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ランニング講義の質問と回答 ①「オンライン編」 2020/06/14

今回のnoteは、
最近実施しているオンライン講義で受けた質問についての回答をひたすら記述しています。
講義の対象は中高生向けに行ったので、

今の中高生はこんなことに悩んでいる
またはこんなことを質問したいのか

と興味がある方は読んでみてください。
また読まれている本人が中高生である場合は、参考になるかはわかりませんが、僕の考えを書いているので少しでも今後の活動に役立てば嬉しいです。
またその他の方も参考になることがもしかしたら書かれているかもしれません(期待しないでください…)。

(回答はあくまで主観的なものになるので、これが正しい解決方法なのかはご自分の判断に委ねます)

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(地元富山県の北日本新聞さんに取り上げて頂きました)

【中高生がくれた質問】(全部で29個)

Q,私生活の睡眠はどうされていますか?

A,毎日8時間は寝るようにしています。
睡眠は身体が回復する上で大切です。
時間だけでなく、睡眠の質も大切だと思います。
夏場はエアコンを効かせて寝ています(つけっぱなし)。
暑いと睡眠の質も下がり、身体も回復しないためです。
寝る前に、「自律神経訓練法」や「セルフモビライゼーション」を行うと寝つきがよくなります。

セルフモビライゼーション
https://youtu.be/hrCtYEjdQVI

自律神経訓練法
https://youtu.be/FJRGLfBH9o0

Q,時間が取れない中での朝練でおすすめのメニューや意識したら良いこと(普段とれる時間はアップ含め40分ほど)はなんですか?

A,とれる時間が限られる場合は、朝は基本的に40分程度のジョギングを継続したらいいかと思います。ゆっくりと走り出して身体があたたまってきたら少しずつペースを上げていく。そのときの体調をみながらうまくペースをコントロールしましょう。またこの時にランニングフォームが崩れずに良い感覚で走るように努めましょう。
生活のリズムを整える意味でも、起床時間と練習開始時間をなるべく統一して、習慣化するのは勉強にもプラスに働きます(午前中頭がさえる)。

強度の高いポイント練習は時間がとれそうな土日や、平日の夕方に時間のかからないインターバル練習を行うなど、限られた時間を上手く工夫するのがおすすめです。夏場は気温が上がる前の朝にポイント練習を行うのもひとつの手段かと思いますが、身体が夕方に比べると動きづらいと思うので、練習の強度にはゆとりを持たせるのがいいと思います。

Q,結果を出したい大会で思うように走れないのですが、メンタル面でどのようなことを意識していますか?

A,僕の場合は、自分を客観視することを意識しています。
緊張していることをまず認める。
その上で、なぜ緊張しているんだろうと原因を考えます。
その原因がレースで失敗したくないことであれば、なぜ失敗したくないのか。
自分に対して質問していき、自分と対話すること。不安や緊張は、よく分からないものに対して抱きやすいので、自分の感情を言葉にして理解することをいつも行っています。
(メンタルトレーニングなどで行われている手法です)

「感情の言語化」「感情の可視化」の参考記事
https://studyhacker.net/kanjo-labeling

Q,大会が近づくとよく故障をするのですが、試合の1ヶ月くらい前に練習で違和感があった時は無理しない方が良いのか、多少は我慢して練習すれば良いのか教えてください。

A, 状況にもよりますが、基本的に痛みが出たときは練習強度を落とした方が賢明です。また痛みが出そうな兆候がみられたら、練習強度を落としたほうがいいでしょう。
これは自分の経験ですが、これくらいは大丈夫と思ってることでも、
重症化すると1カ月ほど休まないといけないこともあります。
違和感程度で、3日間ほど休んで回復するならそちらを選んだほうがいいかと思います。それくらいの休息時間であれば、パフォーマンスが極端に落ちることはまずないです。
ただ、走ってとれてくる痛みというのも存在するので、過敏になりすぎてもいけないとは思います。自分の体と対話する能力というのも、優秀な選手の要素のひとつです。今後は自分の身体がどうなっている状態なのかをきちんと説明できたり、把握できたりするようになりましょう。
また大会が近づくと、無理に練習の強度を上げているのかもしれません。そのときは練習計画を見直す必要があります。
大会があるからといって、無理に詰め込んでも結果はかえってマイナスになることもあるので、毎週毎月の目標を設定して取り組むことをおすすめします。

Q,時間が取れない中で、これだけは絶対にしとけ!っていうケアはありますか?

