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ドラえもんジーンマイクにみる「文脈」とは

話の途中ではありますが☝
間に、後半②へつながる伏線を。

ドラえもん9巻「ジ〜ンと感動する話」から
秘密道具「ジーンマイク」にみる「文脈」についての私見
私の仕事感との関係から書いてみようと思います。

ドラえもん9巻から
「ジ〜ンと感動する話」のあらすじ

テストで0点をとったショックから
くよくよと教室に居残る のび太くん。

通りがかった先生が、こう励まします。

「目が前向きについてるのはなぜだと思う?」
「前へ前へと進むためだ!」
「ふりかえらないで。」
「つねにあすをめざして、がんばりなさい。」

・・・じいん

A:のび太

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先生の話にすっかり感動した、のび太くん
友達とのおしゃべりに夢中な しずかちゃん塾へ急ぐ スネ
答案を迫るママにまで
先生に聞いたそのままを受け売りで、玉砕。

B:しずかちゃん C: スネ夫 D: のび太ママ①

怒ったのび太くん
家に帰るなり、ドラえもんにも聞きかじりの「感動的な話」を聞かせます
ドラえもんもまた「?」「?」「?」

E: ドラえもん

感動しないドラえもんにガッカリで、拗ねるのび太くん

そこで、ドラえもんの取りだした秘密道具が「ジーンマイク」

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感動周波音波が出て、聞く人の脳みそをゆさぶり
誰でもたちどころに感動させる
「ジーンマイク」

このマイクを手にいれてからというもの
だれもが無条件に、のび太発言の虜に


「あそびにいってくるね。」(ママじい〜ん)
「だれかいないかな。」(通りがかった犬じい〜ん)

F: のび太ママ② G: 通りがかりの犬

あまりの好反応に、めんどくささを感じたのび太は
「ジーンマイク」をお尻のポケットにしまい、ジャイアンの元へ

感動させる気マンマンの のび太くん。

人を集め、満を持して「感動話」を披露する段階で
「ジーンマイク」を落としたことに気づきます。

あわてて捜索の末、拾いあてるも
集まったみんなが、すごい勢いでのび太をすり抜ける。


なんだなんだ!?とみんなの後を追うと
人気歌手の西条ひろみがロケ中

もちろん西条ひろみは「ジーンマイク」なしの丸腰でも
ちょっと歌をうたい歩くだけで、誰もがキャーキャー。

H: 西条ひろみのファン

やっかんだのび太

ついに「ジーンマイク」を取り出し、リベンジをはかるものの
お尻のポケットから「ジーンマイク」を取りだした瞬間・・・ぷぅ

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というオチ。


文脈は水が流れるがごとく


結論からいくと
文「脈」とは、その名の通り生きた流れであり、水や風のようなものだと、
私は考えます。

水面下の氷山のように静的なものではなく


これを、気持ち(=水の流れ)と話(=カヌー)との関係から、
図解
してみたいと思います。

登場人物それぞれの気持ち(状況):水の流れ
目が前向きについている話:カヌー

A:のび太の場合

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0点取って落ち込んでいたのび太の気持ち(水の流れ)と
話(カヌー)が進もうとする向きがピッタリと一致するため
カヌーの推進力と水流がシンクロし、
もともと持っていた推進力の倍、カヌーが進む

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B:しずかちゃん、C: スネ夫の場合

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友達とのおしゃべりに夢中なしずかちゃん
塾に行こうとするスネ夫
気持ち水の流れ)がカヌー)とは別の方向に向かっているため
カヌーの推進力が水流とAほどシンクロせず、もったいない状態

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D:のび太ママ①の場合

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既にお怒りスイッチが入ったママ
そもそも
気持ち水の流れが話(カヌー)の向きとは真逆

だから、カヌーの推進力が水流と打ち消し合って、プラスマイナスゼロ

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E:ドラえもんの場合

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もともとがどこにも気持ちが動いていない、凪の状態

流れのない水面にカヌーを浮かべたら、カヌーの推進力のみで進むしかない
B:しずかちゃん、C: スネ夫に及ばない状態

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「ジーンマイク」はなぜ
人の心を動かすのか


各人の気持ち(水の流れ)と話(カヌー)の関係を整理したところで
次に、誰でもたちどころに感動させる「ジーンマイク」の仕組み
考察してみたい
と思います。

F: のび太ママ② G: 通りがかりの犬の場合

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のび太ママ(二回目)も、通りがかりの犬も
「ジーンマイク」
それぞれの気持ち(=水流)を
(=カヌー)と同じ方向に「矯正する」ので
Aと同様、水流と推進力がシンクロする結果に。

