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小さなミュージシャン天国!オーストラリアの音楽事情。

オーストラリアは、ミュージシャンにとても優しい国。
僕がオーストラリアに来て初めて住んだ街はメルボルンでしたが、音楽好きな僕にとっては、とてもエキサイティングな場所でした!

そして僕はこの街に来て、もう一度、ミュージシャンになる夢を追いかけてみようかな・・・と思うようになりました。
「え、その歳で?!」と言われそうですが・・・笑。

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なぜならこの国ではミュージシャンとしての生き方も多種多様、年齢も経歴も関係なく、ミュージシャンの個性を尊重し、音楽を敬愛する風土があると感じたからです。

今日はオーストラリアでミュージシャンとして生きる方法を考えてみたいと思います。

ミュージシャンの選択肢~その1~
「バスカー」

一番驚いたのが「バスカー(Buskers)」の存在。
いわゆるストリートミュージシャンのことです。

オーストラリアには、この”ストリート演奏だけで生活する”いわゆるプロのバスカーもいます。

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たった数時間の演奏で、なんと1500ドル(日本円で10万円以上)を稼ぎ出すツワモノもいると聞いたことがありますが、その音楽スタイルも様々で、ロック、ポップス、ジャズ、ブルース、クラシック、民族音楽、弾き語りから本格的なバンド演奏まで、メルボルンの街中は素敵な音楽で溢れています。

演奏する人も老若男女いろいろで、小遣い稼ぎがしたい初々しい感じの若者もいますし、白髪の老人が珍しい楽器を演奏する光景などもあります。

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私が出会ったバスカーには、定年退職してからミュージシャンを始めた人もいますし、海外からわざわざ出稼ぎのようにオーストラリアに演奏にやって来るミュージシャンも大勢います。日本人のバスカーも数人知っています。

実はオーストラリアにはこうした路上演奏のパフォーマー制度があり、その認可を行政が行っています。
簡単なオーディションでその認可を取得すれば即、路上演奏で投げ銭を受け取ったり、CD等の物販が可能になります。

オーストラリアでは、この投げ銭をドネーション(Donation:寄付金の意)と呼びますが、路上パフォーマーにドネーションを入れる人がとても多い事に驚きます。

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「素晴らしいパフォーマンスにはきちんと形で評価する」という意識が高いのか、子供にドネーションを持たせて入れさせる親も多く、そうした文化が根付いているように感じました。

知人ギタリスト曰く「日本でストリート演奏をしていると投げ銭をする人はほとんどおらず、やって来るのは警察だけ・・・笑」

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日本の行政では「取り締まり対象」となる路上演奏も、オーストラリアでは行政が後押しをして街を彩る素敵な文化となっています。

オーストラリアでミュージシャンをやるには、このように路上演奏をするというのがひとつの選択肢になるわけですね!

人を魅了する演奏が出来れば、路上でもしっかり稼げるというわけです。

ミュージシャンの選択肢~その2~
「飲食店での演奏」

そして次に、オーストラリアでは生演奏が聴けるバーやカフェ、レストランなどが多いこと。

シドニーより、メルボルンの方がそうしたお店の数は多いそうですが、こうした飲食店での演奏もミュージシャンの活躍の場として開かれたものになっています。

メルボルンに住み始めたばかりの頃、友人に誘われて行った音楽パブでは、オーストラリアでもそこそこ知られたミュージシャンの演奏をビール一杯のオーダーだけで気軽に楽しめることに驚きました。

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日本ではプロ、アマ問わず生演奏を聴きに行くと、どんなに安くても2000~3000円程度のチャージはつきますよね。

しかも日本のライブハウス等では、ミュージシャン本人が集客をしないと、ミュージシャンが身銭を切ってノルマチャージや会場費用を払うハメになることも多々あります。

ところがオーストラリアでは、たとえチャージ無しの演奏であっても、ミュージシャンにはギャラをきちんと支払うお店が多いと聞きます。

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お店側も集客のためにミュージシャンを雇うという感覚なのでしょうね。
これひとつとってもやはり文化の違いを感じます。

そうしたお店ではオープンマイクなども良く行われていて、私の知人の日本人ミュージシャンはプロではありませんが、オープンマイクで認められて、即、お店での演奏依頼があったそうです。

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ミュージシャンの選択肢~その3~
「フォーククラブ」

次に注目すべきは、フォーククラブの存在。
僕が住んでいた街から車で30~40分圏内に知っているだけで4つのフォーククラブがありました。大抵は毎月1回週末に開催されます。

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前半は誰でも出られるオープンマイク、後半は上手なゲストミュージシャンの演奏という構成でやっているところが多く、参加費は10~15ドル(日本円で1000円前後)ほどを徴収し、大抵は50人以上の人が集まりますので、その参加費の中からゲストミュージシャンへのギャラが支払われます。