A,講義の中で説明。
アイシングとコンプレッションやストレッチは行った方がいいでしょう。
ストレッチやコンプレッションは15分、20分など時間を決めて、習慣にすることが大切です。
習慣化できたら時間を増やしていく、内容の質を高めていきましょう。

普段しているケア方法①
https://youtu.be/clFGeNtjcd8

普段しているケア方法②
https://youtu.be/mh3nq86WUjI

Q,食事や間食について教えてください(控えたら良いもの、大丈夫なもの、控えたら良いものを食べるとしたらどれくらいの頻度か、故障中など運動量の減る時は特に控えるべきか)

A、講義の中で説明。
成長期は無理に食事の量を減らしても、身体が大きくなるのに必要な栄養を削るので、無理に食事の量を削らないほうがいいです。
怪我をしているときはお菓子を食べない、ジュースを飲まない(お茶や水のみにする)などしていたらそこまで太ることはないかと思います。
お菓子は週1回や週2回など自分で継続できそうなルールを決めて習慣化することが大切です。

Q,身体を絞るためにはどうしたら良いですか?

A,成長期は無理に体重管理をしなくてもいいと思います。ベスト体重といえるほど身体が完成された状態ではないと思います。身長なども伸びていたり、体重もまだ増える発達段階にあるので体重は目安にしかなりません。
基本的にバランスの良い食事と、運動をしていたらそこまで気にする必要はないと思います。
あとは無理に厚着をして練習しても体内の水分が外に出るだけで痩せません。運動量を増やすか、食事を見直すしかないので、体重をコントロールしたければ正しい方法で行いましょう。

Q,練習で追い込むために心がけていることはなんですか?

Q,本当に追い込む強度の高い練習は週1回程度にしています。
毎回の練習で全力で走ると身体がもたないので、身体を追い込むときは追い込む、それ以外のときは身体の使い方や良いランニングフォームで走ることを意識をするようにしています。
あとは追い込む練習のときは、きちんと集中すること、試合のきつい場面を想定して練習を行うようにしています。練習ごとの目的意識をきちんと説明できる選手、メリハリが上手い選手は競技力も高い傾向にあるかと思います。

Q,5000mで14分台を出すために必要な力はなんですか?

A,基本的には3:00/kmで走るので、3kmだと8'40~8'45くらいのタイムは必要かと思います。
インターバルも1000m×5 (3'00)でこなすことが目標達成のひとつの目安になってくると思うので、目標タイムと逆算しながら練習を組み立てる必要があります。
ただ、インターバルばかりやっていても身体が疲労する一方なので、ペース走やロング走、レースよりも速いレペティションの練習を入れるなど、バランスよく実施して、身体に色々なトレーニング刺激を与えましょう。
また、練習を実施する際に目標タイムに囚われすぎて、今の自分には強度の高すぎるトレーニング内容になってしまってないか注意してください。

大学時代のコーチが15分前後を狙う選手の練習についての考え方や具体的なメニューを投稿しているので、参考にしてみてください。
https://twitter.com/yukimorisan/status/1269623961223966720?s=19

Q,学生時代に苦労したこととその解決策について教えてください。

A,講義で説明。
うまくいかなかったことについて、それはなぜ起こったのかを考え、それを次の取り組みで生かすことを意識していました。それは今も変わりません。
PDCAサイクルをまわす意識をジュニア期のときから持つと、その後悩むことがあっても自分で解決していけると思います。

P→Plan(練習計画を立てる)
D→Do(練習する)
C→Check(試合に出場する)
A→Act(取り組みと結果を評価する)

PDCAサイクルについて
https://youtu.be/7tO8GU7im9s

Q,1人で練習している時などにサボりたくなることがあるのですが、そういったときはどうすればいいですか?

A,僕もひとりで練習するときは妥協したくなります笑
そういうときはそもそもひとりで練習しないようにします(誰かと一緒に練習する)。
人がいるだけでもやらないといけないという意識が働くので、それを利用して自分で妥協しないようにしています。

ただ現状がこういう状況なのでひとりでやらざるを得ないときは、
練習の強度設定を高くしないこと、完璧を求めすぎないことを意識するといいかもしれません。練習中にタイムが遅れて途中で辞めるよりは、自分がクリアできそうな練習の強度や内容を設定にすることをおすすめします。

Q,レースの後半に強くなるにはどのようなことに注意すれば良いですか?

