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#音楽レビュー
⑲ Current 93 / In Menstrual Night (1986)
House Of Mythologyとデヴィット・チベットが数年前から始めたCurrent 93の旧譜復刻レーベル「HOMALEPH」から、2枚のアルバムが同時にリイシューされた。アイスランドのヒルマー・オウン・ヒルマーソンとの連名で作られた『Island』(1991)と、ほぼスティーヴン・ステイプルトン(Nurse With Wound)単独の仕事とも呼べる『In Menstrual Night
もっとみる⑲ Barry McGuire / Eve Of Destruction (1965)
アルバム全体ではなく、表題曲である「Eve Of Destruction」についての話である。ボブ・ディランがフォークを電化し、Jefferson Airplaneが結成されたフラワー・ムーヴメント元年ともいえる1965年7月に発表されたのがこの「Eve Of Destruction」(邦題「明日なき世界」)だった。PFスローンが書いた曲と詞をThe Turtlesが歌ったが、その後に録音されたバ
もっとみる⑱ セラニポージ / ワンルームサバイバル (2002)
10月にストリーミングサービス上で配信されるようになったセラニポージの2枚目。セラニポージとは作曲作詞のササキトモコと、時期によって異なるボーカル(現時点での最新作『メリーゴーラウンドジェイルハウス』ではササキ本人が歌っている)によるプロジェクト。各サービスやメディアでは「serani poji」で統一されているが、セガのビデオゲームソフト『ROOMMANIA #203 』(2000)とその続編『
もっとみる⑰ Foetus / HIDE (2010)
2019年11月、ニューヨークはブルックリンにあるFoetusことJGサールウェルのSelf-Immorationスタジオを訪れ、インタビューを敢行した。話題はFoetusの歌詞となり、アニメ『サウスパーク』スタッフがドナルド・トランプを番組内でネタにしないことを発表した声明を例に挙げて、政治的トピックを表現に盛り込むことの難しさを尋ねてみた。それに対してサールウェルは「自分はあくまで個人的なこ
もっとみる⑯ V.A. / In Fractured Silence (1984)
Nurse With Wound(NWW)ことスティーヴン・ステイプルトンのレーベルUnited Dairiesからリリースされたオムニバスが、仏SouffleContinu Recordsから再発された。LPしか出さない版元だという認識だったが、珍しくCDも併発だったから嬉しい。
United Dairiesは79年のNWW『Chance Meeting On A Dissecting Tab
⑮ V.A. / pop'n music 11 AC ♥ CS pop'n music 9 (2004)
KONAMIの人気音楽ゲームタイトル『pop'n music』シリーズ第11弾のサウンドトラック。ある時期からシリーズごとにテーマを設けるようになった『pop'n』だが、本作『11』のテーマは世界旅行であり、その名の通り世界各国の音楽が題材になっている。
『pop'n』は同社の『beatmania』の兄弟機という出自を持つタイトルで、その発想の根幹には『beatmania』同様にエレメカ(説明がち
⑭ The Belbury Poly / The Path (2023)
『FEECO』誌特別号『MUSIC + GHOST』で大々的に取り上げたGhost Box Records。その共同経営者であるジム・ジュップのプロジェクトBelbury Polyのニューアルバム『The Path』が先日リリースされた。同号でインタビューをして以来、プレスリリースを送ってもらえるようになり、今回も音源からアートワークまで一式寄せてもらった。アナログを購入したはいいもののまだ届いて
もっとみる⑫ Andrew Chalk / The End Times (2022)
アンドリュー・チョークを追い続けている人の中で、近年発表されてきた音楽それ自体の出来を問うている人はどれだけいるだろうか。
かくいう筆者は、出すものすべてを手に入れているわけではないが、音楽への期待ではなく、チョーク本人への信頼から追いかけている。目まぐるしい時勢下でエゴを排したまま不断に作品を積む姿勢、あえて形容するなら没頭に、わが欠乏が埋められていくような気持ちがある。ひょっとしたら自分は今
⑪Andrew Wasylyk / Hearing the Water before Seeing the Falls
昨年購入したはいいが、ずっと積んだままであったアンドリュー・ワシュリクの最新作。遠海や孤島を撮影し続ける写真家トーマス・ジョシュア・クーパーの展示『The World's Edge』のために書かれた本作は、実際にワシュリクがクーパーとともに大西洋に浮かぶ孤島へ出向いて、現地から録音した音を素材にしている。世界的な海抜の上昇により35年以内に水没すると言われている島々の記憶を、クーパーは写真として
もっとみる⑨:MOGRE MOGRU / DIVE ACTION 1
「踊れないことに特化したDJイベント」というテーゼとともに2017年5月2日から始まった「盤魔殿」は、現在の時点でほぼマンスリー化しており、常に凶事をもって更新されていく現代の陰ひなたに咲く人間性という花の畑のようである。その花は享楽的に踊るダブパーティーやレイヴから、盤魔殿のように踊らずして立ち尽くす場まであまねく種が蒔かれており、人が集まり音楽鳴るところに起こる思惟をもって開花するものだと考え
もっとみる⑧: V.A. / Serial Experiments Lain Sound Track Cyberia Mix (1998)
表面化する機会こそ少ないが、その引力が途絶えぬ『Serial Experiments Lain』のサウンドトラック第2弾。第1弾は仲井戸"CHABO"麗市によるギター主体の内容だったが、こちらはクラブ・ミュージックである。劇中に登場するクラブ「サイベリア」(ダグラス・ラシュコフの同名著作よりとられている)でプレイされているイメージを基軸としているようだ。音楽はDJ WASEIこと近田和生(アニメに
もっとみる⑤:Taro Nijikama / CHIVA VIVA EXTRAVAGANZA IMMORTAL ENTOURAGE (2021)
ヤスミラ・ジュバニッチ監督『アイダよ、何処へ?』を鑑賞してきた。映画はボスニア・ヘルツェゴビナ紛争内で起きたスルプスカ共和国軍によるボシュニャク(イスラム教徒)の虐殺事件を主題にしている。3つのディケイドで民族間の溝を描いたダリボル・マタニッチ『灼熱』と違い、無数に行なわれたホロコーストのうちの一つを切り取ったドキュメンタリー志向のおかげで、建設的な示唆がほぼない重苦しい内容であった。第二次大戦以
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