JR東日本パスの旅_1日目④「廃線ウォーク後半&軽井沢~銚子へ」
こんにちは、結城弘です。
こちらは昨年10月、JR東日本乗り放題切符「JR東日本パス」を使って東日本を周遊してきた旅行記です。
前回の記事はこちら⇒
1. 後半スタート
15時半頃、廃線ウォークの中間地点である旧熊ノ平駅に到着しました。
ちなみに信越本線下り線を歩く廃線ウォークでは18本のトンネルがありますが、中間地点までくぐったトンネルの数はたったの3本。
1㎞級のトンネルが2本あった前半に対し、後半のトンネルは数百m単位のトンネルばかりらしいですが、それでもあと15本のトンネルがあると思うと気が遠くなりそう。
スタッフさん曰く、少し時間が押しているとのこと。
廃線ウォークが終わった後は、新幹線と在来線を乗り継いで宿泊先の千葉県銚子市まで一気に移動するつもりなのですが、廃線ウォークの終着である軽井沢駅から乗る予定の新幹線の時間が差し迫っているのです。
※オレンジ色のアイコン・ルートが今回の行程です。
これに乗れないと宿泊先のチェックイン時間に遅れてしまうので、焦り始める私をよそに旧熊ノ平駅での休憩が終わり、後半スタートです。
2. 点在する窃盗被害の傷跡
楽しい体験を提供してくれる廃線ウォークですが、イベント中、どうしようもない現実の問題を突きつけられる場面にも何度か遭遇しました。
当時の設備がそのまま残っている信越本線の廃線跡。
ということは架線などといった資材も数多く残っているということであり、信越本線跡はこれまでに幾度となく金属類の窃盗被害に遭ってきました。
廃線ウォーク中、その爪痕はいくつも目にしました。
「監視カメラも設置し、巡回も行っているが、それでも被害は後を絶たない」とのこと。
10人単位でもすくみあがりそうになる真っ暗闇のトンネルや、山奥の線路。恐らく明かりが一切ない深夜に、監視の目をくぐって数人程度でそれらの場所に忍び込み、架線などを切断して盗み出す。
その状況を何度か想像してみましたが、結局窃盗犯の心情を考えても埒が明かなくなったので、途中から何も考えず歩くことにしました。
3. 歩く、ひたすら歩く
出発から3時間ほどが経ちました。
10㎞にも満たない行程とはいえ、下り線は全行程が坂道。
知らず知らずのうちに疲労が心身に蓄積されていきます。
後半になると景色も単調になり、トンネルの次にまたトンネル。
足下は人類が数時間歩くことなんて微塵も想定されていない砂利と線路。
途中鹿とも何度も遭遇し、微笑ましく思って歩いていると、トンネルの中の線路にひねりだされた彼らの置き土産を危うく踏みかけました。
特に線路の間が彼らのお気に入りのお手洗いのよう。
以降線路の隅をできるだけ歩くようになったのは言うまでもありません。
辺りが薄暗くなってきました。
バラスト(砂利)を踏んでいると足に負担が来るので、できるかぎり線路のコンクリの枕木を選んで歩きます。
足だけでなく、懐中電灯を支える腕もだるくなってきました。
あれこれ楽な姿勢を試行錯誤した結果、懐中電灯を持つ右腕の肘をスペシウム光線の体勢のように左腕で支えるのが楽と判明しました。
春に観た『シン・ウルトラマン』の経験がここで活かされたわけです。
新幹線の時刻も迫り、焦る気持ちも強まります。
「もうあと2本くらいだろう」とトンネルをくぐったら、まだ6本残っていたなんてこともありました。
この辺りから「鉄道乗り放題の切符持ってんのに、なんで線路を自分の足で歩いているんだろう」と自分の行動に何度も疑念を抱いたことは言うまでもありません。
ふと腕時計を覗くと、時刻は17時前。
乗る予定の新幹線の時刻は17時42分。
辺りは憎いくらい緑たっぷりの山の中。
今から1時間後に新幹線に乗っている自分の姿がとても想像できません。
周りの口数も少なくなり、ペースが遅れ始める人も。
それでも歩き続けていると、
最後のトンネル、「18号トンネル」にやってきました。
ゴールはこのトンネルを抜けてすぐです!
みんなで気合いを入れ、攻略に取り掛かります。
遠くに見える出口の明かりを目指し、
県境を越え、
特別点灯された信号やライトアップを通り抜け、
そして……
ゴーーール!!!!
信越本線下り線、全行程達成です!
解散場所にてレンタル品を返却し、特別ポスターや参加者限定のYouTube動画が観られるQRコードをもらいます。
そして解散。廃線ウォーク終了です。
「廃線ウォーク」という形で公式に廃線跡を巡れる機会を提供してくださった方々には感謝しきれませんし、これからも企画や保全を続けていくには私の想像のつかない苦労があることだろうと思います。
そのおかげで新鮮な体験をいっぱいできましたし、憧れの場所にも到達できました。スタッフの方々、本当にありがとうございました!
4. 銚子駅へ。1日目終了
なんて殊勝なことを言っていますが、解散場所に到着した時点で新幹線発車まであと15分あるかないか。
余韻に浸るのもそこそこに、急ぎ足で解散場所を離れます。
解散場所から軽井沢駅まで徒歩10分ちょっととのことだけど、辺りはやはり閑散としていて、軽井沢駅の「か」の字の気配もない。
それでも事前に調べたルートを駆け足で進んでいくと、
徐々に建物が増え、軽井沢駅がひょっこりと現れました。
しかし時間はギリギリ、引き続き新幹線乗り場まで急いでいると、すれ違った女子大生風の人が「え」と引きつった声を上げられた気がしました。
そらボロボロの体にバックパックを背に特典のポスター2本持って疾走している人間がいたらその反応が正解だと思います。もはや山賊と思われても仕方ありません。
急いだ甲斐があり、何とか予定の新幹線に間に合いました。
ここから東京駅を経由し、千葉県の銚子駅へと一気に移動していきます。
それにしても今回の主役である「JR東日本パス」はやはりすごい。
新幹線だろうと在来線であろうと、待ち受ける改札を1枚でビュンビュン突破していく様は頼もしすぎました。
そして21時30分に千葉県銚子駅に到着しました。
利根川にかかる銚子大橋を渡り、茨城県神栖市へ。
本日の宿、大黒屋旅館さんに到着です。
チェックインは22時まで。間に合いました。
これにてJR東日本パスの旅、1日目終了です。
2日目はここから仙台まで北上します。
その前にまずは宿で歩き疲れた体をゆっくり休めます。
そして明日の朝一番、仙台を目指してまずは、
歩きます
山ときたら次は海。
なぜこんな経緯になったのか。
JR東日本パスの真価は発揮されるのか。
次回は「神栖~鹿島編」。海岸線沿いを十数㎞歩いた話です。
次回⇒
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ここまで読んでいただきありがとうございました。
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