A,そもそもレースでの前半のペースが自分の実力以上に速く、オーバーペースになっている場合もあるかと思います。
また長距離においても短距離が速いことはひとつの武器なので、ショートインターバルの練習もしておくといいでしょう。誰でもある程度練習したら短い距離も速くなります。練習中のきつい局面でラストスパートの練習をするのもいいと思います。
(150m×10,200m×10 R-2分 など)


Q,大会のスタート前の気持ちの調整の仕方を教えてください。大会の時、失敗が怖くて勝ちたいという気持ちを出せません。

A,講義で説明。
ネガティブな気持ちは、結果を出したいという気持ちの表れでもあります。
そもそも「なぜ失敗がこわいのか」ということを自分に対して質問して、不安がどこからくるのかを考えてみるのもいいと思います。
レースでは緊張していて当たり前です。そういうときは無理に緊張しないように振る舞うのではなく、緊張している自分を受け入れること。
もちろん勝ちたいという気持ちもわかりますが、勝利というのは相手次第で変わります。まずはこれまで練習してきた成果を出すこと、今の自分の力を発揮することに意識をおけば、結果はどうあれ自分のベストは尽くしたといえると思います。
自分のベストを出しても勝てない相手は世の中にはいます。ただ、自分に打ち勝つことは誰もができると思います。僕はそういう意識で試合に臨むようにしています。

Q,陸上選手にとって炭酸や砂糖を多く含んだ飲み物は飲んだら影響は出ますか?また、飲んでいいのであれば飲む頻度なども教えてほしいです。

A,砂糖を過剰に摂取するのは、食欲を低下させてしまったり、虫歯の原因になりやすいです。意外とアスリートに虫歯が多いのはあまり知られていないと思います。定期的に歯科検診に行くことも自分の健康にとっては大切です。
スポーツドリンク類を飲むのは運動中やその前後のみにして、それ以外は水かお茶(麦茶)にするのがおすすめです。
僕もたまに炭酸ジュースが飲みたくなりますが、週1など頻度を決めたり、頑張った練習のあとのご褒美としてなど、自分でルールを決めるといいと思います。

Q,今中2ですが、筋トレは早いうちからした方がいいのでしょうか?
長距離に適した筋トレ方法を教えてください。

A,講義中に説明。
身体がまだ発達段階にあるので、高重量の重りを使ったトレーニングは控えましょう。
自重でのトレーニングやランニングドリルを行うのはいいと思います。
動的ストレッチも合わせて行うとより走りが滑らかになるでしょう。
ただ種目によっては身体を無理に動かしたり、負荷をかけすぎると、膝や脊椎を痛める恐れもあるので、注意しましょう。
特に今の時期は正しい身体の使い方を身につけることが大切だと思います。
また、そもそも「筋トレをするのはなぜなのか?」という理由に答えられなければ、ただ闇雲にやるというだけではあまり意味がないと思います。
ひとつひとつの種目に目的があります。
あくまでも「速く走るため」に補助トレーニングを行うことが大切です。

動的ストレッチ
https://youtu.be/LxE4JJ57oL0

Q,中学1年でコロナ渦中の為、まだ部活動にも参加できていません。
 1人でもできる良いトレーニングはありますか。

A,先ほどの質問で動画にまとめました。
家でもできる内容なのでぜひ見てください。
あとは走る練習はひとりでもできるので、この期間に自分で工夫しながら行うことも楽しいと思いますよ。

坂道を使ったインターバル走
自然の中を走るジョギングなど

Q,日頃またはレース前や当日など、どのような食事を摂取していますか。

A,講義で説明。
レース当日は青魚は食べないようにしています。
走っているときに気持ち悪くなるので。
鮭はレース当日の朝ごはんによく食べています。
それ以外だとレース前でも特に普段と食事は変えていません。
マラソンレースだと炭水化物を少し増やすとかはありますが、それ以外は普通です。

Q,足に痛みを感じている時のトレーニング方法や、ケア方法はありますか。

A,講義中に説明。
基本的に痛めたときはアイシングをすぐに行います。
また患部が治っても身体の使い方に悪い癖があると、同じところを再び痛める可能性があります。あるいは別の部位を痛める可能性も出てきます。脚を痛めたときには必ず原因があります。怪我はその結果でしかないので、なにが原因だったのかを考えましょう。
怪我をしている時は、運動量を減らさないようにエアロバイクや水泳などができるといいですが、膝を痛めたときなどは曲げると痛いので部位によってトレーニング方法を変えましょう。
スポーツドクターやトレーナーさんに相談するようにするのがいいと思います。

