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#超短編小説

【超短編】おやすみ、世界

ひなこの日課は毎夜世界におやすみを告げることだ。それは今日も同じで、ひなこは世界におやすみを告げる。ひなこのおやすみはいろんな言語に変換されて、世界中におやすみをもたらす。

ひなこは太陽のような子どもだ。日に焼けた褐色の肌に、赤い髪、そばかすの目立つ顔に、笑顔が良く映えた。そんなひなこは日中は学校へ行ったり、友達と遊んだりしながら普通の女の子として過ごす。

けれど夜になると、ひなこは世界におや

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【短編】リストカットシンドローム

【短編】リストカットシンドローム

時間の流れは残酷だ。由紀子はそう思った。気が付けば自分の肌にはそれ相応の年輪が刻まれ、もうお姉さんと呼ぶよりおばさんと呼ばれた方がしっくりくるような年齢になっていることに気付いた。

そんな自分が、未だにリストカットに頼って生きているのが可笑しくなって由紀子は一人フッと笑った。

若かったころ、十代だった頃はリストカットはファッションのように流行り、みんなと言っていいほどみんなしていた。由紀子は違

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【短編】フェルマータ

【短編】フェルマータ

瞳は見知らぬベッドから、見知らぬ天井を眺めていた。

昨日の記憶は曖昧だ。途中までの記憶と状況から察するに、私は病院に居るらしい。私は昨日、死のうと思った。理由なんてない。本当に死のうと思ったのかさえ怪しい。

アルコールと病院から処方された薬を一気に飲み、最初のうちふわふわしていたものの、気持ち悪くなり、そのまま気を失ったようだ。

そしておそらく彼が私を見つけて、救急車でも呼んで私はここに居る

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【短編】切る

【短編】切る

髪を切る、前髪を揃える。

関係を切る。彼と私は他人になる。いや、元々他人だったか。

そんなことを考えながら、麻美はふと自分の腕に目をやった。古いリストカットの跡の中に、何本か真新しいみみずばれのような傷が目についた。

麻美にとってそれは、自分が自分でいるための一つの儀式だった。どんなに他人に止められようと、やめることのできない自分の決めた儀式。細く白い体躯には似つかないその痛々しい傷は、彼女

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