいと思います。

この記事、めちゃくちゃ面白かったです。

文脈(タグ)としては「創業ストーリー」がベースにありつつ、その背景として「多様性」や「海外生活」「文化」「日本のスタートアップの課題」といった、複数の共感・シェアの切り口があります。

つまり、読まれる記事は、1記事1メッセージの基本を押さえつつも、思わずシェアしたくなる要素が散りばめられている気がします。

逆算すると、自社で発信する内容はどんな文脈(タグ)を含み、どのような人々に共感されるか? を事前に想定したうえで、TwitterなどのSNSで事前につながっておくことは有効かもしれません。

いや。そんな打算的なことは不要かもしれません。

なぜなら人は、多かれ少なかれ価値観をベースに関係性を築いていく生き物だからです。企業のミッションに共感して入社した人であれば、企画と文章が適切であるかぎり、誰であっても記事を届ける可能性を秘めていると思うのです。

さいごに

全体を通して今回私が伝えたかったことは、

  1. メンバー全員広報の体制を作れないか?

  2. 読者に寄り添った企画になっているか?

  3. どの文脈(タグ)で広がるか想定できるか?

この3点かなと思います。

広報PRとしてのnoteの役割は、届いてほしい人たちに届き、ブランドとして認識してほしいとおりに認識され、最終的に行動変容につながること。

正直、この3点を押さえて記事を企画・作成することは、簡単なことではないかもしれません。実際は色々な思惑や期待が社内で錯綜するからです。

冒頭にもお伝えしましたが、採用広報で「候補者に読んでもらう目的」だったり、営業活用で「商談で導入事例を紹介する目的」だったりする場合は、また異なるベクトルでの運用スタイルになりますし、多くのケースでこれらは入り乱れて運用されています。

それでも、もし広報PRの記事として「拡散」を考えるのであれば、この3点を意識してみる価値はあるのではないか、と考えています。

ここまでの内容が、記事を企画する際のヒントになれば幸いです。読み返し用に「スキ」を押してくれたら、さらに嬉しいです。

長文へのお付き合い、どうもありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?