Q,レース前の調整方法、練習メニューはどんな内容ですか。

A,出るレースの種目やそのときのコンディションによって調整方法を変えます。トラックに出場するときのベーシックなものは下記のような感じです。自分に合った調整方法を試していきましょう。

(例)
月 ペース走 8000m


木 刺激 1200m×1 など


日 レース 5000m

Q,レースでは緊張しますか。緊張した場合はどのような対処法がありますか。

A,講義と上記の質問で説明。
緊張している自分を認めること、あとは開き直るようにしています。
仮に結果が出せなくても死ぬわけではない、後はなるようになるしかない、そんな考え方をよくしています。

Q,ゲン担ぎはしますか。勝負パンツはありますか。

A,特にゲン担ぎやこれがないといけないみたいなことはないです。海外で出場するレースもあるので、100%整った状況でレースができる場面は逆に有難いと感じています。
結果が出なくても言い訳や、環境のせいにはしないようにしています。コンディションが悪くても、それはみんな平等です。自分の力が今回は足りなかったのだということを素直に認めて、次は結果を出せるように切り替えています。

勝負パンツはないですが、
普段は黒かネイビーのパンツをよく履いています笑


Q,走っている時苦しくなったら、どのように乗り越えていますか?

A,僕もきついことばかりなので教えて欲しいです笑
その時のペースが少し速く感じているならあえて少しペースを落とすか、
できるのであれば自分の身体がそのペースに慣れるまで我慢します。
あとはきついときはなるべく、なにも考えないようにして走ることに集中します。
練習でいかにきついことをして、本番のレースの最中にあのきつさに比べたら大丈夫といえる状態にしておくといいですね。


Q、長距離を走る時に大切なこと、気を付けていることは何ですか?

A,日々の中で少しでも自分が成長していると感じることを大切にしています。競技以外の、前よりも勉強ができるようになったとか、そういう充実感も走ることにはプラスになると思います。
あとは継続することや、自分を褒めてあげること、認めてあげることも大切だと思います。

Q,今のうちに身に付けておいたら良いことは何ですか?

A,講義で説明。
正しく走ること、陸上や自分に対する考えを身につけておいたら、これから素晴らしい選手になれると思います。
身体の才能もありますが、心の才能も長距離には重要なことです。心もトレーニングと同じで鍛えることができるので、強い心を持てるようにしていきましょう。

Q,マラソンのどんなところが好きですか?

A,きついですが、やりがいがあるところです。
自分を成長させてくれる、強くしてくれるところにやりがいを感じています。


Q,マラソンの大会で一番忘れられない大会は何ですか?

A,あんまりこれといったレースはないですが、ひとつひとつのレースを大切にしていきたいと思っています。後悔のない選手生活を送るためにも、日々の練習を頑張っていきたいです。

Q,毎日どれくらいの距離を走っていますか? 

A,毎日決まった距離ではないのですが、平均すると25~30km前後/日くらい走っています。
1日に2回に分けて走っています。
走るときは1日50~60kmくらい走ることもあります。

Q,これからの目標は何ですか?

A,マラソンの日本代表になることです。
昔からの夢なので、現役時代を終えるまでにそれを達成できるように頑張っていきます。
また富山県の人から愛されるご当地アスリートを目指して活動していきたいと思っています。

Q,陸上を辞めたいと思ったことはありますか?

A,陸上を辞めそうになる場面は何度かありました。そのときに自分はどうしたいのか、自分に対して質問を繰り返し、自分と向き合いました。
マラソンで結果を残したいという思いが自分の中にはあり、それを捨てられなかったので、今も競技をしています。
大切なのは、「ほかの人がどう言おうが、自分がどうしたいのか」です。
自分の人生は自分のものです。誰も一生は責任をとってはくれません。
「あのとき、誰かに言われたからそうした」では、
そのあと後悔するのは自分になると思います。
ただ、決断をする上では色々とリスクもあると思います。
ただ自分が納得して決めたことであれば、たとえそれがうまくいかなくても前を向いて、清々しい気持ちでいられるはずです。

オンラインでの講義は順次開催しているので、興味のある方はお問い合わせ頂けたらと思います。今回の取り組みで今後の活動を頑張っていきたいと思えるような選手が増えたら嬉しいです。僕も励みになったので頑張ります。

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