イタリアでトランジット

BGM : Akira Kosemura / Fleur
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

深夜２時。
スーツケースを転がしてフラットを出る。
外は冷たい雨が降っていた。
僕はバスを乗り継ぎ、空港へと向かう。 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

空港に着き、トイレで寝巻きに着替えた。
靴もサンダルに履き替える。
飛行機で寝る準備は万全。

三年前、カナダに行った時は一人で乗る飛行機に緊張していたのに、大分慣れたもんだ。

飛行機に乗った瞬間、離陸も見届けず眠りに落ちる。

＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

起きると、ローマの空港に着いていた。
ここで、乗り継ぎまでの空き時間が４時間ある。

僕は朝食を食べようと、空港内をウロウロ回る。
初めてのユーロ表記に値段の感覚が掴めずにいる。

ドル以上、ポンド未満・・・かな？
しかし、どの食事も美味しそうで迷うわ。

搭乗口の近くにはフリーピアノが置かれていた。

＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

飛行機を乗り継ぐと、すぐに昼食の時間。
" Japanese or Italian? " と聞かれ、迷わずイタリアンを選択。
蓋を開ける。ラザニアだ！
イタリアンにして大正解！

＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

食事を済ませると、莫大な自由時間が始まる。

僕はこの飛行機の中で本を読み終えたいと思っていた。
ずっと読んでいた " ポータブルステレオの本 " だ。

僕ぐらいの英語のレベルだとまだ、本を読み終わるたびに新しい成長を実感できる。
やっぱり、もっと本を読む時間を取りたいな。

エピローグの締めくくりが、素晴らしかった。

＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

本も読み終えて、今度は考え事を始める。

これまでの三ヶ月を反芻したり。
これからの十日間を想像したり。

前回飛行機に乗ったのはちょうど三ヶ月前。
インドからロンドンに入った時。

そうか、僕はまだインドにいた時の話を、家族や日本の友人に話せていないのか。
あんなの、もう一年以上昔の話のように感じるのだけれど。

日本を出て以来、とことん自分が " 自由だ " と知った三ヶ月だった。

お金の使い方も、時間の使い方も、
言動も、行動も、決断も。

常識的な選択があるように見えるけど、その実、僕ら全て自分で決められる。

そして、忘れちゃいけない。
後悔するようなことがあった時。
それが自分でした選択でも、他人に流されたことだとしても、
自分の人生の責任を取るのは常に自分だけなんだ。

＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

飛行機の中でリュックの中身を探っていたら、ジッパーが壊れてしまった。
最初の会社員時代に買った Fjall Raven のリュック。
もう４年以上使っていたかな。
お疲れ様。

日本での小さな目標を思いついた。
" 手ぶらで出掛ける "

それともう一つ。
" この十日間で何人の新しい友達を作られるか "

さぁ、東京の地面が近づいてきた。
気を引き締めて、楽しんでいこう。