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旧正月

旧正月を祝う沖縄。
浜比嘉島に行くと、大漁旗と国旗を掲げた漁船たちが、列を成して海へ出て行くところだった。

海上で円を描く。沖縄民謡を流しながら、進む。私は、曲がわからないけれど、ご一緒したTさんから、曲について教えてもらう。

季節を感じる土地の行事は、素敵だ。

今日は春のような日で、とても暖かい。

沖縄に移住した1年目の頃。
秋になっても冬になっても、ずっと暖かい沖縄の気候のおかげもあって、季節感がくるっていた。12月になっても師走感が感じられなかった。

茨城に帰省して、気づく。
私は季節が秋から冬に変わる時に、だんだんと短くなる日照時間や、朝の寒さ、石油ストーブからにおう灯油のにおい、マフラーや防寒着を着ることなどで、毎日じわじわと年を越す準備をしていた、と分かった。カレンダーを見て、季節を感じている訳じゃなくて、温度や暮らしの変化で、時を感じていた。

1月になったから、新年を感じるんじゃなくて。

私の正月は、茨城の正月。
私の冬は、茨城の冬。

生まれ育った場所の環境が、私に時間を教えてくれていた。それに気づいた時、地元がさらに愛おしく感じた。

沖縄に移住したことで、その事に気づけたのは、とても収穫だった。

沖縄出身のTさんは、お正月に流れる民謡歌手の歌声を聴くと、お正月だと感じると話していた。

とても素敵だ。

その記憶には、歌声を聞いていたお正月の場面が、たくさん重なっている。その層のなかに、たくさんの記憶が保管されている。小さな頃から、いままでの記憶。それらが、歌声をきっかけに思い出せる。それって、とっても幸せだ。

もちろん、いいことばかりではないかもしれないけれど。それでも、歌声と記憶は、お正月を連れてくる。お正月気分を届けてくれる。

そう想像しただけで、私は勝手に幸せだ。

そして、人それぞれに、その感覚が異なるし、
それが、その人だけの、人生の記録でもある。

日常は、とても大事だ。

季節の行事があるからこそ、
季節を感じられる。

季節の行事があるからこそ、いまを感じ、
立ち止まって、いまの自分を確認できる。

いま、どんな時期か。
自分の立ち位置を確認できる。

必要なら、気持ちを切り替えて、
心機一転、はじめることも、やめることもできる。

それが、お正月や大晦日であったり。
自分の誕生日だったり。

1年のおわりとはじまりは、人それぞれ。

いま、どう生きているか。

自分を省みるきっかけをくれる。

季節の行事や、地域の祭り、風習は、めんどうに感じることもあるかもしれないけれど、とても貴重な文化であり、ひとりひとりの生活の一部でもある。

今日、浜比嘉島で、旧正月の行事に遭遇できたこと。とても幸運でした。

偶然ではあるけれど、きっと偶然はなくて、
偶然は必然だ。

船を見たら、きっと今日のことを思い出す。
私の記憶の層が増えたことが、うれしい。

導きに感謝します。

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