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【哲学・科学・文化】われわれはどこから来たのか。われわれはどこへ行くのか。②

前回に引き続きちょっと文化や哲学、科学や宗教なども交えて色んなことを書いていこうと思います。
こういう歴史的な背景を知っていると仕事で役に立つことも増えるかなと思ったからです。

ワクセル主宰の嶋村吉洋さんもものすごい知識の幅が広く、歴史や文化、科学や宗教問題など多くのことを知っています。
そういうところからの引き出しが多いから様々な仕事を上手くいかせ、たくさんの人が集まるチームビルディングのプロとなっているのだと思います。

前回は神話や宗教が科学によって塗り替えられてきた背景を書きましたが、今回は逆に宗教によって科学が阻まれてきた背景と、現代の科学の発展について書こうと思います。

・学問の都市バグダッド

さて今回はまず、イラクの首都・バグダッド。
どんなイメージがあるでしょうか?
ニュースで見た戦争で廃れた中東の都市で危険な場所、というイメージが強いのではないかなと思います。

しかしバグダッドはかつて、科学の進歩の最重要拠点でした。

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出典:https://seiwanishida.com/archives/12199

この写真は8世紀のバグダッドです。
3重の城壁があり、珍しい形の建物が立ち並んでいます。

この時代のバグダッドは「平安の都」と言われ、地上で最もレベルの高い学都として知られており、大学や図書館はあらゆる宗教や哲学、科学などの知識を得られる場でした。
世界初の総合病院がバグダッドにできるのもこの時代です。
この時代にバグダッドで生まれた成果は今もなお残り続けています。

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出典:https://weathernews.jp/s/topics/202010/190105/

有名なオリオン座のベテルギウスやリゲルも語源はアラビア語です。
星のほとんどがアラブ世界の天文学者によって発見されたため、2/3以上の星の名前はアラビア語に由来しています。

私達は数を数える時にローマ数字のⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴを使いません。
アラビア数字の1、2、3、4、5を使います。

ソーダ(soda)、代数学(algebra)、平均(average)、演算法(algorithm)、方位角(azimuth)、天底(nadir)、天頂(zenith)、アプリコット(apricot)、錬金術(alchemy)、化学(chemistry)、暗号(cipher)、万能薬(elixir)、アルコール(alcohol)、アルカリ(alkaline)、ゼロ(zero)、合同する(amalgamate)
これらは全てアラビア語が語源です。

・バグダッドの陥落

11世紀の終わりまでバグダッドは世界で最も高い科学レベルの探求が行われる場所でした。
しかしある事件が起こります。

ハーミド・アル=ガザーリという有名な学者が、数学は「悪魔の哲学」だと断じ、プラトンとアリストテレスを非難しました。
これをきっかけとして、科学をないがしろにし、神学研究が義務付けられ、イスラム世界全体の科学活動が薄れていきます。

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かつて栄えたイスラムの科学文化は、宗教により押しやられました。

・キリスト教圏の科学

キリスト教圏でも同じ様な問題が起こりました。

コペルニクスが地動説のことを書いた『天体の回転について』はローマ教皇庁より閲覧一時停止となり、ガリレオ・ガリレイは異端審問所審査でローマ教皇庁検邪聖省から終身刑を言い渡され、コペルニクスに賛同したジョルダーノ・ブルーノは火炙りにされました。
この協会による科学への妨害がなければ、もっと科学は進んでいたかもしれません。

・今日の科学と宗教の対立

科学の発展が宗教により頓挫したという事例は近年もあります。

スイスにある研究所でインターネットを開発したことでも有名なCERNは、ジュネーブ郊外に長さ約27㎞に及ぶ大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を持っています。
これは陽子同士を超高速で衝突させる機械で、このおかげもあってヨーロッパ勢は物理学での優位性を高めることができました。

しかし実はこの巨大な機械は、もっと早い時期にアメリカのテキサスで作られる予定でした。
超電導超大型加速器と呼ばれるその機械はCERNの加速器の約3倍もあり、世界最大の粒子衝突装置として期待されており、議会も44億ドル(約3850億円)の資金を承認して進める予定でした。
これにより、人類の宇宙への理解が大幅に進む予定だったのですが、経費の使いすぎという非難が途中で上がったのと、政治的圧力もありこの計画は2年で頓挫することとなります。

テキサス州はとりわけ信仰の深い人たちが多くいるバイブル・ベルト上にあります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88#:~:text=%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88%EF%BC%88%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E8%8B%B1%E8%AA%9E%3A,%E7%89%B9%E5%BE%B4%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82

明確に示されているわけではありませんが、ここからの圧力があったという意見も上げられています。

・現代の科学の進歩

阻まれることもあった科学の進歩。
しかし近年、抑えることができないほどに急速に科学は進歩しています。

ほんの30年の間にポケベルはスマホに形を変えました。
私が子供のころに初めて使ったコンピューターであるWindows95から、今ではものすごい軽くてスペックも高いコンピューターがたくさん発売されています。
そして新聞を読むと、今では月単位で新しい技術の発表がなされています。

われわれはどこから来たのか。
われわれはどこへ行くのか。

このずっと科学が答えられなかった質問に対して、科学はどう答えを出していくのでしょうか。

続く。(数日温めて続きを書いていきます)

吉村先外

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