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[映画レビュー]きみはいい子〜子供の尊さ、母親の偉大さ、家族の大切さ、小さな世界で繰り広げられている正解の無い幸せは遺伝していく〜


優しさはあるが肝心なことから目を背ける性格で学級崩壊を招く新米教師の岡野(高良健吾)。
夫が単身赴任で、娘と2人暮らしをしているが、娘にたびたび虐待をしてしまう雅美(尾野真千子)。
初期の認知症を患うあきこと自閉症の小学生、弘也の交流。
それぞれのエピソードがリンクする。


岡野のエピソードで良かった点は、学級崩壊している自身のクラスで、ある日「家族の誰かに抱きしめられてきてください。」と宿題を出す。その後の宿題の感想を子供達に聞くシーン。
あそこのシーンだけは恐らくアドリブ。子供達のリアルな感想や心情が出ていてとても良かった。

もう一つは岡野が甥っ子にトントンされながら抱きしめられて「頑張ってね。」と繰り返し言われるシーン。そしてその後の姉のセリフ。


「私があの子に優しくすれば、あの子も他人に優しくできる。だから子供を可愛がれば世界が平和になるってわけ。母親ってすごい仕事でしょ?」 

グッときた。



雅美のエピソード。ママ友である陽子(池脇千鶴)がただ抱きしめて、「辛かったね。」と受けとめるシーンに思わずじーん、、と。。

子供に寄り添うよりも、母親に寄り添うことが虐待やネグレクトなどの問題の根本的な解決になると個人的に思った。


あきこと弘也のエピソード。「とってもいい子ね。」と言われた母親はどれだけ救われただろう。認知症だから見えることがある。自閉症だから分かることがある。

子どももおとなも色んな境遇にいて、それぞれ自分の存在が本当に必要なのか、悩む。
どちらも認めてもらい、共感してもらい、自分の存在を受け止めてくれる人が必要。

最近は少し空気が読めなかったり、気配りが苦手だったり、仕事がゆっくりだと、すぐに発達障害呼ばわりする風潮がある。教え方が下手なことを棚に上げて本人の能力のせいにしようとする。もーちょい長い目で見てあげてもいいのではないか?と思う。


仕事柄、認知症の方と向き合ったり、後輩の指導もしてると、そんなことも考えた。

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