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『男の子の「自己肯定感」を高める育て方』を読んで

◆著者は開成中・高校の校長、柳沢幸雄先生

『世界を生き抜く力は思春期に伸びる!男の子の「自己肯定感」を高める育て方』

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思春期にはまだ気の早い男児の子育てをしていますが、
本屋さんで見つけて気になったので読んでみました。

子育てにはもちろん役に立つ言葉の数々でしたが、日本語教育にも当てはめて考えて読みました。

まず第一章で、日本人は自慢を嫌う「謙譲の文化」であるという部分に、日本語教育の中でも触れたなと思いました。

日本語学習者に「日本の文化は謙譲を重んじます、自慢は嫌われます!」と安直に教えるのは違うけれど、それを知らないと損するのは学習者さん自身になってしまうので、敬語を学ぶ過程で文化的背景も知ってもらうほか仕方がありません。

柳沢先生のアメリカでのご経験の中で、アメリカの学生からは授業中に積極的に質問が出る、ビジネスでも会議などで積極的に質問ができなければ次から呼ばれなくなるという部分に、私も中国の大学に通っていた時のことを思い出しました。

私は中国で語学学習するにあたり、家庭教師に来てもらって学習していましたが、如何せん初級から抜け出せない!泣
そこで息子が現地の幼稚園に入ったタイミングで、大学に通うことにしました。

クラスは中級レベル。クラスメートは非漢字圏の若者ばかり。
彼らは中国語を書くことこそ苦手ですが(筆記テストはほぼカンニングしてましたけどw)発音も表現も本当に上手い!

しかし彼らがカンニングするのには理由があって、修了するときにある程度の良い判定を取っていないと次のビザが降りないので必死なのです。交換留学生は概ねやる気が薄かったですが、大学の寮に住んだり、ルームシェアで節約しながら通学している子がたくさんいました。

授業は3科目、総合と読解と听力口语(リスニング&スピーキング)
その中で発音が重要視される听力口语の担当に、福建省出身の男性教諭が決まりました。

中国語と一言で言っても、大陸は広い!単に方言と括れないほどの言語が存在しています。同じ中国語でも、もう別の国の言葉のように通じないこともしばしば。
福建省も訛りがあると言われています。
大学で教わるのだから、こちらとしては普通话と言われるいわゆる標準語であるべきだと思うし、そのつもりで授業を聞いています。
しかし、その先生は拼音(ピンイン/発音の記号)の読み方が違って聞こえるのです。
聞く力を養うのに、この先生で大丈夫かな?という不安は私の中にもありましたが、特段声をあげることも、そもそもそのつもりもありませんでした。

始業して数日経ったある朝、教室に行くとクラスでも一番若い女の子が机に足組みをしてクラスメートに何かを演説していました。
その光景を見た私は、まさにビバヒル!(若干古いかw)と思って笑ってしまったのですが、彼らは真剣でした。

その日の休み時間に、全員で職員室まで抗議しに行くことになりました。
福建省の先生を辞めさせるためです。

正直、私には自分の意志はありませんでした。どちらでもいい。
しかし彼らは先生のチェンジを望んだのです。

先生を呼び出し、直接抗議しました。
クレームの内容は辛辣で、直接的な表現で「あなたの方言では授業にならない!しかもダジャレとか話もつまんないし、先生を変えて!!!」

目が合った先生は私に意見を求めてきましたが、私は体よく中立な意見をゴニョゴニョと言ったと記憶しています。

考え方によっては方言を聞くことによって、その地域の人たちと話す時に聞き取れるようになるとも考えられるけれど、ではテストは?点数取れなかったらどうするの?標準語とは?そもそもそれを勉強しにきてるのに!

お金を払って遠い異国までわざわざ勉強をしにきているのです。声を上げないと利益は生まれないし、損害を受けるのは己自身であることを、彼らはちゃんとわかっているのですね。

日本人との違いを実感した事例です。
日本語教育の講座を受けていて、まだ実際の日本語学習者さんに接したことはないですが、日本の謙譲文化しか知らないと実際の文化的な違いにも気付きづらいだろうなと思ったので、留学できて良かったです。

そんな諸外国との違いを一例として、この本のコアである「自己肯定感」というところに繋がっているわけですが、子育てや思うところはまた別件で書きたいと思います。

ちなみにヘッダーの写真は息子。ここで私は謙遜して愚息などとは決して言いません!かわいい可愛い息子の写真でした(^^)


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