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プライス 書評 ジンガレス「大衆のための資本主義」(2012) 2013


David Price, Book Review-Capitalism, Meet Politics-Luigi Zingales, A Capitalism for the People, Econ Focus(FRB of Richmond), First Quarter, 2013
(用語) 縁故資本主義 資本主義 レントシーキング ロビー活動 反トラスト法    ビジネススクール
(解題) ジンガレスZingalesは著書「大衆のための資本主義」で2007-2008年の金融危機によって、アメリカで縁故資本主義が強まったことを批判した。Zingalesの場合、縁故資本主義のモデルになっているのはイタリアだということも分かる。行為としてレントシーキングとなるロビー活動がいけないとしているが、疑問が残る。そもそも経営者は政治に対して不満があったときに、行動できないのか。経営者が経営者団体を作り、政治活動をすることをZingalesはすべていけないと考えているか。個人として市民として政治活動するのはよいとすれば、企業の立場を誰が代弁するのだろうか?  

(本文)
 シカゴ大学ビジネス大学院ブース校の経済学教授Luigi Zingalesはホラー映画を二度見する、遠慮なく発言する映画ファンのようだ。彼は「ダメ、階段はダメ、階段を上がってはダメ」と叫ぶ観衆である。
 ジンガレスZingalesは生粋のイタリア人で(その著書)「A Capitalism for the People」において、母国イタリアで証明された縁故資本主義の危険な方向に向かっていると論じた。その用語は、会社がその市場で成功する能力よりは、政府官僚への影響力に基づいて繁栄する経済を指している。コネのある会社は、公共の契約、補助金、救済、あるいはライバルからの規制上の保護の形で、利益を得るかもしれない。Zingalesによれば(縁故資本主義)制度はイタリアで十分確立された。イタリアの経営者たちは、成功におけるトップ要因に「影響力のある人々についての知識」を上げた。
 (縁故資本主義は)「私の母国の潜在的な経済成長のほとんどを奪ってしまった。」「私は(縁故資本主義が)合衆国で同様に奪って欲しくない」とZingalesは書いている。
 合衆国における縁故資本主義は全く新たなものではないー
Zingalesは例として特別な受取について議会の別置(earmarks)を引用しているーそれは1980年代に広まり始めた。彼は近年アメリカでは縁故主義への運動は加速したと、断言している。しかしなぜ縁故資本主義は、合衆国では海外に比べて根を張るのがはるかに遅かったのか。Zingalesは、有力なマルクス主義者の政治党派が存在する国では、自由市場政策の鼓吹者たちは、自らの運命を政府を自身の目的に使おうとする大企業に託すしかほとんど選択肢がなかった、と説明する。合衆国はこの問題に直面しなかった。加えて、州と地方に大きな権力を与える合衆国政府の連邦の構造は、統治権jurisdictionsが互いに競争することを強制し、縁故主義への制約を生み出していると、指摘している。
 ジンガレスZingalesは、(合衆国の)縁故資本主義への国としての抵抗が弱まったことを、いつ確信したかは示唆していない。しかし彼は転換は、2007-2008年の金融危機以降、十分進んだとみなしている。恐慌はZingalesが本質的に縁故資本主義とみなす一連の政治をもたらした。Troubled Asset Relief ProgramすなわちTARP、それをZingalesは、納税者の防ぐ術のない資産強奪だという。それは強力なロビー(活動をしたもの)を潤し、2010年Dodd-Frank法の一部でもある。
 彼の見解では、変化の理由はたくさんある。実質所得の減少、超大企業(superstar)あるいは勝者総どり経済の勃興と合わさって自由市場への信頼の喪失が生まれたこと。金融部門では金融革新が、金融機関への暗黙の補助金を隠すことを容易にした。大銀行の成長は、倒産させるには大きすぎるという概念を政策担当者によりもっともらしくplausibleした。連邦政府はより大きくなり、ビジネスが力を使う(loot)大きな誘因を作りだした。Zingalesはレントシーキング(自身に有利な法や規制を求める活動)の報酬は大きいので、会社はロビー活動や選挙活動に多額に支出している、とした。さもない場合には、驚くほど少ない。理由は恐らくまだ学習過程にあるからだ。
  彼の提案する解決策は、選挙運動資金調達への規制を増やすことではなく、企業が政治に介入することを抑制することに向かっている。彼は選挙運動資金調達への規制は最高裁の制約の中で有効になりえないと信じている。その代わり、ロビー活動を抑制する諸手段を通じて。それには、企業の市場力だけでなくその政治力も制約する反トラスト法の執行も含まれる。合併が政治的に強力な会社を生み出すであろうからである。彼はロビー活動への課税に賛成している。より野心的にはambitiously彼は事業への公共補助を禁止する法律を求めている。民間の集団訴訟により執行が進められる。法律のほかにZingalesはビジネススクールにその学生たちに、社会全体に有害な機会主義的活動を―彼らの間の補助金を求めるロビー活動の慣行を、回避することの刻印imprintを求めている。
 (以下略) 


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