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H:「ジーンマイク」なしでも大感動の人気歌手・西条ひろみのファンの場合

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Aと同じスペックの話(=カヌー)であっても
そもそも聞き手側の気持ち(=水流)の規模が違います。

ファンは本人が不在の間も「勝手に」
他のファンと「愛」を交換し、増幅させている
から
どんな言動にもキュンキュンしちゃう

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A〜Gまで気持ち(水流・量)が春の小川だとすれば
H:西条ひろみファンの
気持ち(水流・量)は、サーフィンの聖地レベル

A〜G: 気持ち(=水流・量)←→春の小川
H:        気持ち(=水流)
←→サーフィンの聖地

だから、トータルの推進力では
気持ち(=水流)の推進力が話(=カヌー)をぐいぐいと後押し。

リアルワールドの「ジーンマイク」とは


ここまで、ドラえもん9巻による解説から
「ジーンマイク」の仕組みについて考えてみました
身の回りにも「ジーンマイク」と類似の現象が存在します。

代表的な2つを図解します。

1:従来型の広告

気持ち(=水流)に逆流する話(=カヌー)であっても
高性能エンジンを付け、タンカーに改造することで解決するもの。

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拡声器で声を大きくするように
舟側のスペックをあげて、トータルの推進力を高める方法。

難点燃費が悪く、常に投資が必要であること。

2:インフルエンサーによる広告

影響力の強い人の流れ(=メディア力)を借りて
既存のファンの雰囲気=水流に飲み込み
水流の早さと容量を拡張する方法。


課題は2つ。

一点目は、瞬間最大水流が去った瞬間
気持ち(
=水流)が「しらふ」に戻ること。

二つ目は、「不誠実さ」が嗅ぎ分けられやすいので
サクラ的なパフォーマンスの場合、巻き込み心理効果が薄い
(フォロワーのは増えるかもしれないけれど)

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スティーブ・ジョブズの「Connecting the Dots」と
「らしさ」の関係

唐突ですが、
ここでAppleの創業者であるスティーブ・ジョブズの卒業スピーチ
Connecting the Dots (=点をつなぐ)を。

生まれてすぐ養子に出されたスティーブ
決して裕福ではない義両親には高額な授業料の大学を中退

その後、単位を気にせず聴講生として大学での勉強を続行していたとき
たまたま興味を持った
「カリグラフィー(日本語でいうお習字で、装飾文字)」の授業

これが、後にAppleを立ち上げ後のフォントづくりに
大変役に立つ経験だったというお話


一見すると無関係な過去の点
後から振り返ってつなげば
思わぬ布石となって人生が開けていくことがある

図化すると、こうなりそうです。

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一見、当たり前に見えるかもしれませんが
こうなってしまう場合が多い↓と、思うのです。

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この違いa, bの部分をズームし、解像度をあげてチャレンジします。

すると、aの部分
先ほどの「ジーンマイク」で
居残りのび太が先生の話を聞いて感動した
状況(=水流)と話(=カヌー)の方向がピッタリと一致する状態

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bの部分
友達とのおしゃべりに夢中になっていたしずかちゃん塾に急ぐスネ夫に、
のび太が一方的に話を押し付けている状況
つまり、状況(=水流)と話(=カヌー)の方向が一致していないため
流速が落ちてしまった状態

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もっと深みにはまってしまっている場合
状況と物語が反対方向の、のび太ママDの状態なのかもしれません。

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S Jobs 「Connecting the Dots」:状況と物語の方向が一致する のび太A
迷える人:状況と物語の方向がずれている しずかB スネ夫C
もっと
迷える人:状況と物語の方向が反対方向 のび太ママD

