見出し画像

シェアハウスの愉快な物音その1「真上の部屋からの、物騒な衝撃音」


私は数年前まで日本人や外国人の住むシェアハウスで15人暮らしをしていた。
もともと3世帯住宅だった大きな一軒家を改装して作ったらしいその家は、キッチンは1つだったものの、トイレやお風呂、洗面所などの水回りは複数あり、15人でもそんなにバッティングすることなく快適に生活できた。


過去にもシェアハウスってどんな感じ?と聞かれた時のことや、よくあるトラブルなどを書いたことがあるが、私の住んでいたハウスはたまたまみんな気遣いが出来る優しい人たちだったのか、特にトラブルなどで困ることはなかった。

ただ、もともと一軒家だったところを改装したという特性上、どうしても1Rアパートなどの部屋とはちょっと声や物音の伝わり方は違う。
私は一階の部屋に住んでいたのだが、木造だったこともあり両隣や真上の部屋などで大きな音がするとやっぱり聞こえるものは聞こえる。


それでも私がそこで快適に住み続けられたのは、住んでいる住民と仲が良く、多少の物音でいがみ合うような関係性ではなかったことや、住んでいる人がほぼ全員社会人で日中は出勤し、昼夜逆転の生活スタイルの人もいなかったことなどが挙げられると思う。

むしろ、そんな彼らとの生活だと「物音」は愉快なエピソードとなったり、各々の部屋にいるのにその音によってそこからコミュニケーションが生まれるなんてことも何度かあった。
仲がいいと騒音にも気軽に文句も言えるし、ちょっとした物音はもれなく「ネタ」になるのだ。

そんな愉快な騒音エピソードを思い出したものから書いていこうと思う。


シェアハウスの愉快な物音その1「真上の部屋からの、物騒な衝撃音」


当時、私の真上に住んでいたのは、ハウスの中でも特に仲のいい日本人の女の子だった。
私よりもいくつか年下だったはずだが、お互いの年齢なんて気にかけないほど姉妹や親友のような関係になり、趣味などの共通点も多かったため、私はよく彼女と飲みに行ったり、音楽フェスに行ったりしていた。

その日も、前日リビングでその子を含めた何人かのシェアメイトと食事をしたりお酒を飲んだあと、彼女とは次の日お昼すぎくらいからでかけようと計画を立て「じゃあまた明日ね、おやすみ〜」とそれぞれの部屋に戻った。

次の日、ちょっと遅めに起きた私。

「起きてる〜?」

階上の彼女にメッセージを送ってみると、私の部屋の天井あたりからブブブっと鈍いバイブ音がした。

「今起きた〜、準備する!」

「携帯、床に置いてたでしょ。振動聞こえた(笑)」

「ホント?寝てたらベッドから携帯落ちてた!」


いつもの他愛のないやりとり。
シャワーを浴びて、部屋で身支度をしていると、次の瞬間、私の頭上からドゴンッ!という鈍い音が聞こえた。
かなり大きな音だったため、ハウスメンバーもグループメッセージで騒ぎ出す。

「何今の音」

「すごい音したね。誰かの部屋、隕石でも降ってきた?」

「わたしの部屋は安全です。ストーンは見つからない。」

愉快なジョークが好きな留学生も乗っかってメッセージを返す。

「ごめん、私です。アイロンのコードにつまづいて転んだ。痛い〜(T_T)」


"ドゴン"は、真上の彼女が転倒した音だった。
気を失って倒れたのかと思うくらいの盛大な衝撃音にびっくりしながらも、私はちょっとおっちょこちょいな彼女がアイロンのコードを足に絡ませながらいててと膝でもさすっているのを想像してふふふと一人笑った。
グループメッセージに笑い転げるスタンプやなぐさめのスタンプがぽこぽこと流れてくる。


姿は見えないけれど彼女の"生活ぶり"が聞こえてきて、私はもうすでに彼女とのお出かけが始まっているような楽しい気分になった。
もし私が寝坊していても、今の音で飛び起きたかもしれない。

ここから先は

0字

■どんなメンバーシップか 主に「ヒノマガジン」の読める範囲を広げるためのメンバーシップです。 メンバ…

眺めるプラン(ヒノマガジン)

¥500 / 月

覗き込むプラン

¥650 / 月

触れ合うプラン

¥1,000 / 月

包み込むプラン

¥2,980 / 月

サポート、嬉しいです。小躍りして喜びます^^ いただいたサポートで銭湯と周辺にある居酒屋さんに行って、素敵なお店を紹介する記事を書きます。♨🍺♨