こうしたフォーククラブはオーストラリア各地の街々にあり、このフォーククラブを巡って演奏ツアーをするミュージシャンもいます。

実際に参加してみると、けっこう年配の人も多いのですが、思うに日本のカラオケスナック的な役割をしているのが、このフォーククラブなのではないかとも感じます。

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カラオケが日本ほど普及していない分、「歌を歌いたい」と思えば、楽器を手にするというのが自然の流れだったのかもしれませんね。

白髪の紳士淑女がギターを抱えて歌う姿は何かとても素敵に感じます^^

そして、このフォーククラブでのゲストミュージシャンとしての出演の扉もとても開かれたものになっています。
フォーククラブによっては、ホームページで出演の受付をしているところもあり、ちょっと腕に覚えのあるミュージシャンであればエントリーすることが出来ます。

ミュージシャンとしての選択肢~その4~
「音楽フェスティバル」

最後に忘れてはならないのが、音楽フェスティバル。

オーストラリアでは、本当に数多くの音楽フェスティバルが開催されます。町おこしのような一面もあるのかもしれませんが、普段は誰も行かないような小さな田舎町が、年に一度、町中を上げてのお祭り騒ぎになります。

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僕が良く行ったポートフェアリー・フォーク・フェスティバル(Portfairy Folk Festival)は、そんな音楽フェスティバルのひとつ。

メルボルンから300kmほど、ハイウェイを車で飛ばしても3時間半はかかる漁港の田舎町で開催されます。

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人口3000人ちょっとのとても静かな田舎町なのですが、3日3晩に渡って行われるフェスティバルには、オーストラリアのみならず、アメリカ、カナダ、イギリスをはじめとする海外から名の知れたミュージシャンも参加し、町中に設置されたいくつもの演奏会場で、朝から深夜まで演奏が続きます。

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出演するミュージシャンの数だけでも数百人、その音楽を楽しみに来る観客は数万人にも及びます。

風光明媚な田舎町、多くの人はテントを張って3日3晩キャンプをしながら、朝から晩まで音楽にどっぷりと浸かります。本当に素敵なイベントです^^

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このポートフェアリーは比較的大きなイベントですが、こうした音楽イベントがオーストラリア各地で行われています。

特に気候の良い3月前後(南半球なので夏になります)はこうしたイベントが目白押し!

そしてこうした音楽フェスもホームページで出演者を広く募っており、もし出演できればギャラが得られるだけでなく、ミュージシャンとしても一気に知名度を上げるチャンスにもなります。

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小さな音楽フェスティバルも多数あって、出演の難易度もそれぞれなので、ミュージシャンとしての指標にもなります。

以上のことからわかるように、知名度のないミュージシャンが活動するにはとても多くの選択肢と門戸が開かれているオーストラリアの音楽シーン。
良いところは、日本にもぜひ取り入れて欲しいものですね^^

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これまでオーストラリアで数多くのミュージシャンを見てきて感じることは、伝統的な音楽をとても大切にする風土があるということ。

ブルース、カントリー、ブルーグラス、クラシック、アイリッシュ、ケルティック、その他の民族音楽などを基調としたバンドの多いこと多いこと。。

そうした伝統音楽が多いからなのか、キーボードを使うバンドより、バイオリンやウッドベースを使うバンドの方がはるかに多いといった感覚です。

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そして国の総人口が2500万人程度のオーストラリアは、マーケットが小さいせいか、日本ほどメジャーアーティストと言われるミュージシャンの存在を目にする機会が多くない気がします。

どちらかと言えば、ミュージシャンはもっと身近にいるもの・・という感覚が強いように感じます。

だからこそ、日本でいうインディーズのようなミュージシャンがそこココにいて、彼らが生きやすい仕組みが出来ているのかもしれませんね!

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余談ですが「僕はプロのミュージシャンをやってたんだよ!海外にもツアーに行ったよ。」という人、結構多いんです^^

日本人からすると「え?!海外ツアーができるって、もしや有名アーティスト??」と思っちゃいますが、実はそういうわけではなく・・・6(^^;)

英語圏なので、自主的・能動的に海外ツアーも出来ますし、「プロミュージシャン」も、料理人くらい身近にいる感覚に近いのかもしれませんね^^
兼業ミュージシャンもとても多いように感じます。

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ちなみにオーストラリアである程度成功して有名になると、みんなアメリカに行っちゃうのだそうです・・・笑。

マーケットの小さいオーストラリアではビッグドリームは掴みにくいという事なのか・・・でも多くのミュージシャンにとっては、すごく息のしやすい場所だと思います。

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まさしく小さなミュージシャン天国、オーストラリア。
年齢を重ねて、白髪になっても、頭が禿げても、ミュージシャン活動をするという夢を叶えてくれそうな場所。

僕もこれから、いろいろと音楽活動チャレンジしてみようと思います^^
さあ、練習がんばろう!!


【追記】2020年11月23日
この記事にnoteから嬉しいお知らせをいただきました!

「小さなミュージシャン天国」特にスキを集めた記事






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