ではなぜ、
スティーブ・ジョブズが
自分の過去の中から、のび太Aの点を探し、つなぐことができて
迷える民が、しずかBやスネ夫C、ママDの点を拾って
しまうのか

それは、編集力=デザイン力の差だと、私は思うのです。

人は迷子になるとき、
往々にして、世間
の物差しにあて
光の当たりやすい点だけをつないでしまう。

だから、自分の物語を走らせることのできる
潜在的可能性を秘めた履歴を見落とし
自分で自分の物語の流れを減じてしまう。

これが「迷い」の状態ではないでしょうか。

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そうではなく。

最大の推進力を得られる、自分史の のび太Aポイントを見いだし
そこを数珠つなぎにすれば、自ずと流れは整い、物語が走り出す。


この一連の作業によって、はじめて「その人らしさ」が溢れ出し
人生が躍動的に、
生き生きと動く。

これが、スティーブ・ジョブズが本当に伝えたかったメッセージ
だと
私は思うのです。

「空気」を読まずに
「風」を読む


ただ、この「Connecting the Dots」
仮に、デザイン力=編集力がある人であっても
、独力では大変難しい。

自分を客観的に見ることが難しいから
です。

当たり前すぎて
価値がない、と思い込んでしまっている履歴がたくさんある。


そこで、他力本願。

従来型の他力本願
1:従来型の広告】や【2:インフルエンサーによる広告】のような
「数の力」で解決する方法が一般的でした。

ただ課題は、一見効率がよいようで、無駄が多いこと。
だから、持続性(=サステイナビリティー)がない

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常に投資しないとメンテナンス(=更新)できないのは問題です。
過保護の状態だと私は考えます。

むしろ、環境を整える。

十分に価値観を共有し、同じ方向に物語を走らせている伴走者が

本来の持ち味を生かすことで、「勝手に」走りたくなる状態をつくる。

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これが私の仕事です。
一言でいえば、「Connecting the Dots」のお手伝い

時と場合により、対象はだったり、環境だったりさまざまで
表現方法、授業、研究、ツアー、テキスト、プロダクト、建築と、
さまざまですが。


ですが、いずれの場合も、共通する仕事は一つ


相手の中に、複数の のび太Aポイントを探し
より大きな全体性を意識しながら
のび太Aポインツ
(複数形)の並びや光の当て方の強弱を整え
生き生きとした流れを通すこと

はい、私は人間ジーンマイクです。

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ただ、ドラえもんの「ジーンマイク」との違いは
流れを
無理矢理変えるのではなく、
流れ(状況)の方向に合う物語を探しに行くこと。

流れ(状況)は生き物
だから。
時々刻々変化する、その瞬間を見極め、推す。

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言葉で書くと、シンプルですけど
地味で、泥臭く、骨の折れる作業です。(デザイン業とはそういうもの)

でも究極、「急がば回れ」のこれしかない、
そこそこ長めの人生経験から、そう悟りました。


この方法のメリット2つ。

一つ目に、
私自身、身体的に疲れることはあっても、精神的に消費されないこと。

二つ目に、リバウンドしないこと。
前提条件として、私の物語も同じ方向向いて並走しているので、
ここぞという時に、再度、手をさしのべられるから
です。

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具体的な私の仕事は、こんな風。

①流路を整える
=見落としているのび太A
ポインツを捜索し、結合状況を検討します。

②カヌー(物語)の仕様を見直す

=燃費の悪いモーターやエンジンはつけません。

その代わり、持続的な環境を積極的に味方にします。

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③水流を整える
川掃除をしたり、護岸リデザイン
藻を刈り取り、大きな石を拾えば、流れが通るから。

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実際、川掃除してます。
研究地のリサーチがてらの一コマ


ときに
「空気」を読む、という言葉があります。

ネガティブな意味で使われることが多いですが
本来は、そんなに悪い言葉じゃないと思っています。

見直すべきは「空気」の質なのでは?

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空気が滞っているなら、
窓をあけ、風を通せばよい。


泥臭さ万歳の私も、効率化を全否定してはいません。

長年フリーランスやってきましたが、やはり、一人の力は非力。


だから、これから、私自身の「Connecting the Dots」
をひな型にし
賛同して下さる方に参加を呼びかける
「Connecting the Dots
」を始めたいと思っています。


くらしの半径3mから循環の青図を描き、新しいカルチャーの場を建築


・・うまく行くか?
分かりません。


だから失敗を積み重ねるために
自分認証実験をスタートします



次回の後半②へと続きます。

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最後まで読んでいただきありがとうございます。心から感謝します!