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エグモントホイスコーレンってどんな学校?

今日は、デンマークの
フォルケホイスコーレの中でも特別な学校、
エグモントホイスコーレンを紹介したい。
(以下、エグモント)

エグモントって?

エグモントは、デンマークの
ユトランド半島にある第二の都市、
オーフスからバスで1時間離れた
海のすぐそばにある。

広大な土地に広がる大きな学校の生徒数は2023年度時点で約220名。
うち半分は何らかの障がいを持つ生徒で、
残りの半分は彼らをサポートする
生徒兼ヘルパー、そして日本人がいる。

私が留学していた頃は、主にアフリカからの障害を持つ生徒達もいて、彼らのグループをグローバルクラスと呼んでいた。
ときどき、デンマーク語が難しい授業では、グローバルクラスと日本人クラスが
混ざって一緒に交流することもよくあった。

エグモントでは「障がい者」の生徒達と
「健常者」の生徒が共に暮らし、学ぶ。
この学校はデンマークでもただひとつの
「特別な学校」である。
エグモントは今年、創立67周年を迎える。

環境の工夫


学校の入り口には大きなガラス窓があり、
そこからオーレ前校長の自慢の
大きなプールがあり、それはまるで
Welcome!(ようこそ!)と
招いてくれているような気分。
前校長先生の夢だった
《誰でも入れるプール》は名前の通り、
どんな障害を持っていても入れる配慮が
至る所にある。


大きなスロープと奥にはウォータースライダー。

まず、更衣室は広くて
個別の更衣室もあり、
障がいをもつ学生が個室で着替えることが
できるようになっている。

入水できる特別な車椅子は、
私が留学していた当時全部で5台あって、
そのままプールに入れるよう
巨大なスロープがプールに設置されている。

水中用車椅子
水中対応のメッシュ素材の担架。

プールだけでも書きたいことは、
山ほどあるがこの辺りで収めておこう。

それから最初の方で触れた近くの海でも
砂浜に対応する車椅子があるため、
夏はみんなで海に入ることができる。

また、体育館やトレーニングルームの
重たい扉は
大きなボタンひとつで開閉できたり、
学校のスクールキッチンのコンロやシンクも
スイッチで上下するので、高さを変えて
誰でも週末にクッキングを楽しめる。

また障がいを持つ学生の部屋には、
リフトが付いている部屋が多い。
指導を受けたヘルパーの学生が
そのリフトを使って日中の入浴や
トイレの介助も簡単にできる。

学校のお母さん

その日の担当の学生ヘルパーが、
夜間もゆっくり睡眠できるのは
HHA(学校のお母さん)と呼ばれる人達が、
夜中の介助が必要な学生達のフォロー。
24時間体制で紐やボタンを押せば
やってきてくれる。

そのほかにもHHAは、
お掃除するのが苦手な学生や、
心の不安定な学生の心のサポート、
薬の管理などもしてくれている。
全寮制だ。若者よ、必要あらば避妊具も
ここで買うことができる。


ここまで書いていて、
留学生活を車椅子ユーザーの同期を
見てきて振り返ると、
環境さえ整っていれば
できないことはかなり少ない。
その障害は環境や考え方によって消えていく。

この学校に来て、
多くの障がいを持つ学生が、
学生ヘルパーとの信頼を築き、
独自のコミュニケーションを使って
日々の生活を楽しんでいるのを見てきた。

自分で自分の選択をし、
そして自分自身にチャレンジし、
人生を楽しんでいる姿をみて
この学校の素晴らしさと、
ここで得る経験値は想像以上に
貴重なものだと感じる。

日々、生きてる事に感謝して
支えてくれている人を大切に
留学生活を送ることができたのは、
エグモントだからだと感じている。

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