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移住0ヶ月目、真夏のひのはら【檜原村こよみだより8月】

こんにちは、檜原村地域おこし協力隊の高野です。もともとは都心のベンチャー企業に勤めていましたが、「自然の近くで、その恵みに生かされている実感を持ちながら暮らしたい」という思いから、2022年8月より檜原村に移住しました。

このnoteでは、都市部出身の移住者である協力隊の視点で、檜原村の暮らしのリアルをお伝えしていきます。観光情報というよりも、日々の生活に焦点を当てた情報を発信する予定なので、かつての私と同じように、自然豊かな地域への移住を考えている方々の参考になれば嬉しいです。

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突然ですが、檜原村の私の家にはエアコンがありません(!)。あるのは小さな扇風機が一台だけ。それでも朝晩は本当に涼しく、快適です。クーラーをつけないと寝苦しかった都心の夜とは打って変わって、沢から吹き抜けるひんやりとした風と、虫の涼しげな鳴き声で、扇風機さえも不要で気持ちよく眠りにつくことができます。

私が住んでいる場所は、標高が550mほど。檜原村のなかでも、とくに涼しい地域です。先日は、窓開けっぱなし・お腹丸出しで寝ていたら、朝に目を覚ましたとき寒くって!冬物の布団をかぶって、二度寝しました。

朝はいつも窓から差し込んでくる朝日と、鳥の鳴き声で目を覚まします───なんて言いたいところですが、私は朝が苦手なので、残念ながらけたたましいアラームの音で目を覚まします。でも朝起きて襖を開けると、窓の一面に広がる森林の緑の美しさと、聞こえてくる鳥の声の多様さに、いつも感動してしまいます。

私の寝室の窓からの景色。縁側があります

私の住まいは、勤務先である村役場から車で20分ほどの一軒家。私はまだ車を持っておらず、原付で役場まで通っています。くねくねと曲がる山道では、猛スピードで運転する車もほとんどいないので、風を感じながらゆったりと走ることができます。そんな私の、日々の通退勤ロードの様子がこちらです。

集落と集落との間は、ほとんど人家がなく、左右に山林が広がります

移住してから2週間経って感じるのは、自然の近くで暮らすことで得られる安心感の大きさです。

檜原村は、面積の93%を山林が占めています。それはつまり、人工のものは7%しかないということ。当然、タワーマンションもオフィスビルもありません。

そんな場所で暮らしていると、人間の、自分の、ちっぽけさをつくづく感じます。何百年も生き続ける樹木に囲まれると、自分の人生の儚さや、自分ができることの小ささを実感してくるのです。そして、自分はハナからこんなにちっぽけなのだから、そんなに気負わず、気張らず、生きていけばいいんだ───そんな安心感が心に満ちてきます。

一方で人工物に囲まれていると、人間は何でもできる、世界は人間によって作られている、という感覚になってくる気がします。だからこそ、自分もなにか世界に爪痕を残さなければ、何か大きなことを成し遂げなければ、なんて思ってしまいやすいんじゃないでしょうか。

でも、どれだけ一生懸命に奮闘したとしても、大いなる自然や悠久の時の流れに比べたら、自分の存在なんて本当にちっぽけで。そんなことを、豊かな自然に日々囲まれていると、じわじわと実感してくるわけです。自然のほうに時間軸が合うことで、自分の人生を捉える時間軸が一気にのびる、とでも言えるでしょうか。

だからといって、無責任に生きていいというわけではもちろんないものの。この心地よい安心感とともに、これからの檜原村での暮らしを楽しんでいきたいと思います。(冬の寒さは、今からとても怖いです。。)

*この記事は、公開日は8月末ですが、執筆は8月中旬に行いました。気温などの参考にしてください。(8月末現在は、より一層涼しいです。)

【ライタープロフィール】
高野 優海 note
早稲田大学文化構想学部出身。都心のベンチャー企業勤務、栃木県・非電化工房での自給自足の修行を経て、2022年8月より東京都檜原村地域おこし協力隊に着任。副業でフリーのライターをしつつ、村の情報発信を担当する。将来的には村内で空き家と山林を手に入れ、半自給自足の暮らしをしつつ、人が集まれる場所を作りたいと構想中。